サラダバス #毎週ショートショートnote
そこはバスの中だった。
「起きたかい?」
レタスに話しかけられて僕は驚いた。
「どうしたの?」
玉ねぎが心配そうに言った。
「どうして野菜が喋ってるの?」
「ここがサラダバスだからさ」
そういえばママが言ってた。「好き嫌いしてたらサラダバスに乗せられちゃうよ」って。
見ると、トマトやパプリカ、その他にもいろんな野菜がいた。
バスが停止して、コーンとブロッコリーが茹でバスから乗り継いできた。
玉ねぎは色んな事を僕に話してくれた。薄くスライスされてサラダになりたいこと。どの野菜もサラダになるのが誇らしく、美味しく食べられるのを夢見ていること。
そんな野菜を食べずに捨てていたなんて、僕はなんて酷いをことをしていたんだ。
「これから僕、残さず食べるね」
玉ねぎが不思議そうな顔をした。
「このバスに乗った君はもう食べる側じゃないよ」
トンネルに入り、玉ねぎの瞳が妖しく光った。
「教えて。君はどんな風に食べられたい? やっぱり新鮮なままガブリと…」
珍しくブラックなオチ。