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ジャズを軽く聴き始めたい人への軽い名盤紹介23 Thelonious Monk 『The Unique』(1956年)

セロニアス・モンク 『ザ・ユニーク』

1 Liza
2 Memories Of You
3 Honeysuckle Rose
4 Darn That Dream
5 Tea For Two
6 You Are Too Beautiful 
7 Just You, Just Me 

パーソネル
セロニアス・モンク - ピアノ
オスカー・ペティフォード - ベース
アート・ブレイキー - ドラム


経緯


通称『切手のモンク』と呼ばれている作品です。
私がジャズを聴き始めるにあたって最初に買ったアルバムです。
一曲目の「Liza」のイントロを聴いただけで、あの頃のことを鮮明に思い出せるほど心に残るアルバムの一つです。

私はまず、書籍からジャズに入りました。当時大学生だった私は、バイト先にジャズの好きな正社員の方がいらっしゃり、休憩時間にその方が持っていた「スイングジャーナル」をパラパラとめくったことがジャズへの入門でした。中身はご想像の通り、全くわかりませんでした(笑)

興味は持ったものの、何から聴けばいいのかさっぱりわからない。
そこで、本屋でジャズの入門書みたいなものを買って来ました。今思えば、入門書でも何でもなく、スイングジャーナル誌の別冊みたいなものだったと思います。

それを読んで「セロニアス・モンクって面白そう」「キース・ジャレットって面白そう」と思いました。
そこで取り敢えずキースの『Still Live』という二枚組のライブ盤と、モンクのこのアルバム『Unique』を買いました。
まず初心者はスタンダードを聴かなければ、と思ったからです。
私が生まれて初めて買ったジャズのアルバムは、この二作品ということになります。

キースのアルバムは、当時の新譜だったし、スタンダードで占められていたから買ったに過ぎません。つまり、特に吟味して買ったわけじゃないということです。

モンクのこのアルバムは、他に『Brilliant Corners』とか『Monk's Music』など名盤が数多ある中での選択でした。
なぜなら、モンクなのに全てがスタンダードで占められていたからです。

まったくタイプの異なった二人のピアニストを聴いて、ジャズって面白そうだな、と思いました。

タイトルについて

このアルバムのタイトルは『The Unique』となっていますが、どこがユニークなんでしょうか?
ユニークといえば、上述した『Brilliant Corners』とか『Monk's Music』とか、他のトリオ作品などの方がよほどユニークな内容だと思います。

つまり、これら作品はモンクにとっては普通のことであり、アルバム一枚丸ごとスタンダードに取り組む方がよほどユニークなことだと、逆説的にタイトルをつけたのではないか? 
そう思っています。

リバーサイドは、モンクのオリジナル音楽がマスマーケットには「難しすぎる」という一般的な認識を
打破するのに役立つことを期待して、有名な素材のカバーバージョンを彼に録音させることによって、
モンクに対する消費者の関心を広げるというリバーサイドの戦略でした。
(Wikipedia)

自動翻訳したので変な日本語ですが、スタンダード集にしたのは、リバーサイドレーベルの思惑だったようですね。

内容について

曲を聴いていきましょう。

①Liza
イントロを聴いただけで、ジャズを聴き始めた頃の自分の環境や、何を考えて生活していたのか、どんな人間関係を築いていたのかなど、フラッシュバックのように蘇ってきます。
この曲を聴いただけでも、モンクとブレイキーの相性の良さがわかります。

②Memories Of You
ベニー・グッドマン・オーケストラの演奏で有名な曲です。ここではソロピアノで演奏されています。とてもロマンチックな演奏ですね。
音を探りながら弾いているところや、ここは決めのフレーズなんだろうな、と思われるところがわかって面白い演奏です。

③Honeysuckle Rose
たくさんのカバーがあるスタンダード曲です。オスカー・ピーターソンも名演を残しています。
途中で聴かれるモールス信号のような弾き方は、ピアノは打楽器だと公言していたモンクらしい弾き方ですね。

④Darn That Dream
これもたくさんのカバーがある名曲です。代表的なところでは、ビル・エバンスとジム・ホールの『Undercurrent』というアルバムを思い出します。
ここでは特にモンク的な音階フレーズを聴くことができます。ペティフォードのベースソロもロマンチックで味があります。

⑤Tea For Two(二人でお茶を)
なかなか凝ったイントロから始まります。ヴァース部分なんでしょうか?
後半のモンクのアドリブは、曲のメロディーを十分に生かしたソロですね。というか、メロディーに乗っかってアドリブを弾いている感じです。

⑥You Are Too Beautiful 
ベースソロが終わった後に聴かれる、たっぷりと間を生かしたモンクの演奏は素晴らしいですね。

⑦Just You, Just Me 
この曲はヴォーカル・バージョンが多いのですが、モンクは他のアルバムでも好んで弾いています。
全体的にロマンチック感が溢れるこのアルバムの中で、一番スイングしているのじゃないでしょうか。
そして、モンク的なユニークな音階や和音も一番多く聴かれます。

いかがでしたでしょうか。キース・ジャレットなどと違って、このアルバムでのモンクのプレイは、とてもわかりやすいメロディアスなピアノを弾いています(もちろんキースも大好きなんですが)。

一家に一枚、置いていても損はないアルバムだと思います。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。



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