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『悲運の南朝後胤並自天王祭祀について』伊藤獨

1.南朝の皇胤とは?

後南朝時代と聞くと、後醍醐天皇や足利尊氏といった歴史上の人物を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、その時代の裏には、正統とされなかった側――南朝の皇胤(こういん)たちの切実な物語があったのをご存知でしょうか。
「悲運」という言葉から感じられるのは、時勢に翻弄されながらも歴史の片隅で細々と受け継がれてきた“もう一つの皇統”の姿。
そんな南朝皇胤の歩みにスポットを当て、独自の祭祀のあり方まで取り上げた一冊があるのです。


2. 作品の概要

  • 書名:『悲運の南朝皇胤並自天祭祀』(ひうんのなんちょうこういん ならびに じてんさいし)

  • 著者:伊藤 獨(いとう どく)

  • テーマ:南北朝時代における南朝皇統(後醍醐天皇の系統)をめぐる歴史的背景と、彼らが行ってきたとされる祭祀の継承。

  • 出版状況:昭和期に刊行とみられますが、はっきりとした発行年・出版社のデータは現時点では見つかりにくく、現在は絶版状態と推測されます。

本書は、南朝サイドから見た皇胤(皇族の血筋)の歴史的経緯や、彼らが独自に続けてきた祭祀について取り上げたマイナーな歴史書として位置づけられます。


3. 内容のポイント

  1. 南朝皇胤の“悲運”

    • 北朝(室町幕府)との長い抗争の末、南朝は正統と認められない立場に追い込まれます。

    • 著者は、この皇統断絶とも言える悲劇的な状況を掘り下げ、歴史の影に隠れた皇胤の足跡を浮き彫りにしているようです。

  2. 祭祀の継承と“自天祭祀”

    • タイトル中の「自天祭祀」という言葉は、南朝の皇祖を私的または独自の形で祀り続けてきた一族の儀礼を指すと推測されます。

    • 史料上はあまり表に出てこなかったこうした祭祀形態に焦点を当て、南朝皇統の系譜がいかに現代まで語り継がれたかを論じている可能性があります。

  3. 南北朝正閏問題への言及

    • 江戸時代から近代にかけて、「どちらが正統な皇統か」という議論(南北朝正閏問題)は長らく続きました。

    • 本書では、そのテーマに重ねて、南朝側が辿ってきた歴史認識の変遷や、後に位置づけられなくなっていった経緯などを掘り起こそうとしている、と考えられます。


4. おすすめしたいどんな人に役立つか?

  1. 日本中世史や南北朝時代に関心のある方

    • 一般的な歴史書では語られにくい南朝皇胤の“悲運”の視点を深めることができるため、専門家や歴史愛好家には興味深い内容といえます。

  2. 皇室や祭祀の文化的側面に興味を持つ方

    • 独特な「自天祭祀」に言及していることから、皇室行事や神道史、民間宗教などと合わせて研究したい方にヒントを与えてくれるでしょう。

  3. 南北朝正閏問題に関心を抱く研究者や学生

    • 歴史学上、南北朝の正統性をめぐる論争はまだ議論の余地が残されています。

    • 本書から新たな検証材料や視点を得られる可能性があります(入手困難ではありますが)。


5. まとめ

『悲運の南朝皇胤並自天祭祀』は、南朝の皇胤という歴史の脇道に迫る貴重な書籍です。残念ながら現代では絶版状態で入手困難とみられ、古書店やオークションなどでもほとんど流通がないようです。
しかし、南北朝時代にまつわる奥深いテーマや南朝皇統がたどった悲劇の裏側を知りたい方にとっては、一度は手に取ってみたい稀少資料と言えるでしょう。
もし入手できる機会があれば、ぜひその独特な視点で描かれる“悲運の皇胤”の物語に触れてみてください。


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