タイトルやその中に書かれている業績は知っていても、なかなかその原典を読む機会はありません。
本書は、ファーブル『昆虫記』、ガリレオ『星界の報告』、ニュートン『プリンキピア』、アインシュタイン『相対性理論』・・・等々、科学史において顕著な業績を残した科学者の代表的な著作を取り上げ、その内容のポイントやエピソード等を分りやすく紹介したものです。
たとえば、ファーブルの著作のオリジナリティについてです。
本書で紹介されている科学者の多くは、当時権威のあった通説や社会の常識を打ち破る全く新たな「視座」や「視点」を提示しました。
「生物から見た世界」を著したエストニア出身の生物学者ユクスキュルの鮮やかな「視座の転換」です。
環境は絶対的な与件ではなく、対象により相対的なものだという考え方です。
通説や常識を打ち破るという点では、ガリレオ・ガリレイが代表的ですが、アルフレッド・ウェゲナーが「大陸と海洋の起源」で唱えた「大陸移動説」も当時は驚天動地の説でした。大西洋の両側の海岸線が似ているとの気づきはおそらく多くの人が感じていたはずです。ウェゲナーの卓越したところは、その理論化への執着でした。
しかし、当時得られた事実だけでは、ウェゲナーの仮説は十分に立証できませんでした。そのときのウェゲナーのとった思考方法は非常に参考になります。
本書で紹介されている科学者は皆、当然ですが「超一流」です。
一流の人ほど、謙虚であり、地道な努力を厭いません。
あのニュートンですら、こう語っています。
また、斉一説を唱え「地質学原理」を著したスコットランド出身の地質学者チャールズ・ライエルの研究姿勢も、まさに王道です。
本書で紹介されている本の中で、私が読んだことがあったのは、アインシュタインの「相対性理論」だけでした。(全く恥ずかしい限りです・・・)
とても面白そうな本がたくさん紹介されているので、よい読書案内を見つけた気がします。