使用している商標は更新登録するべし
【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「使用している商標は更新登録するべし」を書きます。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact
弊所も、開業して12年経ち、開業間もない頃に商標登録出願を依頼されたお客様に、商標の更新登録の案内を出しています。
商標のことをあまりご存じでない人のために説明しますと、商標権は10年単位で更新する必要があります。
更新登録しないと、その時点で権利は抹消されます。一方、更新登録を続けることで半永久的に商標権を維持することもできます。
これは、不必要な商標を抹消させて整理する意味と、使用を続けて信用が化体した商標は長年の使用を続けてほしいという意味があります。
さて、商標の更新登録の案内を出したお客様の中に、実際に登録商標を使用しているにもかかわらず、更新をしない選択をされる人がいらっしゃいます。
理由は様々ですが、弁理士の立場でいわせてもらうと、使用している商標は必ず更新登録してください。
商標には新規性という概念がなく、とある商標登録の権利が切れてしまえば、同じ商標で他人が権利を取得することができます。
すると、過去に商標権者であっても、他人の商標権を侵害していることになり、警告等をされることになります。
しかも、同一類似の商標で他人が権利を取得することができないため、出し直しもできません。
世の中には商標ゴロみたいな人がいまして、他人が使用しているにもかかわらず登録していない商標を自らが出願して、金銭を請求してくることがあります。
まだ、多少の金銭で済めば良い方かもしれません。
相手が同業者だった場合、金銭をいくら積んでも許してくれないことが多いと思われます。
ちなみに全くの別件ですが、弊所のお客様が商標権者であって、他人がその商標権を侵害していたことがありました。
その他人に警告書を出したところ数千万円を出すと言ってきたのですが、弊所のお客様は断り、当該他人は商標の変更を余儀なくされました。
話は戻り、商標の更新登録をしなかった結果として、長年使用していた商標を変更しなくてはならない、場合によっては屋号や社名を変更しなくてはならない事態になり得ます。
これは、かなり痛いですよね。
ですので、現状使用している商標に係る商標権は、更新登録することがほぼ必須といえるのです。
10年間何もなかったから要らないでしょう、という考えはやめた方がよいと思います。
これまで、商標権があったから何もなかったのです。
これ、特許の登録料についても似たような話を聞きます。
特許は登録料が段々と値上がりするため、権利が生じてから10年目以降の登録料が年間10万円くらいかかることも珍しくありません。
そこで、もったいないから登録料を納付せずに権利を放棄した結果、同業他社から類似品が発売されて、自社商品が売れなくなったという話も聞きました。
商標にしろ特許にしろ、納付期限を徒過しても6月の間は倍額納付で権利を復活できます。
しかし、その6月を過ぎてしまうと権利回復が絶望的に難しくなります。
知的財産権は、基本的に自社の使用や実施を守るためにあるものですので、何もないが正解である場合がけっこうあるのです。
自社で使用している商標(特許、意匠も含めて)は、事業の見直しをした等の例外はあるにしても、基本的に必ず更新登録するようにしてください。
いかがでしょうか?
この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact
ホームページ http://www.sakaoka.jp/
Facebook https://www.facebook.com/profile.php?id=100065245853871
https://www.facebook.com/sakaoka.norio
Twitter https://twitter.com/sakaoka
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?