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ジャズを軽く聴き始めたい方への軽い名盤紹介③(マイルス・デイビス編 Part1)
(こんにちは。
今回は、お約束通りトランペットの名作を挙げていきましょう。
トランペットと言えば マイルス・デイビスと相場は決まっているようなものです。
こればかりは仕方のないことで、マイルスはジャズの世界のみでなく、音楽の世界全体を、そしてアートの世界にまで影響力を持ち、幾度も世界を塗り替え、そのたびにエポックメイキングな作品を出し続けた人ですから。
こう聞くと「じゃあマイルスは何から聴いたらいいの?」となってしまいますよね。
ですので、今回はマイルスの作品を二枚だけオススメいたします。
『The New Miles Davis Quintet』(1955年)
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2 There Is No Greater Love
3 How Am I To Know?
4 S'Posin
5 The Theme
6 Stablemates
マイルス・デイヴィス(トランペット)
ジョン・コルトレーン(テナーサックス)
レッド・ガーランド(ピアノ)
ポール・チェンバース(ベース)
フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス)
通称「小川のマイルス」とも言われている作品です。
今後のキャリアを決定付けるメンバーでの初めての録音とされていますが、実はこのアルバムの前に違うレーベルで『Round About Midnight』(1957年発表)という名盤を録音しています。
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2. Ah-Leu-Cha
3. All Of You
4. Bye, Bye, Blackbird
5. Tadd's Delight
6. Dear Old Stockholm
発売年と録音日が前後するのは、この時期のレーベルとの契約関係の話になってきますが、ややこしいので割愛します。
ただ、ここら辺の事情のおかげで、「マラソンセッション」と呼ばれるジャズ史に残る逸話へと発展します。
マラソンセッションとは、2日間のレコーディング(ほぼ一発録り)で4枚分のアルバムを作成したというお話で、この話は次回に取っておきます。ですので、次回もマイルスの話になります。ご了承ください。
上記二枚のアルバムを解説しますと、まず『The New Miles Davis Quintet』の方ですが、曲はポップスとジャズのスタンダードがミックスされており、
親しみやすいアイテムです。
「The Theme」は、マイルスの作曲で、今後長く演奏されていく曲です。
コルトレーンはまだまだ発展途上です。「There Is No Greater Love」では参加していません。
当初はコルトレーンではなくてソニー・ロリンズの起用をかんがえていたそうですが、その後形成されていくクールなバンドカラーには合わないですよね。
アルバム全体で38分しか無いところは残念ですが、これはややこしいレーベル問題に対してのささやかな抵抗だったのかもしれません。
一方、『Round About Midnight』の方ですが、タイトル曲がまずカッコいいですね。作曲はピアニストのセロニアス・モンク。しかし、マイルスの編曲は、モンクのオリジナルを遥かに凌駕しています。
まず、真夜中を想い起させるマイルスのミュートトランペットから始まります。そしてその静寂を破るようなブレイクがやってきて、そこにスルッと入ってくるコルトレーンの入り方が実にカッコいい。
「Bye, Bye, Blackbird」や「Dear Old Stockholm」も雰囲気たっぷりに演奏されています。まさにクールジャズ。マイルスのミュートトランペットも完全に完成の域に達しています。
以上、二枚のアルバムに共通して言えることは、ピアノ、ベース、ドラムスのリズムセクションがしっかりしている所。
そのために、その後『Art Pepper Meets The Rhythm Section』という名盤が生まれたのは、これまた別のお話。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。