代打の切り札『亀井慎之助』
『3秒』で決めた『10度目のサヨナラ』
「試合時間3秒だったんですけど」
ヒーローインタビューでユーモアを交えながら、照れくさそうに話していたのは、今季初のサヨナラタイムリーを放った亀井善行だ。相手投手の代わりっぱな、初球のストレートをきっちりセンター前に弾き返した、亀井らしい見事な一打だった。
「亀井慎之助で行ってもらうよ!」
昨年惜しまれながら現役を引退した阿部慎之助二軍監督にかけて期待を寄せた原監督の起用に見事に応えてみせた。
足の状態が本調子ではなく、8/1の広島戦を最後にスタメンからは外れているが、それでもなお、ここ一番の勝負強さは健在だ。
これまで、亀井は幾多のピンチを、無類の勝負強さでチャンスに変えてきた。
特に印象的だったのは、代打で起用されることの多かった2017年シーズンの6月18日のロッテ戦で放った『涙のサヨナラスリーラン』。前の打者を3度も敬遠され、かつてない屈辱を味わった。『命を取られる』ほどの思いだったからこそ魅せた奇跡だった。
昨年8/9のヤクルト戦でも、前日の試合での負傷がありながら、サヨナラの場面で犠牲フライを放つなど、ここでもチームの窮地を救った。
今季の亀井はチャンスでは滅法強い。その得点圏打率は、驚異の.625(2020/8/13現在)
また、直近のシーズンを振り返っても、.382(2017年)、.333(2018年)を、それぞれ得点圏でマークしている。近年は、代打を挑戦することで培ったここ一番の集中力と勝負強さで、チャンスでスタンバイする機会も増えており、チームに欠かせない切り札的存在となっている。
今後は、故障している足の状態次第ではあるが、当面は代打の切り札としてスタンバイすることになるだろう。通算10度のサヨナラ打を放っている男の、ここ一番での出番に注目したい。
無類の勝負強さを誇る代打の切り札『亀井慎之助』の勝負強いバッティングから目が離せない。