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バレル製作(vol.2)

前回のvol.1では、製作に入る前段階のお話をさせていただきました。

今回のvol.2ではついにプロトの製作について書いていきたいと思います。

(実はこの記事を書くのは2回目で、渾身の記事は公開手前で誤って削除してしまうというミスを犯しました。。)

気を取り直してバレルを作っていこうと思います!!笑

ちょいちょい画像ミスもありますがお気になさらず・・・


■出来る出来ないの境界を知る

器用貧乏というわけではありませんが、世に出回るバレルのある程度のものは投げれてしまうし、なんとなく扱える気がします。

それでもオリジナルモデルを作るうえで、どこまでならストレスなくできるのか、どこにこだわっているのかを明確にする必要があります。

vol.1で体験したことを元に、自分に合う(自分で投げやすい)と思われる形状、数値を洗い出していきます。

数値を出す際に考えたのが下記の4つです。

①:バレルエンドをグリップしたときに指が開きすぎない全長。

②:指の形状に合ったテーパーとグリップエリア。

③:存在感のあるカット。

④:かっこいいフォルム。

どれもこれも当たり前のことではあるのですが、いざ数値化すると非常に頭を抱える項目です。。

ストレートではなくトルピードを作るときは全長とか最大径だけではなく、角度やグリップエリア、そこに付随するカットの相性など、1つやったら全体を整えなおしてまた一つ直したら...という作業を延々繰り返します。

おおまかな形状をどうするか...

リングカット一つにしても形状はどうするのか、どの角度でいれるのかなど...

※上記画像の旋盤的にこの角度では入れられませんというご指摘はご容赦下さい。あくまで例ですので。。



①:バレルエンドをグリップしたときに指が開きすぎない全長。

これまで私は全長42mmを採用してきました。

3フィンガーの私はバレルエンドをグリップした時に、それ以下の全長だと中指がチップから外れてしまったためです。

ではどこまで長くできるのか...

ジルコンは45.1mmという全長でしたが、単純にそこまでの長さが投げられるとは思いませんでした。

↑このズームアップされている部分をグリップをしているので、バレルエンドのウェーブカットはあまり使わなかったので実質40数(前半)mmなのかなと。

恐らく45mmでも投げれないことはないのかと思いますが、逆にゆとりを持ちすぎるとグリップ時に不安を抱えてしまうと思いました。
その為いきなりMAXの長さを試すのではなく、少しずつ長くしていこうという結論に至りました。

そんなこんなで全長は43mmを試すことに。

たった1mm伸ばすだけでも結構勇気いるんですよね。。


②:指の形状に合ったテーパーとグリップエリア。

ここがバレルの性格と方向性を決めるうえで一番難しいところです。

単純に最大径を決めてバレルエンドまで細くしていくにしても、じゃあそのカットを入れるところは全体の何mm取る?という悩みもありますし、トルピードの肝は「グリップ径」という部分も考慮しなければいけません。

各メーカーから発表される「全長」「最大径」「重量」には記載されない項目です。

(実際持つところは人それぞれなので、グリップ径をどこに定めるかは作り手の感覚によって異なります。ストレートバレルならば最大径=グリップ径なんですけどね。。)

グリップ径はvol.1で投げたものや、過去自分が使ってきたバレルの指が当たる部分を片っ端から計測しました。笑

↑過去のマイバレルたち


いっぱい投げてきましたね。。。ここには載せきれないくらい投げてきました。。

その時いいと感じてもある時にはこっちの方がいい!など紆余曲折ありましたが、総評した結果6.5mm~6.3mmの径がストレスなく持てる!という結論に至りました。


次に最大径からそのポイントを通過してバレルエンドまでテーパーを考えていきます。

そしてテーパーについてですが、自分のものを決める前にいくつかあるうちのテーパーを個人的に下記のように分類しました。

①、③、⑤は今回は除外です。

①についてはストレートが投げられないから除外。

③、⑤のプラステーパーについては、親指にべったりつけたいというのにそれに反発するようなテーパーは合わないと判断したためです。

親指のふくらみに合うようにテーパーを作りたかったのです。


②と④どちらを採用するかはいったん保留にして、グリップエリア(カットの入る部分)の距離を考えていきます。

全長の半分...?もっと長く...?短く...?

こんな考えでは一生決まらん...!!なにか...なにか考えの軸になるものは...。


...とおふざけへこの辺にして、私の場合軸として考えているのは「自分の指」です。

指が立っているときと寝ているときの触れている部分を計測します。

このように約17.4mm~約20.4mmの間に収まっております。

おそらく男性の指にしてはかなり細いのではないでしょうか。

これらのことから私が作るテーパーは

「バレルエンドから約17.4mm~約20.4mmのグリップエリアを持ち、グリップポイントで6.3mm~6.5mmのグリップ径を通過するマイナステーパー」

という軸が出来上がりました。

最大径に関しては経験による慣れもありますが、前回のマイモデルは7.5mmという径を採用しておりました。

今回ストレートに少し未練があった私は上記の軸を守りつつちょっと細身にトライしてみようかと...(散々投げれないって言ってるのに未練タラタラな私をお許しくださいw)

なのでこちらもいきなり細くするのではなく、少しずつトライしていこうと思い7.3mmを試すことにしました。(7.4mmは経験済み)


③:存在感のあるカット。

さあお待ちかねのカットを考えるお時間です。

バレルを作る上で一番楽しくも悩ましい工程です。

世間では「リングカット最強説」をよく耳にしますが、私は数少ないリングカット合わない派だと思っています。

というのも単純なリングカットは確かにクセもなく投げやすいと言われることが多いですが、そのようなのはメーカーのバリューシリーズや他の選手に任せようと。笑

一番最初のモデルはリングカットを採用していました。

でも使っていくと欠けや手垢のつまりなどである日突然滑る感覚に陥ってしまった私が、当時のデザイナーさんと相談して作ったのが↓

「プロジェクションカット」

(でっぱりカット)

さらに抜け感、かかり感を追求し進化したのが↓

「デルタプロジェクションカット」

(3角形でっぱりカット)

こんな感じになっています。

今回より存在感を増そうと検討したカットがこちら。

何も変わってないじゃん!!とか思わないでください!!💦

①:今まではプロジェクションカットの後ろに細工をして抜け感を作り出していましたが、プロトではその前後を一つのまとまりとして考えて創作。

②プロジェクションカットの後方に0.1mmのカットをいれて、ひっかかり過ぎ防止をしておりましたが、そちらを排除。より強力なカットに。

リリース時のインパクトが強い私は、抜いて投げるとか手の中で滑らすといった器用なことができなかったのでゴリゴリにカットを使って投げています。


■プロトver.1の総評

ver.1の図面は諸事情で掲載できないのですが....

結論から言うと…


かかりすぎて投げれない!!笑


ここまでやってこれかい!!...本当にその通りです。申し訳ない。


原因は明白でした。。

ちょっとわかりにくいのですが、このプロジェクションカットの赤いところ。

ここが今まで0.2mmの深さだったんですが、存在感存在感って意識しすぎて0.3mmにしちゃったんですよ。。(もしかしたら0.2mmの深さのままにしたら全く感覚は変わっていたかもしれません。)

尚且つ前画像②のように、一部を削除することでピッチを詰めることにより、カットの数が増えたことでより強力になりすぎて全く扱えない事態となりました。。(反省)

あれだけ考えて軸を決めたのに最後の最後でやらかしてしまいました。

カットの深さもかなり影響を及ぼすと言うことを改めて認識させられる結果となりました。。


■プロトver.2の製作

気を取り直してダメだったところを直していきます。

全体の長さ、太さ、形状はほとんど手を加えることはありません。

カットを再考していきます。

ver.1で考えた①と②の
くくりは一度白紙に戻し、新たなカットを考えていきます。

かかりすぎた不安からマイルドなカットを求める思考に変化しました。

考えたのがこちら。

青:デルタプロジェクション後方のクッション的な役割を担う0.1mmのカットは継続。

赤:これまではここも階段状のカットでしたが、指から離れる時の抜けを意識してRを採用。

全体像がこちら。

こっそり最大径を7.4mmにしてあります。笑

やはり形になると嬉しいですしテンション上がります。笑
そのなかでも冷静にこの子の正確を見極めるために、また数週間投げ込むことに。

vol.3(最終)へつづく

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