国内優先権は割と使える
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弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「国内優先権は割と使える」について説明します。
国内優先権とは、基礎とした出願から1年以内に優先権を主張してする出願のことです。
これだけを見ると何のことやらサッパリわかりませんね 笑
例を挙げて、もう少し簡単に説明します。
特許出願は先願主義のため、同じ発明であれば1日でも早く出願した方が勝ちます。
このため、詳細な実験データを待っている余裕が無いときがあるのです。
そんなとき、発明の内容を記載した出願書類を作成して、先に出願します。
そして、発明を裏付ける実験データができたときに、先にした出願を基礎として優先権主張をするのです。
すると、先にした出願に記載されている内容は、先にした出願日を基準に新規性や進歩性が判断されます。
そして、後にした出願に記載されている内容は、後の出願日を基準に新規性や進歩性が判断されます。
さらに、先の出願から1年4月経過したときに、先の出願は取下げとなります。
けっこう便利ですね。
上記の実験データに限らず、改良発明にも使用することができます。
勿論、改良発明を全く別の出願として、先にした出願と並行させることもできます。
但し、それも場合によりけりで、大きく改良するときなら優先権を主張せずに2つの出願を並行させる方が良いと思います。
一方、ほんの少しだけ足すときなどの、実質的に1つの発明であった場合、2つの出願を並行させると審査請求料も中間対応費用も2倍かかってしまいます。
そんなとき、優先権主張をして出願を1つにすることができるのです。
もっとも、特許の数が増えれば、それなりに良いこともありますので一概に悪いとは言えないですけどね、、、
他にも、早期に決着を付けようとして、出願後すぐに審査請求をして早期審査をした場合にも国内優先権は使えます。
このとき、特許査定になれば使う機会もないと思います。
一方、拒絶査定になったとき、早期審査をしていれば通常は出願から1年経過していません。
また、拒絶査定は査定から3カ月経過してから確定します。
そこで、引用文献(拒絶理由を構成する先行技術文献)にない新たな構成を付加して、国内優先権を主張した出願をするのです。
そうすることで、拒絶理由を回避できることがあります。
とここまで国内優先権を主張するときばかりを説明しましたが、使えないときもあります。
この使えないときの説明もしておきます。以下に該当するときは使えません。
・先の出願から1年経過しているとき
・先の出願が分割出願や変更出願であったとき
・先の出願が既に放棄、取下、却下されているとき
・先の出願の査定が確定しているとき
・先の出願が実用新案で既に登録されているとき
こんな感じで、普段はあまり使う機会はありませんが、いざというときに便利な国内優先権でした。
あと、例外的な使用方法として、個人発明家に見られるパターンを書いておきます。
それは最初に自分で書類を作成して出願し、その後にその出願書類では審査に耐えられないとわかって、弁理士に依頼してくるパターンです。
こんなときも、国内優先権を使用してきちんとした書類を提出することができます。
公報を見ていると、たまに上記のパターンでは?と思える出願が見られます。
もっとも、このパターンは弁理士にとってかなり面倒というか負担が大きいため、費用的には却って高額になってしまうことが多いと思います。
この使い方を考えている人はご注意ください。
この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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