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意匠の新規性喪失の例外規定の適用手続が変わる

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「意匠の新規性喪失の例外規定の適用手続が変わる」を書きます。
 
 先に、「意匠の新規性喪失の例外規定の適用手続」とは何かを説明しますね。
 意匠登録出願に係る意匠が登録されるには、新規性が必要です。
 (他にも要件がありますがここは新規性だけを説明します。)
 
 新規性とは、その意匠が公知になっていないことを意味します。
 つまり、守秘義務のない人が1人でも知っていたり、刊行物等に記載されていたら新規性はないことになります。
 だから、意匠登録出願前にクラウドファンディングをするとか、販売してしまうとかすると、その時点で新規性がなくなってしまいます。
 
 しかし、新規性の要件をあまりに厳密に運用すると、却って産業の発達を阻害してしまいます。
 そこで、出願時に所定の手続をして証明書を提出することで、例えば販売開始から1年間はその事実を見なかったことにしましょうという制度を作りました。
 これが「新規性喪失の例外規定の適用手続」なのです。
 
 この新規性喪失の例外規定の適用手続(長いので「新喪例」といいます)に記載された事項は、審査において厳密にみられます。
 例えば、Twitter、Facebook、Instagram、YouTubeなどに投稿したとして、証明書にTwitterを記載していなければ、それを理由に拒絶査定になったりします。
 
 ということで、全ての公知事実を記載する必要があります。
 場合によっては百を超える公知事実を拾い集めて証明書に記載するときがあるのです。
 そして、公知事実が1つでも漏れていたら、それを理由に拒絶査定となるのです。
 
 これはけっこうキツいですね。
 ということで、産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会(以下「小委員会」と書きます。)というところで頑張っていただいて、新喪例の手続が緩和されそうなのです。
 
 具体的には、最初の公知事実のみ証明書に記載すれば、後は書かなくても良いですよという感じになりそうです。
 とはいっても、これから国会で審議される段階ですので、上手く行っても施行は来年になるようです。
 
 今まで、公知事実が多い案件については、出願人にも弁理士にも負担になっていたのですが、これが緩和されるとずいぶん楽になりますね。
 小委員会の皆さま、その他の関係者の皆さま、ありがとうございました!
 
 参考までに関係するURLを記載します。
 興味のある人はご覧になってください。
 
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_shoi/document/isyou_seido_230310_minaoshi/01.pdf
 
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230310002/20230310002.html
 
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