車僧禅師の小説創作の秘話
自天王や忠義王に関する小説は既に世に出ているものの・・・
地元である川上村では著作を発表している方がいる一方で、上北山村では著作を発表された例を見つけることができませんでした。
また、自天王にまつわる情報も、圧倒的に川上村のほうが多いのが現状です。
そんな中で、後南朝に関する情報を掘り下げるうえで唯一と言える手がかりが、車僧禅師にまつわる話でした。
しかし、これに関する資料は極めて少なく、私自身の調査の出発点は祖父から聞いた話だけでした。
それは断片的で、はっきりした内容とは言えないものでした。
親戚の一人からは、「小説を書くのは構わないけれど、それで生活が成り立つわけではないからやめたほうがいい」という忠告も受けました。
確かに一理ある意見かもしれませんが、その親戚とは数回しか会ったことがないこともあり、私自身、その言葉に縛られるつもりはありませんでした。
とはいえ、日頃から地域とのつながりや人間関係を築くことの重要性を感じ、車僧禅師にまつわる物語を調査する中で、地元の歴史や文化に深く関心を抱くようになりました。
そして、情報の断片をつなぎ合わせる作業を通じて、自分自身で調べる力を養い、創作の礎としていくことが大切だと考えるようになりました。
こうして生まれたのが、私の小説 『車僧禅師 ~南朝の血派 謎に満ちた聖僧』 です。
キンドル読み放題で読めます。
この物語は、車僧禅師という実在の人物を軸に、後南朝の時代背景とその中で生きた人々の葛藤、希望、そして運命を描いたフィクションです。
歴史資料の乏しい中で、祖父から聞いた話やわずかな史実をもとに、想像力を働かせて補いながら執筆しました。
私の目指したのは、単なる歴史の再現ではなく、その時代に生きた人々の「心の物語」を描くことでした。
読者の方々には、歴史的事実だけでなく、そこに息づく人間ドラマを感じ取っていただければと思います。
この作品は、私にとって地元や歴史への想いを形にした特別な作品です。
これを通じて、車僧禅師の名が少しでも多くの方々に知られ、後南朝という歴史の一ページに興味を持っていただけることを願っています。