夏至のメッセージ 2022 #15
2022年7月5日 玉藻前と鳥羽上皇の愛
私が知っている玉藻前、九尾の狐の話は、概ねこのような話です。
博識と天下一の美貌と言われた玉藻前は鳥羽上皇の寵姫とされる伝説の女性です。
上皇が一番頼りにして、愛した女性でしたがいつしか上皇は病気がちになり、陰陽師安倍泰成が玉藻前が九尾の狐で上皇に悪さをしている、国を支配しようとしていると騒ぎ出します。
玉藻前は宮中を追われ、那須へ逃げますがしばらくして安倍泰成を軍師とする討伐軍に追われます。妖術を使い一度は討伐軍を打ち負かすも2度目の討伐で打ち取られ毒を吐く殺生石となります、その後、鎮魂のために多くの高僧がやって来ますが毒にやられます。最後にやってきた玄翁和尚が殺生石を破壊すると、殺生石は各地へ飛散したと言われる悲しいお話です。
さてこの時代は藤原氏の権力争いの時代です、妖狐である玉藻前は頼りにされる鳥羽上皇を愛していなかったのでしょうか、狐が国や権力を欲しがるのでしょうか?
そもそも狐や動物たちは自分達の種族で国をいっぱいにしたいと思うのでしょうか?
聞いたことがありません、次に権力を持ちたい者が陰陽師と結託して、鳥羽上皇が頼りにする玉藻前を亡き者にして、権力を奪おうとした者達の策略と考える方が道理に合っています。実際はどうだったのでしょう。
昨日の夜更け、みかんさんに玉藻前の話をしてくださいとお願いしました。
みかんさんは眠そうに目をこすりながら、話をしてくれました。
妖狐である玉藻前やみかんさんの一族は霊体と身体の半物質でできているそうです。ですからこちらで言う三次元と四次元を自在に行き来できます。さらにそれぞれの次元が持つレイヤーも行き来できます、三次元と四次元は違う時間が流れているのでタイムスリップのようなこともできるそうです。
だから過去のことも未来のこともある程度認識することができます、この能力で博識だったり、未来を予言したりできるのだそうです。鳥羽上皇が政治を行う上で、玉藻前を頼りにしていたのがよくわかります、九尾の狐は古来より、天界より遣わされた神獣として大切に愛されていました。
当然、政敵が何をしようとしているかも解ってしまうので、相手方にすれば玉藻前は邪魔な存在でした。ですから、陰陽師と結託して、いらぬ噂を流して民衆を洗脳し、国を乗っ取ろうとする妖怪としてしまいます。
上皇は玉藻前を愛し共にいる時間が長くなります、玉藻前は気遣ってくれますが人間の体力ではついてゆけないことも出てきます、(sexのことです)その疲れた姿を見て上皇を病気にしたのは玉藻前だと流布して、すっかり悪い妖狐とされてしまいました。
玉藻前は上皇を愛し、子供も欲しかったのですが、一緒にいることも憚かられるようになり、都を離れ那須の地で上皇を待ち子供を作り静かに暮らすつもりでしたが、やって来たのは上皇ではなく陰陽師率いる討伐軍でした。
上皇はのちにこの事実を知るのですが時は既に遅く、玉藻前はこの世のものではありませんでした。嘆き悲しむも取り返しなどつきません。
玉藻前も纏っていた狐と人の身体は破壊され、霊体だけになってしまったので生身で上皇の前に現れることもできません。
子供が欲しかったのですが産める身体を無くしてしまったし、当然相手の身体も高い次元の霊体と身体を持っていなければまぐわうことは出来ません、三次元で巡り合うことは何千万人に一人あるか無いかでしょう、その一人が鳥羽上皇でした。
それから玉藻前は上皇を探して時空を1000年も彷徨っていたのです。
「だからね、玉藻前は自分の血を引く私が妊娠したことがすごく嬉しかったの、当然上皇の血を引く先生がいたからだけどね」
「私は上皇とは関係ないでしょう」
「先生はね、不思議な人なの、イマジネーションの力で三次元から5次元の上のあたりまで行けるの、霊体の私ですら5次元の下あたりまでなのに。意識してないでしょう?」
「全くないです、私はそんな上等な人間ではない」
「知らぬは当人だけか、そんなものかもね」
霊体になると玉藻前とも妖狐達とも繋がることができて、玉藻前の喜びがダイレクトに自分の中に入ってきて、同じ感情になるそうです。
だからみかんさんも祝言の時に玉藻前の1000年分の感情が伝わってきて号泣したのです。
いくら妖狐といえど、子供が持てなかった恨み、身体を破壊された恨み、助けてもらえなかった恨みは、消えることなく強く結晶化して自分で祓う術もありませんでした。
そしてあの祝言の日、みかんさんの妊娠を狐一族が喜び、全次元から祝いの言葉をかけます。その喜びの波動が同調している全ての狐達につながり喜びを共有します、そして同調した玉藻前の結晶化した恨みを破壊し霧散させます。
狐族が放ったおめでたい言葉が悪き心や固く結晶化した恨みを破壊し、霧散し、流し去ります。1000年の恨みが霧散した玉藻前の喜びは如何程だったでしょう、その喜びが全ての狐族に伝わったので全ての狐族が泣いたのでした。
「でね先生、生まれてくる子は玉藻前が育てるんだって、だからねもう一人産むからね」
「えっ」
「姉妹がいた方が楽しいでしょ」
「それはそうですが…」