前期破水から始まった
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夜ごはんくらいの時間帯、2ヶ月ほど前に出産した友人から連絡が来た。
「もうすぐだね、楽しみだね。今しかダラっと過ごせないから、思いっきりダラけて、ゆっくりその時を待つんだよ。」とメッセージをもらった。
その2〜3時間後くらいのこと。
夫がシャワーを浴びているのを待っていると、腰と尾骨のあいだくらいの自分の身体の中から「パンッ」とも「プチッ」ともいえる何かが弾けるような感覚があった。
その直後、尿もれのような、でも尿漏れにしては少し多めな、何かがジュワッと出る感覚があった。
急いでトイレに駆け込むと薄ピンクなシャバっとしたものが、おりものシート全体に染みている。もちろん下着にも染み出している。
大きいナプキンに付け替え、下着を替える。不安になり「おしるし」「破水」で検索する。その間も10分おきくらいに、そのジュワッとした何かが出てくる。さすがにこれはただ事ではないと思った。
シャワーから出てきた夫に相談。
念のため確認しておいた方がいいねとなり、22:55病院に電話する。状況を話すと「破水かもね…」とのことで急いで病院に向かう。
やけに冷静だった。冷静にしなきゃと無意識に思っていたのかもしれない。用意してあった入院バッグの中に、その日にいれるものリストを見ながら充電器やイヤホンを無造作にカバンに突っ込む。
使い古したバスタオルを座席に無造作に敷き、台風の余韻が残る大雨の中、車を走らせてもらった。
病院に到着し、まずワタシだけが夜間通用口から入る。インフルエンザの検査の時のような、長い綿棒のようなもので検査ができるらしい。酸性(オレンジ)であればおりもの、アルカリ性(青色)であれば羊水と判断される。
いわゆる内診グリグリというものもされる。
噂通りの痛さで腰が浮く。
結果は真っ青。破水していた。
そのまま流れるように入院することになった。
車に置いてきた荷物は夫から看護師さんに手渡された。改めて顔を見ることもできず、夫は一旦家に帰った。
前期破水は、母子共に感染症の恐れがあるらしい。早速点滴をされる。NSTもつける。
とりあえずおなかの中の子は元気そう。よかった。
点滴が終わると病室に案内される。完全個室のわりと人気な産院なだけあって、下手なビジホよりもキレイで広くてとても快適そう。
破水してしまったため、感染対策のためシャワーは禁止された。夫より先に早めの時間に浴びておけばよかったと後悔。顔だけ洗って、入院着に着替えてベッドに横になる。
暗い部屋の中で、この数時間のことを、準備して家を出たときのことを思い出す。
しばらく家に帰れない寂しさ。次帰ってくるときはもう2人じゃないという嬉しさと寂しさ。前期破水して、子は無事に産まれるだろうかという不安。お昼に行ったカフェランチが2人きりの最後の外食だったんだなという感傷。こんなことなら帰り道の気になってたパン屋さんによれば良かった。
いろんな感情がぐちゃぐちゃに入り混ざって、涙があふれて止まらなくなった。声を出して泣いた。もうすぐおなかの中の子に会える喜びよりも、断然不安が大きかった。
この夜は、大雨のせいか不安のせいか、ノックに気付けるくらいの浅い眠りで、寝た気がしなかった。
オワリ