映画『SNS-少女たちの10日間-』感想

※ ネタバレ含みます。お気をつけください。

久しぶりに映画館で映画を観た。
客席は50パーセント、アルコール消毒も検温も実施の上で。平日昼間のため、50パーセントには行かなず空いていた。
ずっと気になっていた『SNS-少女たちの10日間-』。子どものSNS利用における性暴力の問題を扱ったドキュメンタリー映画だ。事前情報のとおり、ただただ怖かった。
昔と今の違いを感じ、今の子ども達の大変さを思った。

チェコのドキュメンタリー映画だが、日本でも全く同じ状態が起きていると思うと素直に思える。
大人の世界を知ってみたいという興味本位。幼い子どもでも大人でもない年齢なら、あって当然だと思う。友達を作りたい、色々な人と知り合ってみたい、知らない話を聞いてみたい。そんな何気ない理由から登録しただけで、こんな性暴力に遭うのか…。登録して数分で、数回やり取りしただけなのに突然言われる言葉。突然送られてくる写真や動画。どれも見たくも聞きたくもないもの。好きな人以外に見せるべきでないもの。
始まって30分もしないうちに涙が出てきた。
そして、終始気持ち悪さを感じる。

途中で登場する20歳の学生が、当たり前のことを言っているだけで神様のように見える。その言葉を聞くだけで泣ける。つらい気持ちが癒される。裸は大事な人にしか見せちゃダメだよという、当たり前の言葉なのに。
それだけ他の大人の男達が狼で、下卑た存在。
ネット世界の中は狼ばかりではなく、こんな当たり前だけど神様のような男性もいるのはわかる。でも、それ以外の数の多さ!

18歳以上の女優なのに見ているだけでわかるつらさ。会話を切ったあとのホッと息をつく感じ。…楽しむためのSNSの筈なのに。精神科医や弁護士等の指導がある上でもこの状態。

…これが子どもだったら。

親はもちろん、誰にも話せず、言われたとおりにしてしまうだろう。
言うことを聞かないと機嫌が悪くなる大人。苦しいのを自分のせいにする大人。執拗に迫ったり、脅迫する大人。
年齢を知った上で、存在を下に見た行為。最悪だ。これはずっと心に一生残る傷になるし、死にたくなるのもわかる。
でもそれが実際に行われてるのが、目の前で映像として流れてる。

昔も電話で知らない人と話すのはあった。でも、今よりは相手に知られる情報は少なくて、危険性は少なかったと思う。それでも怖かったのは覚えている。

子どもの周囲の大人は、子どもにこの映画の内容を説明して欲しいと思う。数字や話を聞くだけでも怖さはわかる。本当は観て欲しいが、恐怖を感じると思うので無理にとは言えない。

知っていて欲しいのは、この映画に存在する子どもは何も悪くない。悪いのは大人だ。

もしかしたら必要になるかもしれない今後のため、悪い大人の手の内を知っていて欲しい。

今スマホは、小学校中学年~高学年頃から持つようになってきている。フィルタリングで全てが安全・安心になるわけではない。ネット世界の怖さも持たせる際には十分に教える必要があると思った。

久々に観た映画、考えさせられる内容だった。
久々の映画館は、大きなスクリーンで、暗い場所で、ちょうど良い音量で、集中して観られるのは本当に幸せだった。

映画館は感染防止にもきちんと配慮している。
文化芸術は不要不急ではなく、生活に必要不可欠である。






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