もう一つの免疫住宅 O氏夫婦の家造り
新しい和風を考える 縄文住宅のアップデートです
もう十年も前のお話
■ 地鎮祭
日本の家づくりは地鎮祭から始まります。
神様に降りて来ていただいて、ここに家を建てる許しを候こと、許されれば土地を清めて、幸福が舞い込むようにしていただけます。
家づくりで一番大切な神事です、特に作り手が問われることになります。汚れや邪心を持って家づくりを始めれば立ち行かなくなり計画は頓挫します。地鎮祭は工事の安全を祈願するとともに、神託を受ける場でもあります。
さて、今回の地鎮祭はいかがなりますでしょうか。
神主さんは女性の方でした、日和も穏やかで厳かに地鎮祭は始まってゆきます。
降神の儀が行われた時に、穏やかな風が吹いて華やかに光が舞いました。これは良い感じでかなりの神様がみえたなと嬉しくなりました。
神事が終わった後に神主さんが言いました。
「今日は女性の神様がみえて、綺麗な舞を舞っていただけました。素敵な家になりますよ」
だそうです、嬉しいですね。
日本はことあるごとに神様に来ていただいて、喜びを分かち合える民族でした。形あるものも無きものも、人も動物も植物も皆同じと考える民族でした。
この頃は地鎮祭を行わないところも増えて来ていますが おやりになられたほうがよいですよ。
神様がやって来て舞っていただいた家は、満月の夜に映える家になりました。
月を愛でる余裕を作り出すのが自分の家だと良いですね。
■ この家に棲む人々
この家を建てたのは60代のご夫婦、40年ほど前にお二人で会社を起こし、今ではその業界では名前も通る会社に育てあげました。
その間に必要に応じて増築して来た家は新旧入れ乱れて複雑になっていました。家族も増えて、減って今は二人です。
さて、会社を娘夫婦に譲り次の事業を始めようか。そのために孫と過ごせるように娘夫婦を呼び戻す家を造ろうと社長夫婦は考えました。
娘夫婦は同じ会社の専務です、お孫さんは小学生。さあお婿さんは同居するでしょうか。
◾️ 玄関は大事だ
玄関は福の入っくる大切なところ、風水的にも適切な位置にして広く明るく、夜は帰ることが楽しくなるようにデザインにしています。
玄関扉は栃の一枚板で造りました、来る人を優しく迎えてくれます。
右手奥に井戸神さまを祀る、かわいい社を造りました。家を建て替える時に井戸があったら慎重に扱わないといけません、日本は昔から井戸を大切にしてきました。ここでは庭の水まき用にいつでも使えるようにしてあります。
◼️ 木組みを変えて木造建築に革命を
玄関を入るとこんな景色です、天井の木組みが少し変わっていて印象的でしょう。日本建築の木組みではほとんどみない形です。この梁が外まで伸びていて軒の水平梁になっています、軒が水平だったのに気づいてもらえましたか?
水平だから光がストレートに入ってきて中が明るいのです。自然光をコントロールする意識を持つと上質の家になります。
◼️ 日本建築をアップデートしよう
普通の木造と違うところは床が石になっているところです。土間の部分は黒い石、ホールは白い石。入ってきた光が白い石に反射して内部をさらに明るくしています。反射した光は天井に光の波紋を映し出します、日常が美しく見える瞬間です。
◼️ 玄関の扉の記憶がよみがえる
リビング、ダイニング、キッチンは大きなワンルームになっています。奥さんは料理好きで時々、お友達を招待してホームパーティが開かれます。
ここも入ってきた光が白い石に反射して内部を明るくしています。白い石の下は地熱床暖房になっていて冬は暖かく過ごせます。
あっ、大きなテーブルは玄関扉と同じ 栃の一枚板 美しい木です。
◼️ キッチンを考える
まるで料理教室みたいと思っていたら、奥さんは料理教室を始めてしまいましたとさ。さすが起業家夫婦は行動力が違う、と思った次第。
キッチンは造りました、扉の板材は家の扉と同じ板材です、ですから家の中がすっきりします。気になる値段もシステムキッチン〇〇とさほど変わりません。
◾️ トイレはこれです
床の石は日本で一番ラジウムを含む石です。ほら、末期癌の人たちが蘇生すると言われる東北の玉川温泉や、同じように大病の人たちが谷に向かって休息をしている分杭峠などと同じ効果があり、気や磁場が調整されて健康になると言われています。
結構使っていますがいい感じです、ここでは科学的根拠と言われるよりも長い時間の中でいいと言われるものを使うことにしています。
この石の採掘場で職人がこの村は昔から癌になった人がいないと、ぼそっと言った。それがきっかけで調べてみるとなるほどと思える文献がそこかしこに、宝物の発見でした。
◾️ お風呂もいい感じです
浴槽は檜ではありません、槇という木です。空海が高野山で邪気を祓うために植えたと言われる霊木が高野槇です。
木のお風呂では槇が最高峰です、伊勢神宮や熱田神宮の特別な神事がある時に使われる、禊のお風呂が霊木の槇で造られています。
お値段もフェラーリクラス、ヒマラヤバーキンとか言われますが日本人はお値段のことをはっきり言いませんので定かではありません。
どうやらその時の端材か選定漏れの槇があるとかないとか、木こりが教えてくれました。
「設計士さん好きだろう、こんな風呂桶」
「大好きだ、設計したい」
端材でも5センチの厚み、いいところは神社へ行ったのだろうが、普段使うのには十分だ。
で、いくらになるの?
ラッキーというお値段、お施主や設計士などがいい運を持っているとラッキーな事が起きる。これもそれだろう、始めて槇の風呂桶を造ることになった。
いい運を持っている人と仕事をするのは大切です、私たちも良く最初に生年月日を聞かれます、それを持って懇意にしている占術家や霊能者の方に聞かれるようです。家づくりは一生の一大事の一つです、あたりまえですね。
さて槇のお風呂はどうか、肌触り、気持ちの良さはさることながら、3年間一度も洗ったことがないそうです。
拝見すると確かにお湯に浸かっているところの方が白くて全体に汚れがない。さすが霊木、邪気、汚れを寄せ付けない。
お二人とも健康そのもので元気に仕事をしてみえる。なるほど霊木とゼロ磁場石の効果だろうか。
正面の扉を開けてテラスへ出ると信楽焼のお風呂があります、露天風呂ですね。
◾️ 吹き抜けを下から見上げると
木組がよくわかります、古民家ではよく見る光景です。住む人たちは毎日これを見ながら家の成り立ちを知るのです。
基礎が大事と言われると、毎日これを見てればなるほどなと腑に落ちます。
◾️ ストーブに火が入りました
少し寒くなると、ご主人は朝起きるとストーブに火を入れます。夕方5時を回ると早々に帰ってストーブに火を入れます。
結婚してこれまで一度もなかったことです、と奥さんが笑っておっしゃってみえました。
このストーブは世界で一番美しい炎を創り出すと言われています。
なるほど美しい、早く帰りたくなるわけだ。
中庭ももう少しするときれいにされるでしょう、ご主人は日に2回はお風呂に入るそうです、風呂から見る美しい中庭が見えたら最高でしょう。
「これは元が取れたなあ」と嬉しそうに仰ってみえました。
それからしばらくして、ご主人は会社を娘婿に譲り、自分は奥さんと新しい会社を立ち上げました。
新しい美味しさの鶏肉を開発して世界で販売するんだと500坪の鶏舎を作ったそうです。
60半ばなのになあ、すごいバイタリティ。
ご主人は新しい家を作って新しい人生をスタートさせました。
めでたし、めでたし。
それから、娘さんとお孫さんは毎日夕食を一緒に食べに来ます。お婿さんは仕事が忙しいと会社にいます。
夕食が終わって、お孫さんの宿題が終わった頃、お迎えに来て一緒にマンションに帰ってゆきます。まあまあですね。
それから3年ほどしてデパートの肉売り場に聞いたことのある名前の鶏肉が並んでいました。
お二人の新しい人生はいい感じで進んでいるようですね。
楽しい家づくりでした。またね。