バレル製作(vol.1)
皆さんはじめまして。
プロダーツプレイヤーの中村成孝(のりゆき)です。普段は「のりとーーーん」というニックネームで東京を中心にダーツを投げております。
(目つき悪いのは否定しませんが写真写りのせいだと信じています。←)
長々となりそうな自己紹介は割愛させていただきまして、前にTwitterで投稿したこちら...
現在では多種多様なメーカーから覚えきれないほどのバレルが発売され、その中から自分に合うものを選ぶ時って楽しいですけどとても迷いますよね。
そんな時ふと思ったことはありませんか?
これがもう少し太かったら(細かったら)....
これがもう少しカットが強ければ(弱ければ)...
これがもう少し重ければ(軽ければ)...
これがもう少し長ければ(短ければ)...
1セット数千円から1万円を超えるダーツのバレル。
どんな満足のいく一品を選んでも、何か物足りなく感じる時期が来たり、摩耗して買い替えたりされる方も多いと思います。
その中には、「無いなら自分で作っちゃおうか!でもダーツってそもそもどうやってデザインしていけばいいんだろう...」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はマイダーツの選び方ではなくマイダーツの作り方を完全に個人主観でお届けしようと思います。
※感情が入り乱れた稚拙な文章をお許しください。。
実際バレルデザインを行っている各メーカーから公式発表される「このバレルはグリップ部分に抜けのいい○○カットを配置。コントロールしやすいように軽めに仕上げました。」みたいな端的なものではなく、失敗案も含めて赤裸々に経過を書いていこうと思います。
こういう経緯を経て作り上げましたよ、その時にはこんなことをやりましたよというような体験記のようなものなのでぜひ期待しないでお暇なときに読んでいただけると幸いです。
現在私はone80という海外メーカーに所属しておりますが、そこでの過程に絞って経過をお話しします。
■作り始める前に考えたこと
まず私は移籍当初、one80製のバレルで自分にとって投げやすい商品を探すことから始めました。今まで製作してきたバレルに頼るのでももちろん良かったのですが、まずは郷に入っては郷に従えといいましょうか...。
これから新しい環境に身を置くことで、改めて自分を見直す機会を設けようと思ったわけです。
あれ?自分の作るのに既存製品を投げるの?と思われた方もいらっしゃるかと思いますが
ベースデザイン無くバレル作るのは無理です!(私の場合)
これまでいろいろなバレルを投げてきた経験値を元にオリジナルに昇華させるという方法が最も一般的なんじゃないかなぁと思います。
(あまりガッカリしないでくださいね。。)
ちなみに私のこれまでのモデルはこちら。
これらはgsのデザイナーさんと二人三脚で作り上げた作品です。
初代を作るのに4~5回くらいは作り直したでしょうか。
図面だけのやり取りも含んだら10回近く変更を重ねています。
もちろんデザイナーさんは日本人だったので「ここもっときゅっと締めたい」とか「ここはもっとかっこよくなるようにこんな曲線がいい」というフィーリングで伝えても、『こんなかんじ?』と、なんとなく伝わってくれて、ブラッシュアップを繰り返しました。
しかし、今回はそうもいかなかったのです。。
そう。。
言葉の壁
one80のデザイナーさんは英語か中国語…。
私は英語が苦手でフィーリングまで正確に伝えられる語彙力がないので、ここをシュっととかフィーリングを伝えるのにえらい時間がかかることが想定されました。
自分の希望を伝えるには全ての数値を正確に伝えなければいけなかったのです。
「それなら彼が作ってきたバレルを私が理解する方が早い!」
(何様)
ということで、まずはone80のバレルはどんなものがあってどんな感じなのかを色々試すことにしました。
■試投を繰り返す日々
最初に投げたのはALEX REYES 2BA
うん!長い!笑
今まで42mm前後のバレルを投げてきた私にとって46mmはさすがに長すぎました。同じ理由でCHRIS LIM 2BAも断念(47mm)。。
やはり海外を軸に展開しているメーカーのバレルは基本的に長い…!
長くなるとグリップしたときの人差し指と中指がどんどんどんどん広がっていっちゃって余計な力が入っちゃうんです…。
いくつか他に挟んだ後に、TAMRIN NGモデルを投げてみることにしました。
42.5mm!!ちょうどいいんじゃないか!?
…んーちょっと窮屈!指がピンっ!と立っちゃう!
親指が寝てしまう私のグリップではくぼみに指が収まりきらずに断念。。
これは困った...
海外メーカーならではの長めでストレートがメインのバレルは俺には扱えないのか...
これは困ったぞと路頭に迷ってしまいました…
なかなかバレルが決まらない中、ふとSNSを徘徊していたところ…
なんかレインボーでかっこいいヤツ出てる!笑
こりゃあ投げに行くしかないということで速攻試投ができる店舗にいって投げてみることにしました。
4分の3がストレートで正直投げれれるのはFURCIFER(ファーシファー)だけだろうと予想していましたが、一応全部投げてみることに。
全長42.5mmの最大径7mm。
これまで7.4mm前後の径を使っていた私にとって少し細いかなと思いましたが、グリップ部分のシャークカットがどうにかしてくれるかなと期待をしていました。
…
あれ?思いのほかかからない。。。
シャークカット=ひっかかると思っていた自分にとっては衝撃。。。
何度も投げながら理由を考察したところ、自分のグリップに大きな原因があることに気が付きました。
(赤→親指、青→人差し指)
設置面(点)が微妙にずれている私のグリップではバレルエンドのカットがないところに人差し指(青)が当たってしまっており、力が伝わらず抜けてしまう感覚に陥ってしまったわけです。
これまたバレル難民に逆戻りかと…半分あきらめながらとりあえず他の3種類も投げてみることに。
完全に食わず嫌いじゃないですけど、「どうせ他のもストレートだし投げられないだろう」と思いながら投げていたら、指のかかり、抜けの感覚で「お?」と感じたダーツが。
レビューは上記のTwitterにまとめたので割愛させていただきますが、私にとっては衝撃的な出会いでした。
これに決めた!となってメーカーから取り寄せるのが我慢できなくて即刻その場で購入してしまいました。笑
ジルコンを相棒として迎え入れ、意気揚々と練習の日々を繰り返し、「なぜこのストレートは投げられるのか」というのをひたすら考え抜くことに。
■浮き彫りとなった問題点
ジルコンを使い初めて1ヶ月程経ったときのJAPANで突如として違和感に苛まれました。
「矢角が出せなくて垂れる...」
試合特有の緊張感からなのか今までの感覚通りに投げれなくなり、垂れてしまう軌道を修正しようと力み縦にも横にも外す...それらを修正しようと...という負のスパイラルに陥ってしまったのです。
原因は2つありました。
①:カットに頼って投げているからバリが取れてしまうと指にかかりにくくなってしまった。
②:それをサポートするためのテーパーがないのでセットアップ時に矢角を保てていない。
↑ この角度を保ちたいのに...
↓ 実際はこうなってしまっている
さらに②を補足すると、「親指は閉じていたい(寝ていたい)」のに、開いてしまう現象も起きていました。
↑ きゅっと閉じていたいのに...
↓ ほんわか親指が開いてしまう...
親指の面(指紋)がべったり触れていることで矢の全体像と方向を把握して、尚且つ動き出しの出力もコントロールしていたのですが、テーパーが無いと無理やり親指を当てにいっておかしなことになってしまっていたのです。
試合では非常に悔しい思いをしましたが、作りたいダーツの道筋が見えた瞬間でした。
つづく
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