
カメラ熱の再燃/写真は綺麗じゃなくていい
カメラ熱の再燃
ふと会社の同僚と雑談している時に「カメラを買うんですよ〜色々教えてください〜」と言われ、それからまた別の同僚にも「カメラ買いたいと思ってるんですがどんなのがいいですか!!」と相談が来たり、数日間で3人くらいとカメラの話をした。
自慢できるほど詳しくないし、なんなら20代前半から徐々に徐々に撮影枚数も減ってきて、GRⅢはともかく一眼レフ(PENTAX KP)は年に数回しか持ち歩かない今となっては、趣味がカメラというのは後ろめたい気持ちもあったが、カメラに興味のある人が身近にいるのも久々だったのでまたあれこれカメラのこと見てると、少しずつカメラ熱が再燃してきた。
めっきり写真をSNSに投稿する頻度も下がってしまってたものの、なんだかんだで撮ってるので共有する写真には困らず、投稿してみるとなんだかスッキリした気分になる。自分が投稿することで友人や同僚も写真を見せてくれたり、身近な人とこうして写真の見せ合いとかすることがすっごく久々で楽しい。
至極当然なんだけども、身近に同じ趣味の人がいると熱が高まる。福岡に移り住んで近所に友人もいないので、そんなことをしばらく忘れていたことにびっくりした。
スナップの頻度
恥ずかしいことに、PENTAX17が発売されたことを半年経ってから知った。
インスタ見てたらPENTAX17の広告が出てきてめちゃくちゃ興奮して、その日はずっと開発者インタビューとか、作例レビューを見漁って、うおぉとかくぅーとか、とにかく感動した。
シンプルにこの時代にフィルムカメラを出すPENTAXのカメラへの愛と情熱と魂に感銘を受けた。
フィルムカメラの設計図見れば作れるけど、なんのための部品かわからないものがあるから開発者OBを訪ねたが、最初はフィルムカメラなんか今頃作ってどうするんだとか言われつつも想いを伝えて協力を仰いだ、みたいなエピソードがあったらしくこれまたグッとくる。かつての開発者の想いや知識が次の世代へと継承され、また一つ歴史が紡がれていく、かっこいいものづくりされてるなあ。
そしてPENTAX17の作例を見ていると、自分が年々撮影枚数が減ってきた理由がなんとなく分かってきた。
もちろんデジタルとは違って、撮ってすぐ写真を見ることができない。さらにフィルムごとの色調の個性や癖があり、フォーカスが合わずピンボケしてることにもすぐに気づけない、とにかく撮る写真がどんな仕上がりになるか容易には想像できない。そして出てきた写真はデジタルでは表現できない、目で見る世界とは異なる味がある。
あぁ、これがワクワクさせるんだな、そして、ブレやボケ、構図のミスがあってもそれは個性として一つの作品として味わうことができる、写真は露出も構図もピントも綺麗にしなきゃいけないものじゃない、もっと自由でいいんだよな、ということを思い出した。
写真は綺麗じゃなくていい
GRⅢを日頃持ち歩いていても、少しずつ撮る遊びがなくなって記録用の写真が増え、遊び心でスナップを取ることがめっきり少なくなっていた。
記録用の写真は、旅行での記念写真とか、文字通り記録用に撮っておく風景とか、そんな写真は几帳面に構図も露出も整えて撮り、目で見たままを綺麗に残すことを第一にして撮るので、うまく撮れなかったものは削除して、綺麗に整った写真だけがストレージに残り、それらが是となる思考に凝り固まってしまっていた。
また、Instagramで1日に何十枚も写真を眺めているだけではその自由を取り戻せなかった。まるで目の前にあるような綺麗に整った写真がほとんどで、写真という一つの作品であることを忘れ、この料理美味しそうだなあ、こんな場所もあるんだなあとか、映っている被写体だけを認識していた。
フォーカスを固定して、今だと思った瞬間に反射でシャッターを押すスナップ撮影のような、そんな遊び心をすっかり忘れてしまっていて、綺麗でなくていいという自由、無限に撮れる自由をなぜだか忘れてしまっていた。自分でカメラをつまらないものにしてしまっていた。
そんな時に、カメラに新しく興味を持った人に声をかけられ、そしてそれがPENTAX17を知るきっかけになり、偶然の出来事が繋がって、忘れていた本来のカメラの楽しみ方を思い出させてくれた。
色も構図もピントももっと遊んでいい。もっと自由であっていい、綺麗でなくていい。
PENTAX17を知って、その作例の写真をじっくりと眺めて味わっているうちに、写真そのものが作品であること、実際に目で見ている景色とは違う創作物であること、だから自由でいいんだ遊んでいいんだということを思い出させてくれた。
偶然に繋がったこの出来事で、またカメラを何十年も楽しんでいける気がする。
これからもカメラの楽しさを忘れないように、フィルムカメラという1つの文化が少しでも長く続くように、愛と情熱を持った人達が創り上げできたカメラのブランドがなくならないように、近いうちにPENTAX17を買いに行く。
でもとりあえず手持ちのRICOH R1sで撮ったフィルムをちゃんと現像しなきゃ。フィルムは手間もお金も掛かっちゃうのよね、でもきっと現像してプリントした写真を見たら、ああ、良い写真やなぁ、またフィルムで撮ろう、って必ず思うんだから、続けていこう。
いいなと思ったら応援しよう!
