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趣味は暮らし うるわしき内に棲まう    照明器具の光 matériel d'éclairage

趣味は暮らし うるわしき内に棲まう

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照明器具の光
matériel d'éclairage


照明器具好きなんですね

だからフラフラとライトギャラリーに迷いこんでしまい
Turkey と巡り会ったのが32年前

写真の照明器具はほとんどがブリュッセルの
アールデコアンティークシップで購入した物
一部イギリスから輸入した物です

-Maurice-

花と照明とMACでこの構図、実像と虚像のコントラストが面白い


MauriceとTurkeyが初めてあったのは1990年

戦後の日本が一番輝いていた頃です
世界中の富と世界中の良いものが日本に集まっていました

次の年にはバブルは弾けてしまうのですが
大損害を目の当たりにしたのは
泡銭にうつつを抜かしていた一部の人々で一般の人たちは

その後10年ほどは
バブルの残り香を楽しむことができました

そして

衣食住のセンスが研ぎ澄まされていった頃です

Mauriceの家にはいつも花が活けてあります


Turkeyは都心から少し離れた住宅街の手前で

New York Light Gallery

という照明の専門ショップを営んでいました

お店にはアールデコの照明が無造作に
吊り下げられたり置かれたりしているのですが

明かりをつけた途端に1930年代のマンハッタンになりました

エンパイ アステート ビルディングや
クライスラービルディングが建ち並ぶ

ニューヨークアールデコの時代にタイムスリップします

Turkeyもお店もとびっきりにおしゃれでした


この日はチューリップ


90年代の初めは
美しい照明器具はまだ多くはありませんでした

遠い昔のように感じるかもしれませんが
戦争が終わって45年しか経っていません

パナソニックや東芝という家電メーカーは
大量生産、大量供給という経営哲学でもの作りをしているので

美しさや情緒感、美意識は理解していません

人気のあるものをコピーして安く供給する感じでしょうか

著名な建築家の照明を手がけていたヤマギワという
照明メーカーがかろうじて質の高いものを造っているくらいです

著名な建築家との仕事なので
どちらかというと日本的な照明でしたが質はなかなかのものです

しかし、バブルの終焉とともに
残念なメーカーになってゆきます

モリスの家は洗面所もアールデコ


そんな時代の中で

Turkeyの選ぶ照明器具はおしゃれで
ステキなものばかりでした

Turkey自身もおしゃれでイカシタオヤジでした

お店には活躍している店舗デザイナーや
雑誌や広告のデザイナー、コーディネーター
売れっ子の建築家という
感性の高い人たちが出入りをして繁盛をしていました

店の駐車場にはおしゃれなお客さんの
フランス車やイタリア車が停まっていました

おしゃれで美しい照明は
Turkeyの店にしかなかったのです

照明の光と木漏れ陽


家の中の照明は花や家具を美しくするものです
本やTVを見るためではありません

建物は昼間の太陽に照らされた姿と
夜の月に照らされた姿とあります
どちらの顔も美しく設計された建物が良い建物です

同じように
今と30年後の美しさを頭の中に描いて
デザインしてくださいね

未来を見に行ってデザインしてくださいね
そこに光と愛があるように

建築の女神様に言われたことがありました


昼の光と夜の光


バブルの残り香も20年もするとすっかり消えてゆきます

おしゃれで華やかだった人たちも見なくなり
気づけば当時憧れていた人たちと同じような年齢になっていました

街には華やかな情緒感とは違う方向性のものが
成熟とはちょっと違うような

Turkeyは店を閉めて郊外へ引っ越し
小さな飲食店を始めました

そして

いつしか浄土に憧れて
仕事も家族も居場所もきれいさっぱり始末をして
枯れるように亡くなりました


Mauriceから連絡をもらって
何年かぶりにあったTurkeyは

おさきにー


という感じで横たわっていました


Mauriceの リヴィング ダイニング


そして

何年かぶりにMauriceとあって、このフォトエッセイを始めました

Turkeyは面白がっているのかなあ

憧れの浄土はどうだいと聞いたら

楽しいさ

だって



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