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帝王切開のその後


ちょっと長くなりすぎました。
まとまりもなくなりました。
備忘録ということでご容赦ください。

↓帝王切開したときのはなし



傷口を縫われているときから、麻酔の影響か全裸の冷えなのか、手が震えて仕方がなかった。少し気を抜くと、ガタガタしてしまう。

回復のためのベッドに運ばれる。このときは意識がはっきりしておらず、何時ごろだったかわからない。
2人部屋のもうひとつのベッドに、おそらく同じように帝王切開で出産した方がいる気配がした。

疲れと安堵でウトウトするワタシの横で、夫がずっと座ってくれていた。ストンと眠りに落ちることができなかったのは、まだ気が張っていたからなのかもしれない。


産まれてから約3時間後、子が運ばれて来た。
手術室ぶりの我が子。まだ実感はなかった。家族3人での初めての写真はそこで撮った。写りが悪いのは気になるけど、そんなことはどうでもいいか。

面会時間の終了が近づき、夫は帰宅。
ここからワタシ1人で、朝まで過ごすことになる。



数時間経って、脚の感覚が少しだけ戻って来た。両脚がそこにあることがわかる。指先を動かすという概念が戻って来た。ピリピリと痺れているような感覚。

それと同時に、腹部のつっぱり感と痛みも感じ始める。
これくらいのタイミングで、水分の摂取が許可される。最初は口を潤す程度から、一口ずつ。たくさんは飲まないように。お隣の方はかゆみが出ていたみたいだけど、ワタシは大丈夫だった。

右腕は血圧計、左腕は点滴と指先に血中酸素を測るクリップみたいなやつ、両脚にはポンプ。
絶えず点滴が交換されている。たまに痛み止めの点滴も同時に入ってくる。
一定間隔で血圧計が動き出す時に腕を曲げていると、エラー音が鳴ってしまうので気をつけなければいけない。
むくみ対策のために足首から順に三段階に分けて、ポンプが作動しふくらはぎも揉んでくれている。これは麻酔が切れてから気づいた。
おなかに大きな保冷剤が乗せられ、毛布がかけられていた。寒くて暑かった。


そういえば入院の前日からお風呂に入れていない。土曜の夜に入ったきり。今日は月曜日。破水前に入っておけばよかったとまた後悔する。髪の毛はベタベタ、顔もテカテカ。なんだか自分から変な匂いがする。臭すぎて迷惑をかけないだろうか。(その後シャワーが解禁されたのは木曜だった。苦しかった。)
ありがたいことに、深夜にはおなかもすいてきた。次に食べられるごはんはなんだろう。


朝になった。
体が自由に動かせていないせいで身体はバキバキ、頻繁に看護師さんが様子を見にきてくれるので細切れの睡眠ですっきりしない目覚め。

おそらくベッド下に溜まっていたであろう尿が回収される。ジョボジョボと音が鳴っているのがとてもシュールで少し恥ずかしい。そういえば尿意を感じていなかったっけ。管が入ったままなのも忘れていた。管はここで抜いてもらうことにした。

お風呂にはまだ入れないので、看護師さんに体を拭いてもらい、持参したパジャマに着替える。
体を起こそうと無意識に腹筋を使ってしまった。痛い、痛すぎる。どう頑張ってもどの角度でも、起き上がるなんて無理じゃん!!!と思ったけれどそんなことは言ってられない。看護師さんが待っている。早く個室に行きたい一心でどうにか車椅子に乗り、個室へ運ばれる。

その道中、半日ぶりに我が子に会う。このとき初めて、自分の腕だけで子を抱いた。ずっしり重いけど軽くて、不思議な気持ちだった。
そして子は沐浴直後ですっきりさっぱりしていた。うらやましい。

この日は1日回復にあてられた。
出産をした自覚のないまま迎えた1人の夜、記憶が鮮明なうちにとベッドに横になりながら、noteに殴り書きのように書き、一旦下書きに入れた。
振り返ると、この日に書いておいて本当に良かった。翌日から各種指導と母子同室が開始されたので、振り返る暇と余裕のない日々が始まってしまったのだから。




開腹手術の影響か、おしっこがたまる感覚が鈍っているようで、尿意を感じてからトイレに行くと、果てしなく出てくる。そして終わりがけがキュッと痛い。尿意を感じる前にトイレに行くよう指導された。

腸を動かす薬も処方された。動きが鈍ってしまい、便秘になるらしい。仰向けで寝ていると、ぐるぐる音が鳴る。それが今までにないくらいの爆音で笑ってしまいそうになる。

何より体勢を変えるのがとても辛かった。
寝たら寝たまま、座ったまま、立ったまま、がいい。座っているところから立ちあがる、ベッドに横になる、という動作が辛い。痛む覚悟を決めて動く。歩く時の支えとして点滴台を貸してもらった。
傷口の痛みなのか、後陣痛なのかはもうわからない。

それも日が経つと、回復して来たのと痛みに慣れてきたのと、動かし方がわかってきたのとで、だいぶ動けるようになった。
産後2日目から母子同室が始まったことで、どれだけ傷が痛くても、慣れない抱っこをしてあやして、お世話しないといけない。それもまた回復につながったのかもしれない。


退院時には傷口は塞がっていた。
それでも中まで切ってるため、身体を捻る動きや伸ばす動きはつらい。腹筋が上手く使えない。戻り切っていない、たるんだおなかが傷に乗ると重さで痛む。腹帯の圧が心地よかった。

退院後2週間くらいまでは、痛み止めを服用していないと日常に支障が出た。薬が飲めることがとても心強かった。気圧が低い日、雨の日には傷がいつもより少し痛むような気がする。
週1回、傷跡に貼るケロイド防止のためのアトファインというテープを交換する。傷が絶妙に見づらい位置なので、夫に手伝ってもらって交換している。




想定外の帝王切開だったために、なんの予習もしていなかった。ワタシは陣痛は経験したけれど、普通分娩の痛みを最後まで知らない。その引け目みたいなものを少し感じないといえば嘘になる。

でも、それ以上に我が子のために覚悟を決めてお腹を切る判断をした自分のことを、自分で誇らしく思う。
人生の経験値が上がったと思うことにした。実績解除。


オワリ

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