おもSHIROい商標
【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、街で見かけた「おもSHIROい商標」をお伝えします。
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・百貨店で見かけた商標
私はいい年をしたオッサンなので、化粧品には全く興味がないのですが、たまたま通った百貨店の化粧品売り場でとある商標を発見しました。
それは「SHIRO」という商標でした。
この商標を見たとき、えっ、なんで?と一瞬思ってしまいました。
なぜなら、化粧品では肌を白くする、又は白く見せるといったことは普通に行われていることであり、そうすると「SHIRO」は商品等の品質や効能をそのまま表わすに過ぎない商標だからです。
ちなみに、こういった品質等をそのまま表わすに過ぎない商標は、いわゆる記述的商標といわれて登録されません。
記述的商標の登録を認めてしまえば、「甘いケーキ」とか「あんこの入ったパン」などの、誰が製造販売しているのか全く分からない商標が乱立してしまうからです。
・なぜ「SHIRO」は登録されたのか
話は戻って、一瞬たじろいだ私ですが、すぐに登録された理由をその場で考えてみました。
拒絶理由通知はなされたと思うのですが、意見書で「ローマ字で「SHIRO」と書かれているため一義的に「白」とは読めず、特定の意味を持たない」と主張したのではと考えました。
はたして、事務所に戻って検索してみると、化粧品の分野で「SHIRO」の商標が複数登録されていました。
比較的古い出願については、経過情報を見るには閲覧請求しなくてはならず、そこまで手間を掛けたくないので見ていません。
ついでにいうと、閲覧請求にはお金もかかります。
そこで、新しめの出願で拒絶理由通知の内容と意見書の内容を見てみました。
・拒絶理由通知の内容
拒絶理由通知の内容は、予想どおり、需要者は、化粧品に「SHIRO」を用いると、「白色の商品又は白くする商品」であること、すなわち、商品の品質(色彩、効能)を表示したものとして認識するから、自他商品識別力を備えない旨が記載されていました。
これに対し意見書では、以下のように主張しております(一部抜粋)。
商品等の品質等(色彩、効能)を表わす際に用いられる構成態様は、欧文字であれば「WHITE」、「ホワイト」と表示されるのが一般的です。
また、日本語であれば漢字で「白」と表示されるのが一般的です。
従いまして、漢字「白(しろ)」の読みを敢えて「shiro」や「SHIRO」と表すことは一般的であるとは言えません。
当たらずといえども遠からずといったところでしょうか。
他にもいくつか登録されるべき理由が意見書にて記載されていましたが、長くなるので省略します。
このことを弊所のもう一人の女性弁理士に話すと、化粧品に「HAKU」もあるよと教えて貰いました。
確かに、意見書には「HAKU」についても言及してありました。
色々と化粧品メーカーも考えますね。
とはいっても、これらの際どい商標は、拒絶理由通知が来て当たり前、さらにいうと拒絶査定不服審判や知財高裁への提訴も辞さないという、強い意思と豊富な予算を持って出願されていると思います。
特にある程度の会社規模になってくると、この事務所に頼んでダメなら仕方ないね、といわれるようなところに依頼すると思われます。
中小企業にとっては少しハードルが高いですね。
今回の「SHIRO」も、弁理士だけで100名弱も在籍している大手の事務所に依頼されていました。
きっと、こんな事務所は高いだろうな~、ウチの何倍もの料金を請求しているのかもしれないな~、ウチももっと高い料金を請求したいな~、と思いつつ今回の話を締めます。
いかがでしょうか?
この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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