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爆風スランプ 大きな玉ねぎの下で ~はるかる想い~

あなたの青春時代の思い出の曲は何ですか?


誰にでも、心に刻まれている「あの曲」があるはずです。

聴くたびに、懐かしい記憶が蘇る。

笑顔になれる曲、切なくなる曲、勇気をもらえる曲。

そんな大切な一曲が、きっとあなたの心の中にもあるのではないでしょうか。

私にとって、その一曲が爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で」なのです。


はじめに

爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で」。この曲を聴くたびに、私の心には切ない記憶が蘇ります。

全寮生活と文通

厳格な全寮制の学園生活。テレビも新聞もラジオも禁止された環境で、外の世界との唯一の繋がりは手紙でした。週に一度の手紙の配布日が、私たちにとって最も心躍る瞬間だったのです。

文通の始まり

ある日、地元の友人から一通の手紙が届きました。同年代の女の子を紹介したいという内容でした。私は緊張しながらも、返事を書きました。そうして始まった文通の日々。

手紙の中の彼女

最初の手紙で同封された写真の中の彼女は、今風の可愛らしい女の子でした。
几帳面な字で書かれた手紙には、好きな音楽や読書の話が綴られていました。
私は返事を書くたびに、何度も下書きを重ね、誤字がないよう気をつけました。

深まる交流

文通は徐々に頻繁になり、お互いの趣味や学校生活の話で盛り上がりました。
彼女は地元の女子高に通っていて、放課後にお菓子屋さんでアルバイトをしているという話も。
私は寮生活の制限された日常を面白おかしく書き、彼女を楽しませようと工夫を凝らしました。

夏の約束

そんなやり取りを重ねるうちに、夏休みに会う約束をすることになりました。学園から地元に帰り、待ち合わせの日が近づいてきました。

準備の日々

世間の流行から隔絶された生活を送っていた私は、何を着ていけばいいのか分からず、友人と相談しながら近所の服屋で服を選びました。
今思えば少し滑稽ですが、当時の私にとっては人生で最も真剣な買い物だったのかもしれません。

待ち合わせの日

そして、待ちに待った当日。友人と共に駅のプラットフォームで待ち合わせました。
手紙の中で決めた待ち合わせ時間、場所。しかし、約束の時間が過ぎても、彼女は現れませんでした。

最後の手紙

一週間後、一通の手紙が届きました。「ごめんなさい」という言葉から始まり、「坊主頭の人とは付き合えない」という言葉で締めくくられていました。
当時の学生には当たり前の髪型でしたが、彼女にとってはそれが受け入れられない理由になったのです。

音楽と記憶

「大きな玉ねぎの下で」の歌詞にある「今でも思い出すよ あの頃の君を」という一節は、この体験と重なって私の心に響きます。

曲中で歌われる「涙」は、まさに青春の痛みそのものでした。

手紙を通じて育んだ想いは、結局叶わぬものとなりましたが、その過程にあった期待や喜び、そして最後の切なさは、確かに私の青春の一部でした。

その後と現在

それ以来、私は坊主頭やスポーツ刈りに対してトラウマめいた感情を抱くようになりました。

しかし、この曲を聴くたびに、あの夏の出来事が、かけがえのない思い出として心に刻まれていることを感じます。

爆風スランプが歌う「はるかなる想い」は、文通を通じて育んだ淡い恋心と共に、今でも私の中で生き続けているのです。

おわりに

時が経ち、今では笑って話せる思い出になりましたが、この曲が流れるたびに、あの頃の手紙を何度も読み返した日々や、駅のプラットフォームでの切ない別れを思い出します。

それは確かに痛みを伴う記憶ですが、同時に私たちの青春そのものだったのかもしれません。

と言っても、この曲の発売された時期には、学園を卒業していましたが、ふと、この曲を思い出すたびに、あの日の出来事を思い出すのです。

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