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コロナパンデミックに潜む世界の闇① ~武漢ウイルス研究所~
2020年、世界中に恐怖をまき散らした新型コロナウイルスSARS-CoV-2によるパンデミック。
SARS-CoV-2はどこからやってきたのか?なぜパンデミックは起きてしまったのか?なぜ驚異的なスピードで変異体が生まれ続けたのか?調べれば調べるほど不可解な状況証拠ばかりが見つかる。
これは、新型コロナに関わる出来事を時系列で整理するものである。先入観を捨て去り、虚心坦懐に事実だけを見つめ直せば、テレビが決して伝えない世界の闇が見えてくるだろう。
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1.武漢ウイルス研究所
2018年1月、中国湖北省武漢市の武漢ウイルス研究所において、中国初のP4研究施設が正式に供用開始となった。
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P4研究施設とは、バイオセーフティレベル4実験室を備えた最高レベル研究施設であり、エボラ出血熱などのヒトからヒトへの感染リスクが高い危険な病原体を取り扱うことが許された、世界でも数少ない施設である。
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P4実験室が稼働開始、危険ウイルスの研究条件が整う
武漢ウイルス研究所の設立は1956年だが、2004年に中国とフランスの間で締結された「中仏予防・伝染病の制御に関する協力の枠組み」に基づき、フランスのバイオ企業ビオメリューの創設者アラン・メリューの指導の下で、2015年1月に武漢研究所の付属施設として中国科学院武漢国家生物安全実験室が完成した。
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
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だが、その後中仏の関係は急速に冷え込み、フランス側は徐々に不信感を高めてゆく。その過程でアラン・メリューは辞任した。
2017年2月、落成式でテープカットを行ったベルナール・カズヌーヴ首相は「武漢P4実験室にフランス人研究者50人を5年間送る」と発表したが、実際には、この研究者たちは武漢ウイルス研究所には勤務せずに中国の別の研究施設に異動したことが判っている。その後、中国の共同研究パートナーはフランスからアメリカへと変わっていった。
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2.石正麗とRaTG13コロナウイルス
武漢ウイルス研究所の新興感染症センター所長 石 正麗(Shi Zheng-Li)は中国で最も著名なウイルス学者であり、コウモリ由来のコロナウイルス専門家として、畏敬の念を込めて、バットウーマン(コウモリ女・Batwoman)と呼ばれている。
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コロナパンデミック発生直後の2020年2月、石正麗はnatureにおいて「今回のコロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノム配列は、RaTG13コロナウイルスと96.2%一致している」と発表した。
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中国人ジャーナリスト高瑜(GaoYu)によれば、石正麗は「私たちの研究チームは2020年1月2日にはSARS-CoV-2のゲノム配列の解析したが、中国政府から口を封じられていた」、「自身のチームが特定したウイルスがヒトに感染する可能性があることを2020年1月14日に確認した」と語っていた、と述べている。
(注)中国がSARS-CoV-2のヒト・ヒト感染を発表した日は1月20日。
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RaTG13コロナウイルスとは、2013年に雲南省墨江県銅関町の廃鉱銅山のキクガシラコウモリから発見された、SARS系の新型コロナウイルスである。
石正麗とその研究チームは、鉱山洞窟とその周辺を徹底調査して、さまざまな動物のサンプルを採取した結果、293種類のコロナウイルスを分離した。この調査の過程で、RaTG13も武漢ウイルス研究所に持ち込まれている。
そして2017年11月、石正麗と多国籍の15人の科学者チームは「SARS系コロナウイルスRaTG13からヒトに感染する可能性を持つ新たなコロナウイルスを作り出すことができた」という論文を発表した。
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3.SARS-CoV-2の中間宿主
COVID-19への感染は、SARS-CoV-2表面に存在するスパイクタンパク質が、ヒトの細胞表面の感染受容体ACE2に結びつくことで成立する。スパイクタンパク質とACE2受容体は鍵と鍵穴のような関係にあり、ウイルスの感染力の強さはその相性・類似性によって決まる。
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RaTG13がSARS-CoV-2の始祖ウイルスであると断定するには、スパイクタンパク質とヒト感染受容体ACE2との類似性がそれほど高くないという問題があった。(17アミノ酸のうち11アミノ酸のみ合致)
SARS-CoV-2は、RaTG13がコウモリから「ヒト以外の哺乳類」を中間宿主として経由し、その過程においてスパイクタンパク質の組み換えが起きたことにより、ヒトに感染しやすいSARS-CoV-2が誕生したのだろうと推測された。
2003年に東アジアで流行したSARSコロナウイルスは、自然宿主はコウモリで中間宿主はジャコウネコ(ハクビシン)である。2015年頃に中東で流行ったMERSコロナウイルスの中間宿主はヒトコブラクダである。
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(右)MERSコロナウイルスの中間宿主 ヒトコブラクダ
ゲノム配列の一致度は高くないものの、スパイクタンパク質とヒト感染受容体ACE2の類似性に限定すれば、RaTG13よりもSARS-CoV-2に合致するウイルスがセンザンコウから発見されたことから、一時期はセンザンコウが中間宿主の最有力候補と言われていた。
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SARSやMERSでは数ヶ月のうちに中間宿主が見つかったが、SARS-CoV-2では現在までに8万以上のサンプルが調査されているが、SARS-CoV-2に感染した形跡にある哺乳類は、センザンコウを含めて、結局いまだに1体も見つかっていない。
4.フリン切断部位 (furin cleavage site)
コロナウイルスのスパイクタンパク質にはS1とS2という2つの領域(ドメイン)があり、受容体への結合はS1が、細胞内への侵入をS2が、それぞれ担当する。
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これまでの研究の結果、スパイクタンパク質がS1とS2の間で切断されることによって、ウイルスの細胞への感染力が高まることがわかっている。
SARS-CoV-2には、S1とS2の間にフリンという酵素によって切断される配列部分(フリン切断部位・furin cleavage site)が挿入されているという特徴がある。
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酵素フリンによって切り離される配列(フリン切断部位)が挿入されている点にある
フリン切断部位は、これまで遺伝子的に遠いネココロナウイルスでは確認されていたが、なぜSARS系のSARS-CoV-2にフリン切断部位が存在していたか?は大きな謎とされている。
また、もしSARS-CoV-2にフリン切断部位が存在しなければ、世界中に広がるほどのパンデミックは起きなかっただろう、とも言われている。
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SARS-CoV-2:フリン切断部位の欠失はSARS-CoV-2の病原性を減弱させる
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また、世界的に感染が広がったオミクロン株、デルタ株、アルファ株には、フリン切断部位が変異したことで感染力が増強したという共通点がある。
5.ウィルス発生源からの距離
COVID-19の発生源は 武漢市の華南海鮮卸売市場である。この市場はRaTG13が発見された雲南省墨江県から直線距離で約1500キロも離れている。
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SARS-CoV-2の始祖ウイルスがRaTG13とすれば、中間宿主の哺乳類が何であれ、「1500キロも離れた武漢で自然発生的にパンデミックが始まった」と考えるのは不自然である。
なお、海鮮卸市場から武漢ウイルス研究所は15キロほどの距離である。
また、中国が意図的に集計から除外してWHOに報告した「2019年12月15日以前に武漢病院に入院した患者」の4人中3人は海鮮卸市場に一切接触していないと回答しており、パンデミックの震源地が本当に武漢華南海鮮卸市場であったのか?については議論の余地がある(パート⑬も参照)
FIVE YEARS AGO TODAY - FIRST OFFICIAL CHINESE DATA MANIPULATION ABOUT COVID BEGINS
— Dr Steven Quay (@quay_dr) January 3, 2025
A Feb study of patients admitted to the hospital in Wuhan between 16 Dec 2019 & 2 Jan 2020 was able to identify, during this time period, a total of 41 patients had contracted the novel… pic.twitter.com/v2hPYYvgA1
【②に続く】
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