登録商標と異なる商標を使うのはダメ
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弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「登録商標と異なる商標を使うのはダメ」について説明します。
時々、登録商標と異なる商標を使用しているものが見られます。
これ、後でエライ目に遭うことがありますので、やめましょう。
どういうことかと申しますと、商標法には日本国内で継続して3年間、商標権者等が登録商標と社会通念上同一の商標をしていないと、誰もがその登録商標に対して不使用取消審判を請求することができるからです。
つまり、3年間、登録商標が未使用であれば、後から同一の商標を権利化したい人が商標権者に対して取消審判を請求できるのです。
審判請求されたら、登録商標と同一の商標を使用している客観的な証拠を出さない限り、取消は免れません。
これ、全く使用していない商標を取り消されるのであれば、さほど大したことではありません。
実際に使用している商標が、登録商標に似ているけれども、登録商標と同一の商標でないときに問題となるのです。
完全同一でなくとも、社会通念上同一であれば大丈夫なのですが、この社会通念上同一も逸脱していると争いが生じます。
例えば、以下の例です。
第4323578号
登録商標
使用していた商標
使用していた商標の右下に、読めませんが小さな字で「百壱五」とかかれています。
本件は、審判で取消の決定がなされ、その後に知財高裁で取消を免れた例です。
もう1件の例も紹介します。
第4423747号
登録商標
使用していた商標
こちらも取消は免れましたが、審判、知財高裁と争われた事件です。
上記の例は、いずれも取消は免れましたが、知財高裁まで争ったことを考えるとずいぶんと費用がかかっています。
おそらく100万円は軽く超えていると思われます。
最初から登録商標と同一の商標を使用する、又は異なる商標を使用するならもう一度出願して商標登録しておく方が、よっぽど安上がりです。
取消を免れればまだ良いですが、取り消されることもあります。
そうすると、その商標は使用できなくなり、業務に多大な影響がでてきます。
なお、不使用取消審判ですが、商標の不使用について正当な理由があれば取消は免れます。
しかし、この正当な理由とは、商標の使用をする予定の商品の生産準備中に、天災地変等によって工場等が損壊したような場合をいい、うっかりしていたなんて理由は通用しません。
では逆に、どんな商標であれば、登録商標と社会通念上同一といえるのか、特許庁の審判便覧から一部を紹介します。
1.自体による相違
例:明朝体とゴシック体の違い
2.ローマ字の大文字と小文字
例:HI-KE ←→ hi-ke
3.平仮名と片仮名
例:ちゃんぴおん ←→ チャンピオン
他にも色々あるのですが、書くとかなりあるのでこの辺にしておきます。
不明点があれば、出願を依頼した弁理士に相談してみてください。
肝心なのは、登録商標と同じ商標を使用する。
もし、今使用している商標が登録商標と異なるなら、出し直しをするということです。
この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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