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人間の1万倍賢いAIが到来する未来に向けて、私たちはどう備えたらよいのか?

この1週間の間に、OpenAIのDevDayとSoftbank World2024がありました。そこで発表された内容をもとに、この根源的な問いについて考えてみました・・・

OpenAIのDevDayとソフトバンクワールド

日本の日付で言うと10月1日ですね。OpenAI DevDayが開催されました。これは招待制のイベントで、すべての内容を一般の人が見ることはできません。しかし、OpenAIが66億ドルの資金調達を行ったというニュースがありました。金額にして9,000億円くらいですね。

どんな感じかというと、OpenAIの収益が約2,000億円に達したということです。1ドル150円換算で3,000億円の売上を持つ企業ということになります。去年は300億円程度の売上だったので、非常に大きな成長を遂げています。さらに、OpenAIの時価総額は1,570億ドル、日本円で約23兆円です。日本で時価総額が23兆円以上の企業はトヨタしかいません。また、調達した9,000億円のうち、約1割(8,000億円)はソフトバンクからのものです。

そのソフトバンクですが、10月1日に行われたこのDevDayでOpenAIの今後について発表がありました。ソフトバンクはその前の金曜日、つまりおととい、ソフトバンクワールドを開催し、孫さんがAIについて語りました。

さらに、マイクロソフトのCopilotという機能に関する記事もありました。マイクロソフトのオフィス製品(ExcelやWord、PowerPoint)に搭載されているCopilotは、プロンプトを入力すると、それに基づいて結果を返してくれるのです。さらに音声入力に対応していて、音声で指示を出すこともできます。カメラでこちらの様子を見て、状況に応じたアドバイスをしてくれる機能もあります。たとえば、PowerPointの資料を作っていると「小林さん、眠たいですか?」なんてAIが言ってくるかもしれませんが、逆にイラッとするかもしれません(笑)。

こうした技術が発展していく中で、AI時代における「人間らしさ」や「独自性」とは何なのか、という問いが非常に重要になってきます。非常に興味深い記事でした。

さて、このOpenAI DevDayとソフトバンクワールドで何が語られたのか、AIの未来についてまとめていきたいと思います。

AIの進化レベルについて

DevDayでは、AIの進化が5つのレベルに分けられると語られました。

  • レベル1は、チャットボット。質問に答えるだけのAIです。現在主流のChatGPTがこれに該当します。

  • レベル2は「リーズナー」と呼ばれる、複雑な問題を推論できるAIです。今回のモデルはこのレベルに達していると言われています。

  • レベル3はエージェント。自主的にタスクを実行するAIです。非常に柔軟で、タスクをサポートしてくれます。

  • レベル4はイノベーター。科学的な知見や技術を新しく発見するAIです。まるで研究者のような役割を果たします。

  • レベル5はフルオーガニゼーション。AI同士が協力して、完全に自律的に動く段階です。人間は必要なくなり、AIがチームとして動き、問題を解決するようになります。

また、DevDayでは新しい機能が5つ発表されました。

1. リアルタイムAPI
 チャットGPTの音声会話モードがリアルタイムで利用できるようになりました。これまではチャットGPTの公式アプリでしか音声対話ができませんでしたが、今後は他のアプリにもこの機能を搭載できるようになります。たとえば、Adaloのようなノーコードアプリでもリアルタイムで音声対話が可能になります。

2. プロンプトキャッシング
 過去のプロンプトを保存し再利用できる機能です。これにより、毎回同じ質問を繰り返す場合に電力やコストを削減できます。たとえば、Aさんが入力したプロンプトの結果を、同じ質問をしたBさんがそのまま利用できるようになるため、効率化が図れます。

3. モデルディストレーション 
 AIモデルの利用コストを最適化するため、タスクに応じて異なるモデルを使用できる機能です。最新のモデルは高コストですが、適宜過去のモデルを利用することでコストを抑えることが可能です。

4. ビジョンファインチューニング
 AIによる画像生成の精度を向上させ、細部の調整ができるようになりました。これにより、プロンプトに基づいて生成された画像の微調整が可能になります。

5. プレイグランドフィーチャーズ
 プロンプトを作成しやすくする機能です。これにより、さまざまなステップを効率よく進められるようになります。たとえば、リアルタイムAPIを使ったアプリの作成プロセスを簡単にプロンプトで生成し、ステップごとに進行できるようになります。

これらが10月1日に発表された内容です。

激動の1週間

私にとってこの一週間というのは、2024年の中でも特に頭の中が、雷が鳴っているような感覚でした。もう電気が走るような衝撃とでも言いましょうか。ニューロンがバーっと電気信号を送り合うような感覚です。  
この2024年の一週間というのは、人類が変わったとも言えるほどの出来事が起きた一週間でした。皆さんは気づいていましたか?それほどの衝撃的な一週間でした。

実際、孫さんも昨日、一昨日と話をしていました。先ほどのサム・アルトマンも、10日前のインタビューで、OpenAI DevDay直前にこの5つのレベルについて言及していました。そして、10月1日の5日前に行われたDevDayで、これら5つの主要な機能が順次リリースされるという発表がありました。そして、10月1日、一昨日ですね。

孫さんは、「AIの進化には8段階がある」と語り、その6番目の段階では「感情を理解し、長期記憶を持つ。さらに自らの意思を持つ」ということがありました。8段階目には「調和のとれた超知性」へと進化するという話もありました。ソフトバンクワールド全編はYouTubeでは公開されておらず、ソフトバンクワールドのページに登録すると見られる仕組みになっています。孫さんはこの8段階を語ったのです。

さらに、サーチGPTが登場し、O1が今後来るという話もありました。その後に登場したのが、ソフトバンクグループの社長である宮川さんでした。彼は非常にテクニカルな人で、資料も非常にきれいにまとまっていました。彼の話によると、AIモデルの進化において、私たちが現在使っているのはGPT-4ですが、その進化は膨大なデータ量に依存しているとのことです。データ量はギガ、テラ、ペタ、エクサ、ゼタと増え続けており、今や「与太」(ヨタ)レベルに達していると説明していました。この膨大なデータ量が、今後のAIの進化に欠かせないのです。

GPT-3.5を覚えていますか?これはサポート対象外になっており、現在では動作しなくなる状況です。まるでWindows 95のように、過去の技術は淘汰されていくのです。GPT-4が登場し、さらに進化したモデルが登場していますが、実際にはIQが80程度だったと言われています。つまり、まだ人間には及ばなかったわけです。しかし、現在の新しいモデルは大幅に進化し、人間の上位1%に匹敵するIQを持つAIが登場しています。


孫さんが言うには、AGI(人工汎用知能)は10年以内にやってくるだろうと言われています。さらに、ASI(人工超知能)はその10000倍の知能を持ち、10年以内に到達する可能性があると予測しています。

このようなAIの進化に対して、私たちはどうすればいいのか?AIが人類を超える時代に、私たちは何をすべきなのかが問われています。

AIが到来する未来に備えて、今日できること

さて、皆さん、今週、今月、そして今年できることについて考えていますか?私自身も含めて、今月やらなければならないことがたくさんあります。これについては、皆さんも普段やっていることだと思います。  
先日、OpenAIのプレイグラウンドでプロンプトジェネレーターのような新しい機能が出ましたが、どうしますか?「カチカチする」わけです。そう、リアルタイムAPIが音声に対応し、それを使う際も、やることは「カチカチする」だけです。  
これが今週末に行われるデジタル振る舞いプレゼンツのイベントでも求められます。皆さんもどんどん「カチカチ」して、新しいツールを使いこなすしかありません。

新しいAIが登場しようが、結局のところ「カチカチ」し続けるしかありません。これがこの一週間で感じたことです。OpenAIがこんな発表をして、ソフトバンクがまたAIに関する未来の話をして、そして「十年以内にASIがやってくる」と言われても、私たちには危機しか感じられません。

短期的には、「カチカチ」し続けることが重要です。そして、その延長線上で次に何をするかという視点を持つ必要があります。サーチGPT O1 Alphaのような新しい機能が登場するたびに、私たちは知識をアップデートしなければなりません。

サーチの前史

1997年、Googleの検索が誕生する前、情報を見つけるのは大変な作業でした。図書館に行って、本を並べて読んだり、索引を使って情報を探し出したりしていた時代です。私も家に百科事典があり、小学生の頃、それをAからZまで読んでいました。その索引を調べて、ページを見つける作業が、現在の検索エンジンに置き換わったのです。

Googleの登場は革命的でしたが、インターネット上の情報量が増加するにつれて、検索結果にも問題が出てきました。専門的な情報よりも、SNSの投稿やブログ、ノート、ツイートなど、一般の投稿が99%を占めるようになり、その中から有用な情報を見つけるのは困難です。サーチエンジンは人気度に基づいて結果を表示するため、真実かどうかは分からず、信頼性に欠ける情報が上位に表示されることもあります。

GPTとO1の違い

次にGPTやO1が登場しました。これらは単に検索結果を表示するのではなく、プロンプトに対するベストアンサーを生成してくれます。つまり、与えられた情報から最も適切な答えを作り出すのです。GPTは文字列を生成し、それをベストアンサーとして返してくれます。さらにO1は、そのベストアンサーに考察を加え、法的や経済的な視点からも評価してくれるのです。

プロンプトの重要性

しかし、ここにも問題があります。AIを使いこなすには、優れたプロンプトを入力できるかどうかが重要です。プロンプトを上手に書ける人とそうでない人の間には差が生まれます。これを解決するためには、プロンプトキャッシングやプロンプトシェアリングが必要です。社内でプロンプトの書き方が共有され、社員全体のスキルが向上していく仕組みが求められます。

このようなサービスが今後必要となるでしょう。そして、AIの進化とともに、私たちがどのようにAIと向き合い、スキルを磨いていくのかが問われています。

未来に向けて

長期的な視点で考えると、ASIがやってくる時代に私たち普通の人間がどうすべきかを考えなければなりません。AIがギャグを作り、小説を書き、ディベートもできる時代において、人間らしさとは何なのか。AIと人間の違いは何なのか。そんな問いが浮かんできます。

AIが到来する未来に備えて、長期的に考えること

長期的に見たとき、AIがさらに進化し、ASI(人工超知能)が登場した時に、「人間らしさ」とは何か、そして人間にしかできないこととは何か、という問いが浮かんできます。この問いについて、私は一年半ほど前からずっと考えてきました。そして再び同じ結論に至りました。

「アンパンとAI」――ちょっと変わった表現かもしれませんが、これが私の考えた答えです。では、その「たった一つのこと」とは何か。それは、「連絡をもらえる人間になること」です。

シンプルに聞こえるかもしれませんが、これは非常に深い話です。何かがあった時に「連絡をもらえる」存在になることが大事なのです。私もこれまでの人生で、多くの人との繋がりがありました。しかし、連絡が取れなくなった人や、喧嘩別れした人、意見が合わなかった人もたくさんいます。一方で、長年会っていなくても、ふと連絡をもらえるような人もいます。

人間とAIの違いは何か。それは「電力が必要か、食べ物が必要か」の違いです。AIには電力が必要ですが、人間は食べ物がなければ生きていけません。AIはどれだけ進化しようとも、電気がなければ機能しません。一方で、人間も食べ物がなければ生きていけない。AIが小説を書けるようになり、議論できるようになり、笑いや感情を表現できるようになっても、食べ物が必要なのは人間だけです。

世界には80億人の人間がいて、2050年には100億人に達すると予測されています。人間同士の経済活動やコミュニケーションがある限り、人間は生き続けます。そして、AIはどれだけ進化しようとも、電力がなければ動きません。人間が電力を作り出し続ける限り、AIは依存せざるを得ないのです。

この依存関係の中で、私たちができることは、「連絡をもらえる人間」になることです。「これ手伝ってよ」と言われたり、「一緒にやろうよ」と誘われる存在であること。AIにはできない「一緒に食事をする」ことができるのは、人間だけです。美味しいものを一緒に食べに行こうと誘われるような人間になること。これが、最も重要なことだと私は思います。

これを最初に書いたのは2023年の3月ですが、やはり最終的に人間が必要とされるのは、この「連絡をもらえる人間」になることだと感じています。ASIが5年後、10年後、あるいは20年後に登場するかもしれませんが、それまでに私たちが目指すべきは、誰かにとって「連絡をもらえる存在」であることです。

最近、私は子どもたちにも同じことを言っています。長女は高校1年生、長男は中学2年生ですが、彼らにも「今の友達を大切にしろ」と伝えています。卒業しても連絡を取り合い続けることが大事だと。そして、今は何気なく過ごしているクラスメートや友人が、将来何か大きなことを成し遂げるかもしれない。だからこそ、今の繋がりを大切にすることが重要なのです。

以上、私の話は少し長くなってしまいましたが、今週の出来事や感じたことをお話ししました。長文お付き合いいただき、ありがとうございました。


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