株式会社CHAT NOVELを解散します
0.導入
株式会社CHAT NOVEL代表の舘です。
弊社ではチャット小説アプリ「CHAT NOVEL」(iOS/Android/WEB)を提供しておりましたが、この度事業規模を縮小し、また会社を解散する方針を決めました。
事業規模の縮小とはサービスの停止を指すものではなく、今まで作って来た900を超える作品もありますし、現状楽しんで頂いているユーザー様もいらっしゃるので「新規作品作成の停止」を指します。
ストックされた作品があるので、まだしばらく新作は出ますが、またサービスの扱い等が決まりましたら、そちらは別途アナウンスさせて頂きます。
CHAT NOVELにおいて作品を執筆頂いた作家様、イラストを描いて頂いたイラストレーター様、読んで頂いた読者様、関わってくれた内部メンバー、そして株主の方々、私の力不足によりご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
1.今回の経緯
以前2019/12に資金調達のリリースを出し、それ以降CHAT NOVELのグロースに尽力しておりました。
そもそも、私はこのサービスを株式会社newn様から譲渡頂いたのですが、その理由としては以下の四点となります。
①newn様の内部で運営されていた時の数字がそこそこ良く、立ち上がりとしては成り立っていて、改善していけばビジネスとして成り立つように見えた
②「コンテンツは自社制作」「マネタイズはユーザーからの課金+広告」のシンプルなモデルで、良いコンテンツを追求し続けた先に勝ちパターンがあると思った
③競合などの立ち上がりや、小説家になろうの根強い人気、漫画アプリ各社の上場など、少なからずこの市場周辺の熱を感じた
④そもそも代表である舘が、この周辺市場について興味関心が深く、ProductFounderFitしていると考えられた
つまり「最強のチャット小説を社内で理解し多く作れる体制を作り、それを元にオーガニック+Paidでユーザーを集めて、マネタイズを行う」ことで、この事業を伸ばせ、コストの低い漫画アプリのような形で黒字化を達成できると思っており、それは今でも変わりません。
ただ、大きな誤算の一つとしては、想定以上に既に競合が調達を重ねており後発であったことや、私自身の資金調達能力の低さにより、肝心のコンテンツ作成のための資金を上手く集めることが出来ませんでした。
そのため、数字は伸びてきてはいたのですが、自社でコンテンツ作成を一定の赤字を掘る計画で進めていたため、目元の資金不足を埋めることができず、またそれに対するリカバープランも私の力不足でやりきることが出来なかったため。今回このような形となりました。
2.CHATNOVELの上手く行っていた点
・広告の回収期間は4ヶ月程度と比較的高水準を取れていた
サブスク課金がメインとなっており「1週間無料トライアル転換率」「本課金転換率」「初月解約率」「2ヶ月目以降解約率」「ブレンドCPI」の5つが追っている重要指標となっておりました。
それぞれ「1週間無料トライアル転換率:7%」「本課金転換率:50%」「初月解約率:30%」「2ヶ月目以降解約率:10%」「ブレンドCPI:60円」のような数値となっておりました。
そのため、広告の回収期間としてはおおよそ4ヶ月程度、1年回収率は200%を超えており、広告を投下すればある程度回収できて伸びる状況を作り出せておりました。
(広告の出稿量としては月50万程度の微々たるものなので、勿論CPIが上がっていく前提はありつつ、PaidCPIも70円程度で、明らかに解約率など明確に悪い数値も多かったので、LTVもまだまだ上昇していくと考えています。CACの観点は後述します。)
この回収期間を実現できていたのは、CPIを低い水準で抑えれていたことと、CVRが高いことによるもので、特にCVRに関しては、DLあたりのユーザー課金率は7%程度、MAXで10%程度を出せており、目元伸び続けておりました。
(少し古い自社資料ではございますが、こちらのDLあたりCVRという数値は「1週間無料トライアル転換率」×「本課金転換率」を指します)
・滞在時間も漫画アプリさんなどと比較しても遜色ない数値を出せていた
CHAT NOVELの滞在時間はデイリーで17分程度と、各種漫画アプリさんの数字と比べても、それほど遜色のない数字を出せておりました。
(AppApeさんの、2020/5時点での各アプリのデータを参考にした自社資料dashboard.appa.pe/#/alpha )
・新作の数値など、色々な数値も上昇していた
2020/1-2020/3にかけては、編集部も組成されておらず、作品自体があまりクオリティの高いものを出せていなく、新作更新が他のKPIに全く寄与していない状態でした。
編集部が組成され「チャット小説における面白い作品」というものが徐々に理解できてきてからは、新作やホーム画面の数字の上昇が著しく、直近は新作のCTR(タップ数/imp)が20%を超えるなど、良い数値を出せていたのではないかと思います。一番良い作品では全体の40%ものユーザーが読み始められる作品もございました。
3.上手く行かなかった/足りなかった点
こちらに関しては、色々な理由により書けないことも多く存在しておりますので、網羅というよりも参考程度にお読み下さい。
・「チャット小説」のアップサイドへの疑念解決
資金調達において、一番指摘として多かったのはこちらとなります。
電子コミックが伸びているのは誰の目にも明らかで、現にインフォコムさんの「めちゃコミック」の売上は1Qで100億を超え、LINEさんの「LINEマンガ」の売上は1Qで75億を超えております。
(引用 https://www.infocom.co.jp/ja/ir/news/auto_20201026408560/main/0/link/ir2020103001.pdf )
ただ、それに対して、どこまで「チャット小説」という形態が伸びるのか?は弊社でも完全に答えは持てず、それらの疑念を晴らすような明らかに爆発的なトラクション、または他のサービスで満たされていない目新しいユースケース、を示せれば良かったのですが、私の力不足により、それらを示すことが出来ませんでした。
・後発における捲るための戦略とそれの実行
弊社は後発でチャット小説サービスを始めたため、他社さんと比べて現状のトラクションが弱く、後発であるが故のグロース戦略が当然ですが必要でした。
主要数字は伸びているのですが狂気的な伸びとまでは言いづらく、あまり決定打となるグロースシナリオが描けておりませんでした。
・作品制作のコストをマーケに転換できていなかった
弊社では売上の大部分が「アプリのサブスク課金」となっておりますが、それに対してのコストが「ストアの課金手数料」「アプリのマーケ費用」「コンテンツ作成費用とそれに伴う人件費」となっておりました。
「コンテンツ作成費用とそれに伴う人件費」は売上が大きくなって行けば行くほど割合が小さくなるのですが、逆を言えば当たり前ですが現在のフェーズでは大きくなります。(CPAとしては回収できているが、CACとしては回収出来ていない状態。)
調達が上手く行かないならば早期に黒字化するために「コンテンツを作りつつ、それを何かしらの形でマーケとして使えるような仕組み」もしくは「コンテンツ自体を極端に安く仕入れる仕組み=投稿がワークし、かつそこからマネタイズができる仕組み」のどちらかは必要でした。
コンテンツ自体の引力による流入、作家さんの拡散による流入、投稿機能とそれの改善、など色々考えて施策を打っておりましたが、十分なユーザー引力となるには時間と実力が足りませんでした。
4.会社のこれ以降
正確な時期は確定しておりませんが、前述したように株式会社CHAT NOVELは解散する予定となっております。(株主の方にご連絡と了承は取っております。アプリがまだ残る都合上、すぐにではございません。)
今回このような決断となってしまい、非常に悔しい思いをしていると共に、ステイクホルダーの方々には申し訳ない気持ちで一杯です。
アプリに関しては、細かい所だけ弄りつつ、実質放置のような形となってしまいますので、もし事業買収などに興味がある会社様がございましたら、メールアドレス、またはTwitterなどにでもご連絡頂ければ幸いです。
前述のように、キードライバーはシンプルであり、適切な資金を投入すれば上手く行くモデルであったと考えております。
また、ユーザー様や作家様でご不明点がある場合も同様にご連絡頂ければ幸いです。
メールアドレス:info※chatnovel.jp (※が@)
Twitter:@noritama241
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