自動車のアフターパーツ展示会で感じる、中国のアフターマーケット事情
こんにちは norippyです。実は3月の初旬に中国の自動車市場のアフターマーケットの展示会に行ってきました。
この展示を見て、アフターマーケットはユーザーのニーズをしっかり反映していますし、それに対する中国の自動車メーカーの進化の方向に納得感が得られました。
今回はそんな展示会の様子とともに、中国がどんなアフターパーツマーケットになっているのかを記事にまとめます。
なぜ興味を持ったのか?
中国で生活する中でオートバックスで売られているような車を後からカスタムするモノになんとなく日本と違いがありそうと感じていました。何故そう感じたかというと・・・
1.圧倒的純正ホイール装着率の高さ
2.頻繁に見る”藤原豆腐店(自家用)”のステッカーチューン
3.中華ECサイトを見て感じる内装グッズの多さ
があります。日本みたいにエクステリアを変えた車は無いものの、やたら内装に取り付けるパーツは多いんです。
実際どんな商品が存在するのか、またネットを見てもモーターショーの記事や情報は出てきますが、アフターマーケットのトレンドを知る機会はあまりありませんでした。そういう背景もあり、中国ではどんなカスタマイズが流行っているのか、どんなカスタマイズが存在するのかをチェックしたいと思い行ってきました。
Auto ecosystems Expoに行ってきました!
深圳で3月初旬にAuto ecosystems Expoという展示会がありました。
元々昨年の7月に行われる予定だったイベントがコロナの影響で何度も延期、年が明けた3月3日から5日の間に開催されました。
日本だと東京オートサロン等がありますが、オートサロンと同じようにアフターパーツを作っている企業がこの展示会に出展しています。
また自動車メーカーも出展しており、カスタマイズした自社の自動車を展示するエリアもあります。
会場マップを見てみましょう。
日本のオートサロンとは全然違いますね。各コンテンツごとに分かれています。
カテゴリだけ見ると日本と同じように見えますが、実際に展示会場に入ると、日本と展示しているものが違いました!
それでは見た中で特徴的だったポイントを記事にまとめます。
LEDを使ったパーツは大体売ってる
日本でも車のテールランプ、ヘッドライト自体をアフターマーケットで売っていますが、あれって大体中華圏の会社が製造しているんですよね。中国行ったら・・・ほんといろんな車のテールランプやヘッドライトが売られていて驚きました。こういう会社は1社ではありません。ぱっと見て回ったのですが、20社以上はこういったヘッドライト、テールランプ自体を展示していました。
中国では頻繁に交通事故を見ます。事故でヘッドライトやテールランプが割れて交換しなければならないとなったときにこういうアフターマーケット品に交換して一緒におしゃれにしてやろうというのがあるかもしれません。
他にもメーカー純正で出ているサイドステップもLEDで点灯するパーツなど色々売っていました。
日本で売ってるLEDで光るパーツってこういうのを見たバイヤーが発注して作ってるんだろうなあぁと改めて思いました。
交換規模のおかしいインテリアパーツ
この展示会の中で一番インパクトがあったのがインテリアパーツエリア。
高級車に乗っているようなお金持ちの方々は純正の内装では気に入らず、自分で好みのものに変えるようです。小さなものであれば加飾部品ごと交換や、もちろん革の張替えもありました。
このあたりは日本でも見ますが、規模がおかしかったのはMPV、ミニバンのインテリアパーツ。
どういうことかというと、後席のシートをまるっと交換、床材の交換、ルーフの交換(追加?)
日本だと1点物で作りそうなものを展示しています。これも10社以上ありました。
特に後席のシートですが、元々アルファードとかがっつりリクライニングするシートになっていますが、それでは気に入らない場合好みのシートにさらに変えるという事のようです。
中国でのMPVの立ち位置は運転手さん付きの偉い人が後席に乗って使う社用車といった印象が強く、一般の人が購入するようなポジションにはありません。そのため、最近中国メーカーから発売されている車は本当に豪華。このアフターマーケットを見ると、MPVがとにかく他社より豪華で魅力的な車を作る事に重きが置かれている事に納得します。
オーディオ競争が激しい
オーディオ関連の企業ブースだけで1ホールが埋められていました。中国の車載スピーカーは競争が激しいようです。
中国はいろんな企業の工場があるからなのか、かなりいろんなメーカーの企業のスピーカー、アンプが展示されていました。カーオーディオ業界においてもかなり重要な市場なんだろうなと感じました。
このHOTな感じを見て、中国メーカーの自動車が有名な音響機器メーカーのスピーカーを搭載している事に納得しました。安いスピーカーを使ったら商品力が落ちてしまい、購入候補から落ちてしまうのかもしれません。
日本もヤマハやソニー、アルパインといった企業のスピーカーが使われています。ヤマハに至ってはスピーカーだけではなく、車を使って環境チューニングを施しているそうです。
カーオーディオエリアの外に行くとスピーカーのインストールされた車の展示も結構ありました
音出してなかったけど、聴きたかったなぁ。すごいんだろうな。
日本では売られていないアンプ、スピーカーというのがそそられました。
カーフィルムが人気
日本ではガラスコーディングでボディーを保護する、輝きを維持するのが主流ですが、そんな展示は全くなく、”車にカーフィルム貼ろうぜ!”ばかりでした。ボディすべてにフィルムを貼り、車全体を保護するわけです。
好きなカラーにするのもあり、透明なフィルムで元のボディーカラーを維持するのもありで、フェラーリやポルシェ、変わったところだとBYDの車といった車にフィルムが貼られた車が展示されていました。
そして原価率を考えるとかなり収入が得られるのでしょう、各ブースが大きく羽振りが良い印象を受けました。
中国で生活をしていて感じるのは洗車機が無い事。都市部だからというのもあるかもしれませんが、自分で洗車するというより専門店で洗車をしてもらうのを見かけます。家の近くでもGクラス等高級車が洗車されています。自分で洗車せず他人に作業してもらうとなると、何されるか分からないのでフィルムを貼って傷から守るための対策としてカーフィルムが人気なのかもしれません。
車のチューニングは海外製
内装がすごいのは分かったけど、エアロパーツとか、吸排気、足回りのパーツは無いのかというと・・・この分野はあまり盛んではないようです。
他のブースは中国のメーカーばかりでしたが、チューニングのホールは頑張っている中国メーカーと海外のメーカーの代理店が出展しているなという印象でした
またチューニング関係を見ていて、日本だといっぱいあるのに、中国だとほんの数社しか展示が無かったものがあります。それはホイールです。
会社で同僚に聞いてみたところ、ホイールを交換するのが怖いとのこと。中国メーカーが作るアフターパーツのホイールの品質を信用できないから怖くて買えないんだそうだ。確かに街中の車屋さんを見るとホイール全くおいてないんですよね。タイヤしか置いていないんです。もちろん走行中に壊れたら事故ですからね・・・
またエアロパーツも少なかったです。
なんでそんなに外装関係を変えないのだろうと不思議に思っていたのですが、後日車高調に関して面白い話を聞きました。どうも中国の法規では何がOKで何がNGなのか明確に定義がされていないようで、まさにグレーゾーンにの状態にある事。つまり警察官の判断でOKにもNGにもなってしまうようです。日本のメーカーはアフターパーツを純正で出していますが、中国では展開していません。それはこういう理由でリスクがあるからなんだなとわかりました。
結局チューニングはいろいろな面でリスクがあるため、純正を使い続ける事になる、だからチューニングはお金持ち向けの趣味の世界なんですね。
このチューニングホールの端の方にCool Car Showという小さなモーターショーをやっているエリアがありました。
中国で鬼キャンを見る事になるとは・・・これもここまで仕上げるのにすんごいお金かかってるんだろうなぁ。
レース仕様もちょっとありました。RX-8に至っては中国で売られていないので、左ハンドル仕様のある海外からわざわざ輸入してますね。お金持ちすごい・・・
そしてこれらの車は普段から警察官に止められるリスクを負っていて、それを覚悟で好きな車を楽しんでいるユーザーがいるんだなと思うと、中国ではチャレンジングな趣味で、やっている人に敬意を表すしかないなと思いました。
各自動車メーカーのカスタム
2ホール使って各自動車メーカーがカスタムした車を展示するエリアもありましたが、残念ながらカスタムを分かってない会社が多く、ただ新車展示してるだけのメーカーが多くありました。各メーカーがどんなものを出すのか期待していたのですが、ちょっとがっかり。でも、中国の車の展示会の面白い所かしっかり残っていました。それは、カスタムカーであっても乗り込むことができる事。日本だったら遠くから眺めるだけの内装も自分で乗って触る事ができるようになっていました!
ここでは心惹かれたいくつかのメーカー展示を紹介したいと思います。
五菱 宏光MINI & KIWI EV
日本で売るかもしれないといわれている五菱の宏光MINI、実は広州モーターショーの時には展示はありませんでした。この展示会で私は初めて見ましたが、ほんと小さい。でも調べると実は軽自動車規格より大きいんです(車幅がオーバー)
展示車両は宏光MINIとKIWI EVの2種類で宏光はオープンのモデルも展示されていました。
個人的に気に入ったのはこのKIWI EV.宏光MINIと比較して内装にお金がかかっています。この車はメーターしかありませんでしたが、高いグレードだとセンターにディスプレイオーディオが搭載されます。
写真をよく見てほしいのですが、メーターディスプレイ、コンテンツが計器類だけかともったら、右3分の2くらいがナビになっています。そう、このディスプレイメーターとナビ兼用になっています。オーディオとか動画とかも再生できるそうです。中国自由すぎだ・・・
LYNK & CO
この会社は実際にレースに出ている車両をメインに出していました。
LYNK&COはマフラー作ったり、オリジナルのレーシングスーツを販売したりして、モータースポーツ頑張ってるぞという意思を感じました。調べてみると中国にも独自のツーリングカー選手権があるとのこと。この展示車両はそこで活躍しているみたいですね。
だけど車を見るとエンジン回りはノーマル然としています。エアクリーナーを毒キノコにしたり、エキマニを変えるようなものは見られず、ボディーをドンガラにしてロールケージ付けましたという感じでした。
もちろん市販車のカスタムの提案もありました
考えてみると今EVに注力しているこの中国でモータースポーツにメーカーとして取り組もうって結構ハードルが高いのではないかと思います。今後も続けてほしいなぁと思いました。
日本のメーカー
日本の企業は意外とおとなしく、ほぼ車の展示をしているだけでした。マツダのみCX-30のリアドアつぶしたかっこいいSUVを仕上げて展示していました!
こういうのだよ!こういうのを見に来ているんだよ!スポーティでかっこいいじゃないですか!
そしてもう一つこの展示会に来て良かったことがあります。広州モーターショーでは遠くから見る事しかできなかった新型CIVIC type R。この展示会ではなんと自由に乗り込むことができました!
スポーツカーが好きな若者がワクワクしながら乗りこんで、ボンネット空けてエンジンルームを見てニヤニヤしているの見ておじさんはうれしくなりました。ボンネットの開け方分からず困っている子のためにボンネット開けちゃましたからね笑
でも中国だとこの車800万円するんですね。若者が買うには厳しい価格ですね・・・。
さいごに
中国のアフターマーケット市場はまさにお金持ちのための市場でした。
もちろん庶民を狙った電装系(Androidナビや、DVR)も多かったですが、この大きな展示会のメインターゲットは高級外車に乗っているお金持ちだと感じさせられました。
そして法規や品質によるリスクもあって、内装カスタムがメインになっているという特徴がある事も分かりました。
このアフターマーケットを見てると、そりゃ新車はどんどん内装が豪華になっていくよな、ナビゲーションシステムもどんどんスマホみたいになんでもできるになっていくよなと中国メーカーの進化の方向に納得感が得られました。
4月18日から始まった上海モーターショーを見ていると、いよいよ助手席前のディスプレイが搭載されたり、助手席前にディスプレイが移動するような車が増えてきましたし、進化はまだ止まらないようです。
最後に・・・この進化を見ていると、数年後にこうなるんじゃないかと感じざるを得えません!
数年後こんな車がメーカーから出てきたら面白いですね笑