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【それぞれのスピードで】 〜詩写真集「いのちのうた」より〜
いつものように、まずは詩をじっくり味わってみてください。
それぞれのスピードで
小道をそぞろ歩く人
犬を散歩させている人
ジョギングをする人
釣竿を載せて 自転車が海へ向かう
杖をつくおばあさん
ふざけあう子供たち
路線バスが通り過ぎる
新聞回収のトラック
年代物のスポーツクーペが 土ぼこりを残していく
それぞれのスピードで
過ぎていく昼下がり
僕はひとり 窓辺に来たすずめを眺めている
波の音と 風の匂い
葉陰がゆらめき 影が形を変える
雲が ゆるやかに流れていく
いつのまにか BGMが消えていた
そろそろ 熱いお茶でも淹れようか
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Episode : お気に入りのカフェから見た風景
この詩は、逗子に以前あったとあるカフェから見た風景を、スケッチするように書いたものです。まあ、ぶっちゃけ情景描写をひたすら重ねただけの詩なんですが、その時に流れていた時間や感じていた心地よい空気感などを閉じ込めたくて、詩として残したのでした。
その際、場所はぼやかしたかったので、最後の1行はフィクションとしていますが、その他は全て、実際にそこで目にしたり、感じたりしたリアルな光景となっています。
残念ながら、このカフェはもうなくなってしまいましたが、とっても素敵な場所だったので、そこでの思い出を、詩に書いた風景などと共に書いてみたいと思います。
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緑に囲まれてひっそりと佇んでいました。
↑こちらが外観になります。道路からはやや奥まっていて、看板なども目立つように置かれてないために、知らないと通り過ぎてしまうくらい、さりげなく立っていました。
店内では、品の良い年配のご夫婦が切り盛りされていました。内装はカントリー調で、装飾も可愛い感じで女性向けのお店という印象ですが、BGMには落ち着いたインスト曲が流れていて、とても居心地の良い空間でした。
ドリンクは、紅茶の種類が豊富で、ディンブラやダージリンのセカンドフラッシュなどをよく頼んでいました。ティーポットに保温のためのティーコジーを被せて持ってきてくれることが、紅茶好きだった私にはとても嬉しかったです。またスイーツ類では、特にそば粉のガレットがとても美味しかったことを覚えています。
しかし、それよりなんといってもここでの一番の楽しみは、夏場に飲むアイスセパレートティーでした。グラスの下部分にはしっかりと濃い水色のアイスティー、その上にはフレッシュな搾りたてのネーブルオレンジが注がれ、さらに輪切りのネーブルがグラスの縁に添えられていました。
アイスティーとオレンジ、いずれも単体でもしっかりと美味しいのですが、これを混ぜて飲んだときの絶妙な甘さと爽やかさがたまらなく美味で、暑い時期は、これ目当てで来店していたと言ってもいいぐらいでした。もちろん、最後は輪切りのネーブルもしっかり頂いてましたよ!
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↑そしてこの写真の位置が、私のお気に入りの席で、いつもここから外を眺めていたという訳です。
↓そこから見える景色がこちらになります。
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たっぷりの緑と空の青、そして庇の赤色の取り合わせがとても好きでした。窓の外に見える緑の先には、駅と逗子海岸とを結ぶ細い道路があって、時折、人や車や自転車などが通るのが見えていました。
それから、庇から窓に垂れるように伸びた草花には、アリや蜂などの小さな虫達が来ていて、それをよく窓越しに観察していました。またフェンスに取り付けられた餌台には、スズメやメジロなどが集まって来るので、その姿を眺めるのも好きでした。
そんな風に窓から外を眺めながら、本を読んだり、ボ〜ッと考え事をしたり、アイデアを書き留めたりする時間が、あの頃の私にとってはとても大切な時間だったのです。この詩を読むたびに、その時の光景が、感覚と共に鮮やかに蘇って来るので、なんてことない詩ではありますが、個人的にはとても好きな詩のひとつとなっています。
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この詩のように、それぞれのスピードで、ゆったりと過ぎていく時間の愛おしさを、今でも大切にしたいなと思っています。