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中国の自動車メーカーはここが凄い!

norippyです。
最近BYDが日本で乗用車を売るぞ!という話が話題になっていますね。
BYDはブリー・・・中国の自動車メーカーです!
(Build Your DreamsからBYDという名前がつけられてます)
正直日本発表前から情報が出ていたSealは少し気になっていました。かっこいいですよね。正直欲しい。横浜に展示してあるらしいですね。すごく気になります。

そんな中国の自動車メーカー、どんなイメージを持っていますか?
実は中国で生活していると中国の自動車メーカーが凄いことに気づきます。特に日本や欧米とは異なる進化をしており、その進化はとても魅力的。
もちろん万人受けではないと思いますが、日本でも20代、30代なら欲しくなるのではないかと思っています。

私自身自動車業界で仕事をしているため、いろいろな車を見ることがあるのですが、その中で自分が気になっている、欲しいと思っている車を紹介しつつ、中国の自動車の魅力や特徴についても紹介していきます。

そもそも自動車の魅力とは?

自動車のレビュー動画や雑誌を見たことはあるでしょうか?日本ではモータージャーナリストが発信する情報といえば「走行性能」「快適性能」にフォーカスされています。
確かに車は乗り物。人間が行きたいところに行くための道具です。だからこそ走行性能や快適性能にフォーカスがいくのは納得できます。

しかし走行性能がいいから2時間も運転できるかというと、そういうわけではないですよね。車の中で音楽を聴きますし、家族も楽しませなければならない場合もあります。それをどう実現するか・・・そんな観点の評価があってもいいのではないでしょうか?

正直ジャーナリストの記事を見ていても、このカーナビが凄い!車の中でこんな事ができるぞ!この車はコネクティッドサービスがついていて便利だ!なんて話はほとんど出てきません。

最近の車はカーナビでエアコン操作できたり、車のシートの設定などの車の設定ができることを知っていますか?
スマホから事前にエアコンをつけたり、ドアのロック/アンロック、車の位置確認ができることを知っていますか?

ヨーロッパの高級車だけでなく、日本の各自動車メーカーの車でも既にできるようになっています。知らない方の方が多いのではないでしょうか?
そう、私たちが見ている自動車のレビューは全てではないんです。

そして中国はこのあまり見てこなかった魅力において、独自の進化をし、日本や欧米を脅かす存在になってきています。

中国メーカー、中国車の魅力とは?

「車内でのエンターテイメントを中心とした室内デザイン」に大きな違いがあります。これは文化的、経済的な成長の違いというの背景にはあると思いますが、ユーザーが求めるものが違うため、日本、欧米と異なる進化をしています。

まず中国は日本と違い、各家庭で所有する自動車の台数は基本的に1台のようです。これは政府が自動車の登録車数制限をしていることが大きいと考えられます。車をかったらすぐにナンバーがもらえるわけではありません。
そのため、高級車であっても中国車は家族で乗る事が前提で車のデザインがされています。

では日本や欧米のように一人で乗る事が前提でデザインされている車と具体的にどんな違いがでてくるのでしょうか?

実際どんな車があるのか気になる人は先に下記リンク先の「汽車之家」という中国国内の自動車レビューサイトを見るのをお勧めします。
自動車の写真も豊富にあり、日本で売られていない車ばかりで見ていて面白いです。

車の中でできる事が違う!

個人的にインパクトを感じた機能は以下になります

  • bilibili動画 や TikTokの動画再生

  • カラオケができる(歌詞が表示される)

  • スマホ画面のミラーリング

  • 車の中で写真撮影

日本では怒られしまうような動画の再生が当たり前に搭載されています。
中国ではストリーミングの動画が見れる事が必須となっており、こういった機能がないとなかなかお客さんは買ってくれません。DVDを車の中に入れておくなんてありえないんですね。

そして中国は音声認識、音声アシスタントを頻繁に利用する文化です。

そのため音声認識ができることも前提ですし、音声で何ができるか、誰が操作できるかというのも魅力の一つになっています。
できることも圧倒的に日本車より多いです。窓の開閉、エアコン操作は当たり前のようにできます。
また誰が操作できるようにするかという点では後部座席の人も操作できるようになっています。つまり、各シートの近くにマイクがあり、トリガーワードを発すれば誰でもIVI(in-vehicle infotainment)を操作できるようにしています。

このような独自の進化を進めている中国は、だいたいこのような内装レイアウトの車が多いです。大きなディスプレイがセンターに置かれ、後ろからも見る事ができます。また、物理スイッチが極端に少ないです。ほとんどの機能設定はこのIVIの中で行います。テスラみたいですね。

BYDの漢(Han)という車

テスラのパチモンじゃねぇかというと、デザインはかなりその影響をうけていると考えられますが、「車の中で動画見たり、家族が楽しめるようにしたい!」という需要は中国で昔からあったのではないかと考えています

中国発!Androidカーナビの世界

少し横道にそれますが、中国は結構前から車載Androidを作り、販売をしてきました。スマートフォンが作れるなら、それを車用に作ったらいいじゃないかという事で多くのメーカーで作られたものと考えます。そのためシステムの作りはまさにスマートフォン。スマートフォンで使われているチップをそのまま使い、AndroidをOSとした車載特化のスマホとでもいうような製品が作られています。Andoridなので、車の中でYoutubeを見ることもできますし、Apple musicで音楽を聴くこともできます。アプリはPlay storeからDLするだけなので、ある意味なんでもできるようになっています。

日本でもATOTOが有名ですよね。日本の伝統的なカーナビと比較しても安くて多機能になっているので、既にこのようなAndroidOSのカーナビを利用されている方もいらっしゃるかと思います。

そんな私ももう5年以上はAndroid OSのカーナビを使っており、JOYINGというメーカーのものを使っています。

JOYINGのHPを見てもらうと、10年近く前の車に綺麗にインストールできるように内装パーツを作っており、それとセットで売られているものもあります。
逆にテスラのように巨大なディスプレイを浮かせて取り付ける事ができるような1DINが本体の製品も存在します。
正直使ってみるとめちゃくちゃ便利で、日本のメーカーのカーナビを買うことはできなくなります。

話を戻すと、今までは車の機能がそれほど多くなかったこともあり、このカーナビだけで事足りていたのですが、ここ数年テスラを手本としてカーナビに車の持っているセンサ情報等を扱えるようにすることで、今までできなかったこと、誰もが考えもしないようなサービスをユーザーに提供する流れができてきました。そしてこの流れは今後も続くと思います。

中国は走行性能だけ見ていればOKではなく、「車の中でできる事」この価値観で車を買ってくれるかどうかが決まる世の中になってきていると考えています。

では、実際にそんな車の中のシステムがすごいなぁと感じた、自分も欲しいなと思う車をいくつか紹介します。

AITO 問界M5

このAITO 問界M5という車、実はHUAWEIのブランドです。そうHUAWEIが販売している車なんです!

広州のあるショッピングモールにはHUAWEIのストアが入っているのですが、スマホやタブレットの展示の横に車が置いてあります。
そしてお客さんはスマホ見て、車も見ていくわけです。車を見にきたつもりが、HUAWEIのスマホがあるとさらに便利ですよと紹介されて・・・買ってしまうのかもしれません。

ストアのイメージ(https://www.cadacac.com/detail.html?id=4433 より)

このM5はHarmony OSが搭載されたIVIを積んでいます。Harmony OSはHUAWEIが開発した新しいOS。基本的にAndoridと互換性があるようなので、AndoridのAPPも全てではないですが動かせるとのこと。

実際にM5に乗ってこのHarmonyOSの端末を試したのですが・・・正直他のメーカーと違い爆速!ぬるぬる動きます。そしてAndroidOSのカーナビのようにStoreから多くのアプリをインストールできるようになっています。
また、特徴的なのはHUAWEI Linkと呼ばれる機能。
実際に使っているところを見たのですが、普通のミラーリングとは違い、車の端末の画面から、スマホを操作する事ができます他にもHuaweiのスマホであれば家で見ていた動画や音楽をそのまま車に持ち込んで続きが見れるようになっているというのも売りになっています。
また乗って面白いなと思ったのは、車の中が撮影できるカメラが搭載されており、記念撮影ができるようになっています。まさに車に取り付けられたタブレットといった感じです。

M5の内装。真ん中のディスプレイがHarmony OS搭載のシステム

HUAWEIは正直このインフォテインメントシステムにおいて群を抜いた存在だなと感じました。

ちなみに、VOLVOは既にgoogleが公式に車載向けのシステムとして提供しているGoogle Automotive Systemを搭載していますが、正直HUAWEIと比較しても大きな差ができています。
日本でM5が発売されたら、正直買ってもいいかなと思います。ただ足回りは微妙だったので、自分だったらすぐにサスペンションは交換しちゃうかな。

NIO ET7

NIOという会社ご存じでしょうか?車が好きな方は2017年にドイツのニュルブルクリンクで中国メーカーのスーパーカーが最速タイムを叩き出したぞというニュースがあったのをご存知かと思います。このスーパーカーを作った会社がNIOです。このNIOはこのスーパーカーで話題を作った後、乗用車の販売を開始、既に6車種もあります。またNIOはただ車を作るだけではなく充電ステーションの設置にも力を入れている新興EVメーカーです。

内装がおしゃれ

この車、他のメーカーと違う特徴があります。よく見ると、インパネの上面に何かいますよね。センタースピーカーではない別のものが。

NOMIというロボット

そう、この車にはNOMIという名前のロボットがいます。このロボットはサイバーフォーミュラで言うところのアスラーダヘッドみたいな役割のロボットで、車のアバターとなっています。音声認識で話しかけるとこのロボットが反応し、そして命令が実行されると言うわけです。

この車いいですよね!ロボットで家族が楽しめる空間を提供しています。このNOMIは他のET7以外にも搭載されています。
音声認識の機能ではただコマンドが実行されればいいという考え方ではなく、ユーザーとのインタラクションをすごく意識したシステムだなと感じますし、この考え方は他のメーカーにも見られます。他のメーカーでもVirtual Personal Assistantと呼ばれる音声認識のUXを向上させるためのキャラクターがIVI上にいます。エクセルのイルカみたいな感じです。音声認識が実行されると、そのキャラクターが動いて、反応をしてくれます。
ただ個人的にはNOMIの方がいいですね。やはり物理的に動いてくれた方が可愛いですし、愛着が持てます。
事実NOMIはアフターマーケットで着飾れるようなアイテムが多数売られています。

Taobaoには多くのnomi用の帽子が売られています

ちなみにまだNIOには乗った事がありません。近いうちに乗ってみたいと考えています。

理想汽車 理想L9

最後は最近見られる中国の車のコクピット構成をとっており、かつ今後こうなっていくであろうと考えられる一つの答えを具現化した車を紹介します。それは理想L9。こちらも中国の新興メーカーで、既に理想ONEというレンジエクステンダーEV(PHEVの一種)を出していたいのですが、7月になり新しく理想L9という車を出してきました。
L9はまだ予約中の段階で見ることはできていないですが、調べるとかなり興味深い内装になっています。

ディスプレイが助手席まで伸びてます!

理想ONEと同じコンセプトだと思うのですが、このL9も助手席の人が楽しめるような空間を提供しています。助手席でも目の前に大きな画面があり、その画面を見ながら移動を楽しめるといったところでしょうか。こういった構成の自動車は中国のメーカーではまだ珍しいです。

この車の設定画面と独立して助手席で常に動画を見ることができるというのは、今後増えてくるのではないかと思っています。
結局真ん中にディスプレイがあり、そこに車の設定があると、どうしても動画をみたい家族と設定を変更したい運転手の間でどちらかが我慢をしなければならない瞬間が生まれるからです。

メーターが小さい!

このL9はメーターが異常に小さく、何かを設定できるような作りになっていません。IVIで車の設定を全て行い、メーターは最低限の表示をする表示装置という構成は中国の自動車メーカーで最近よく見られる傾向です。

そしてヘッドアップディスプレイの情報が充実してきています。ステアリングスイッチはこのヘッドアップディスプレイの表示内容を変更するために実装されているような車も存在します。

今までの自動車のインターフェースの概念とは異なる考え方で作られていて面白いですが、本当にこれがユーザーに受けるのかどうか・・・これからも中国の市場を追う必要がありそうです。

最後に

中国のメーカー、知らないうちに凄いことになっています。特に自動車文化の歴史が浅い分、安全性に対する意識に欧米や日本と違いがあり、その結果日本では怒られてしまうような大胆な室内空間になっているところもあります。ですが、日本で車に乗っていて「こんな事が車の中でできたらいいのになぁ」と考えた事やっていませんか?

初めての自動車、車に興味がそこまでなかったら何を基準に車を買うでしょうか。事実、中国の若者はこの「車の中でできる事」を重視して車を選んでいます。

そう考えるとBYDの日本進出は日本のメーカーにとって脅威なのかもしれません。

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