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環境にやさしいエネルギー!牛のふん尿から水素

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 平成23年より桑名市で特許事務所を開業しております。
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 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「牛のふん尿から水素」をお伝えします。

1.牛のふん尿から水素ガス

 去年の話で申し訳ないのですが、令和6年12月23日の伊勢新聞記事¹に、「楽農の町、牛ふんから水素 北海道鹿追、脱炭素へ期待」との見出しで、「牛のふん尿由来のバイオガスから水素を作る国内唯一の施設が」あると紹介されていました。

 記事によりますと、「1頭当たり年間約21トンのふん尿が出る」らしく、これを有効活用しようと取り組んでいるそうです。

 事業主体は、エア・ウォーター北海道株式会社と鹿島建設株式会社とが出資した「株式会社しかおい水素ファーム」とのことです。
 同社のホームページによると、乳牛1頭が1年間に出すふん尿から製造する水素で、燃料電池自動車(FCEV)が走れる距離は自家用車の平均的な年間走行距離約10,000キロメートルの燃料に相当するそうです。
 これ、素晴らしい取り組みだと感じました。

2.酔っ払った勢いで

 この原稿を書いているのは1月3日で、正月気分で酒が入っております。
 ですので、けっこう思い切ったことも書きますね。

 世間では、カーボンニュートラルを進めると言っております。
 その方法の例として、太陽光発電や電気自動車が挙げられております。
 しかし、カーボンニュートラルは重要と思うものの、太陽光発電や電気自動車について私は懐疑的なんですね。

 例えば、太陽光発電の主要部品である太陽光パネルは殆どが海外製です。
 電気自動車の電池も、現時点では海外製が主です。
 これらのことから、カーボンニュートラルを推進すればするほど貿易赤字となってしまう恐れがあります。

 もちろん、カーボンニュートラルの方法はこれらだけではないので、極論ではありますが。。。

3.上記の水素がなぜよいのか

 さて、グダグダと私見を述べましたが、「株式会社しかおい水素ファーム」の取り組みが素晴らしいと書いた理由は、エネルギー自給率の向上に寄与するからです。

 日本の弱点の1つにエネルギー自給率が低いことが挙げられます。
 (食料自給率も低いですが)
 それを改善できる取り組みなので、個人的にも賛成なのです。

4.水素を作る仕組み

 牛のふん尿から水素を作る仕組みは、「株式会社しかおい水素ファーム」のホームページ²に掲載されております。
 下図のとおりです。

https://shikaoi-h2farm.jp/より引用²

 最終的に水素と二酸化炭素が生成されますが、ここで出てくる二酸化炭素はもともと牛の飼料となる植物に取り込まれたものですので、カーボンニュートラルという訳です。

 この水素を生成する装置に関する特許は数多くありますが、おそらく関連しているものとして、以下の特許があると考えます。
 出願人が、「株式会社しかおい水素ファーム」の親会社である「エア・ウォーター株式会社」の特許です。

・特許第6944349号 エア・ウォーター株式会社³
【発明の名称】水素発生装置
 この発明を簡単に説明しますと、炭化水素系ガス(メタンガス)と水蒸気を改質反応させて水素ガスを得る改質器10と、燃料ガスを燃焼させて上記改質反応に付与する反応熱を得る燃焼室20とを備え、
 上記改質器10は、上記燃焼室20の外部で、炭化水素系ガスと水蒸気を導入する導入領域16と、改質ガスを排出する下流領域17を有し、それらの周囲が断熱材35で覆われており、
 上記改質器10のうち改質領域12は、上記燃焼室20内部のガス反転部18を含んで構成されている水素発生装置に関するものです。
 この発明によると、装置の製作に伴うコストが節減できメンテナンス性が改善されるとともに、改質領域の温度の均一性を確保でき温度ばらつきに起因する改質効率の低下を防止できるとのことです。

特許第6944349号 【図2】

 もし、上記の様な水素プラントがフル稼働すると、日本の乳牛と肉牛を合わせた牛の飼育頭数が約300万頭ですので、かなりの量の代替燃料が製造可能になります。
 全てのふん尿を水素用にする訳にはいかないと思いますが、豚、鶏、その他の廃棄物も加えるとさらに増えます。
 こういった新たな取り組みが普及するとよいなと、個人的には思っております。

 この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。

引用
¹『楽農の町、牛ふんから水素 北海道鹿追、脱炭素へ期待』.伊勢新聞.2024年12月23日.p.4
²株式会社しかおい水素ファームHP.トップページ.https://shikaoi-h2farm.jp/
³エア・ウォーター株式会社.水素発生装置.特許第6944349号.

坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)

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