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SNS時代に商標登録をしない危険性
【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「SNS時代に商標登録をしない危険性」をお伝えします。
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1.零細企業ほど商標に無頓着な傾向がある
失礼ながら私の経験から言わせてもらうと、事業者の中でも、零細企業とか個人事業主とかの規模が小さくなればなるほど、商標には無頓着である場合が多いと思われます。
こちらが、商標登録出願して権利化する方がいいですよ、と勧めても、特に要らないとか、これまで使ってきたから大丈夫といわれて何もしないパターンがけっこうあります。
こういった考え方は、一昔のようにSNSが普及する前ならアリかもしれないです。
しかし、現在においては危険だなと私は思います。
2.昔はどうだったのか
話をインターネットが普及する30年くらい前に戻してみましょう。
この頃に、自社の商標権を侵害している他人を見つけることは容易ではありません。
例えば、宮城県の会社が権利を取得している商標権を、高知県の会社が侵害していても、その商品が宮城県に流通しない限り発見されませんでした。
可能性としては低そうですね。
次に、インターネットが普及し始めて、検索エンジンを皆が使い始めたころに話を移します。
この頃になると、他人の商標権侵害を見つけやすくなります。
自らの商標を検索エンジンに入れて、ひたすら検索すれば良いのですから。
とはいっても、権利行使するには手間もお金もかかりますので、下位に沈んでいるような商標まで権利行使をすることは少なかったと思われます。
商圏が被ったり、相手が目立ちすぎたら権利行使すればよいか、みたいな感覚でしょうか。
3.現在はどうなっている?
そして、現在です。
X(旧Twitter)、Facebook、Instagram等、様々なSNSがあり、情報発信の機会があります。
自社の売上げや認知度を向上させようとして、SNSを頑張る事業者さんも多いかと思います。
ここが落とし穴なんです!
SNSを頑張って、検索エンジンで上位に表示されるようになれば、商標権者より侵害者の方が目立ってしまうのです。
すると、商標権者も黙っていられません。
いくら商圏が被らなくとも、客層が被らなくとも、その商標の使用を止めろ!と言ってきます。
商標の使用を止めろ!だけならまだ良いのですが、過去にいくら売上げがあった?売上げから商標の使用料を支払え、謝罪広告も出せ、なんてことも言われかねません。
その結果、どうなるのか。
せっかく頑張って認知度を向上させてきた商標が使えなくなってしまうのです。
今まで毎日投稿して、フォロワーを増やして、検索エンジンの上位に掲載されるようになっても、全て無駄になりかねません。
(SNSのプロに任せると、無駄にならない何か良い方法があるかもしれませんが、、)
痛いですね~。
そのときになって商標が~、と言っても手遅れです。
4.商標は後から出しても登録され得る
あと、私が何回も書いていますが、商標には新規性という概念がありません。
ですので、例外はあるにせよ、自らが古くから使用している未登録商標を、他人が商標登録出願して商標権者になることが可能なのです。
あいつが、おれの店名を盗んだ!という理屈は原則通用しません。
冷たい言い方ですが、商標登録出願をしなかった人が悪いのです。
ソクラテスの言葉に「無知は罪」というのがあるそうです。
詳しい意味は私も勉強しておりませんが、知財に関していえばけっこう当てはまる言葉ではないでしょうか。
皆さまも軽く考えずに、自社の商標、特許等を今一度考えてみませんか?
いかがでしょうか?
この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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