ジャズを軽く聴き始めたい人への軽い名盤紹介⑮「粋でいなせな」 Lee Morgan
斜に構えてトランペットを吹く人
こんにちは。
今日は敬愛するトランペット奏者、リー・モーガンについてさらりと書いていこうかと思います。
どこら辺が粋でいなせなのか、読んでいくうちに理解が深まると思います。
まず推薦盤
『Candy』(1958年)
パーソネル
リー・モーガン -トランペット
ソニー・クラーク -ピアノ
ダグ・ワトキンス -ベース
アート・テイラー -ドラムス
まず、モーガンとしては珍しいワンホーン・カルテット(ピアノトリオ+ホーン奏者が一人)ですね。(この作品が唯一だそうです。)
この人、大抵はツーホーン・クインテットの演奏が多い人です。
もう一人のホーン奏者は、テナーサックスのハンク・モブレーが一番多いんじゃないでしょうか。
ハンク・モブレーとの一連の作品は、どれも名演ばかりですので、興味を持たれた方は要チェックです。特におすすめは私が好きな「Recado Bossa Nova」の名演が入っている『dippin’』になります。個人的な意見です。
アルバム『Candy』に話を元に戻しましょう。
まず一曲目のタイトル曲「Candy」。キャッチーなテーマと、初めに出てくるソニクラ(ソニー・クラーク)のコロコロとしたピアノソロが良いですね。
それからモーガンのトランペットソロに入りますが、初っぱなに出てくる「ふぎーふぎー、ふごーふごー」という音が面白いです。
この音は、山中千尋さんという日本のジャズピアニストが、自身のアルバムで、オルガン(?)で再現してました、
その後のソロは割と熱く吹いているように聴こえますが、どこか醒めている感じもします。
二曲目の軽いバラード風の「Since I Fell For You」では、これも軽い感じのソロですね。余裕しゃくしゃくで吹きこなしているという印象を受けます。
なんだったら、片手をポケットに突っ込んで。
こういいう、時々感じられる不良性みたいなところが、粋でいなせな感じを受けるんですよね。
例えば、もう一人のジャズジャイアントであるトランペットのクリフォード・ブラウンという方がいますが、彼の演奏は常にスーツにネクタイびしっとという感じを受けます。
リー・モーガンも一応ネクタイはしてるけど、結び目は大きく緩んでいる感じ。
もちろん、どっちがいいとか悪いとかの話じゃありませんよ。
一方4曲目、バラードの「Since I Fell For You」では、とても真摯にバラードを演奏しています。印象深いメロディーも出てきます。
ここら辺にはやはり上手さを感じますね。
5曲目「Who Do You Love, I Hope」では、初っ端から熱い演奏が聴けますが、やはりズボンに片手を突っ込んで吹いているような感じがします。
そして最後の「All At Once You Love Her」でも、とても熱いプレイを聴くことができます。
全体的に聴いてみて、とてもバランスがとれた作品だと思います。
リー・モーガン入門編にはピタリのアルバムだと思いますよ。
『The Sidewander』(1964年)
パーソネル
リー・モーガン(tp)
ジョー・ヘンダーソン(ts)
バリー・ハリス(p)
ボブ・クランショウ(b)
ビリー・ヒギンズ(ds)
タイトル曲は8ビートを刻み、そのためにジャズロックの金字塔と言われている作品で、大ヒットを記録しました。
しかも、どこか厳格なイメージのあるブルーノートというレーベルから出ているというのも軽い驚きです。
モーガン自身も、ドラッグ中毒のために一年間のブランクがあり、この作品で復活を狙っていた、とても気合の入ったレコーディングとなりました。
タイトル曲は構成がしっかりしており、あらかじめ編曲されていたような印象は否めませんが、良い曲、楽しい曲なら別にそれでいいんじゃないでしょうか。
この曲だけがダントツに傑出しています。しかし勿論、この曲以外にも聴きどころは沢山あります。ジャズロックの入門盤としては最適なアルバムだといえるでしょう。
本日も最後までのお付き合い、ありがとうございました。
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