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革新的な業界では初期の特許出願件数がものをいう
【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「革新的な業界では初期の特許出願件数がものをいう」について説明します。
特許というのは基本的にその技術を独占的に実施できる権利を取得して、他社への参入障壁を作ることです。
参入障壁を作るといっても、既に成熟している業界又は衰退している業界では大きな効果を得ることは難しいと思います。
しかし、突然に注目を集めるような革新的な業界では、特許によって参入障壁を作ることが比較的容易です。
このため、新たなことを始めようとするときは、特許出願を数多くする方が良いのです。
下記の文章は、最近、私がお客さんから聞いた話です。
「ドローン(ここでは無人航空機のうち主にマルチコプターのことを指します)は中国企業が殆ど牛耳っている。国内メーカーが参入しようとしても、例えばローターの折畳み構造などが中国企業の特許で抑えられていて、国内メーカーは変な構造にしないとできない。だから国内メーカー製のドローンは売れていない。」
実際に私が特許調査をした訳ではありませんが、上記の話には信憑性があります。
これ、特許戦略で中国企業に思いっ切りやられている例です。
もし、ドローンが話題になりつつあったときに、国内企業が多くの特許を出願しておけばこのようなことは防止できたと思います。
新たな業界ができたとき、特許で支配できた良い例(日本にとっては悪い例)だと思います。
ここで大事なのが、多数の特許出願をしておくことです。
何故なら、将来的にその業界でどの技術が要点となって、他社の参入障壁となるのかは分からないからです。
上記のドローンにおけるローターの折畳み構造も、ドローンが出だした初期のころは重要視されていなかったと思います。
しかし、ドローンが普及して産業用としても使用されだすと、ドローン自体が大型化してきて、ローターの折畳み構造が必須の技術になったのではないでしょうか。
そして、産業用の大型ドローンこそが価格も高く、企業としてはうまみのある商品なのです。
結果として、利益率の高い産業用ドローンにおいて、市場を独占することができたと考えます。
このようなことは、過去にも起こっていると思います。
これも特許調査をしたわけではありませんが、例えば再生エネルギー関連、ハイブリッド自動車、電気自動車、ブロックチェーン技術などでは、一部の企業が最初に多数の特許出願をして、多くの利益を得た可能性があります。
上記の例は、比較的規模が大きな企業の場合ですが、中小企業やベンチャー企業にとっても当てはまります。
何かしら革新的な商品又はサービスを生み出したとき、それをできるだけ多くの特許出願によって守ることが重要です。
そうすることで、他社の参入を防止することができ、大きな利益を上げることができるのです。
もし、特許で参入障壁を作っていなければ、話題になったとたんに多数の企業が参入して、価格勝負になってしまいます。
あるいは、大手企業が参入して、一気に市場を持って行かれることもあるでしょう。
ここで、ベンチャー企業では資金力に乏しくて、多くの特許出願は無理だよとの声が出てきそうです。
確かにそうですが、最初の基本的な特許出願は自らが行なって、それをもとに出資者を募り資金を調達するという方法もあります。
弊所のお客さんの中にも、先ずは特許出願を数件して、それを早期審査で権利化して、その特許をもとに多くの資金調達をしているところがあります。
もし、御社が革新的な商品又はサービスを始めようとしているならば、是非特許で参入障壁を作ってください。
その結果、将来性が見込めるようになれば、作った会社を売却したり上場したりして億単位の利益を得ることも可能になります。
いかがでしょうか、本記事についてご理解いただけたでしょうか。
この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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