AdobeMAX 2019 「Sneak Peek」から見る今後のデザインツール活用の展開
毎日がサバイバル! DMMデザイナーの@norinity1103です。
この度Adobeさんからご機会いただき、DMM.comのメンバー2名で「AdobeMAX2019 Los Angeles」に参加しました。 この記事では「Sneak Peek」というセッションにフォーカスして会場で紹介された超絶すごそうな技術を簡単に紹介し、今後のデザインツール実践活用の可能性に触れてみたいと思います。
Sneak Peek とは
AdobeMAXの毎年恒例のAdobeのエンジニア・デザイナーによって2日目の終わりに催されるイベントです。 毎回豪華なゲストが呼ばれて、絶賛開発中のすごい機能をデモして「ああ、機械学習ね。知ってるよ。なんかすごいやつでしょ?w」といったジョークの効いたコメントと共に会場一体でワイワイ楽しみます。 去年の様子がこちら。
度肝を抜く11のアイディアが登場
Sneak Peek例年の傾向として機械学習やAdobe Senseiのパワーを活用した実装間近のアイディアが紹介されます。 釈迦説としてツールはあくまで手段の一つですが"使いこなす"ことで大幅に作業効率や精度を向上させることができます。 人間ならではの些細なミスや単純作業を機械に任せることで「クリエイターが本当に集中して成すべきこと」にリソースを費やすことができるのです。
以下は時間のない方への抜粋。
1. 複数の写真を瞬時に合成
AllinSneak
例は写真を撮っている人と撮られている人を自動で合成したもの。機械学習で不自然なく複数画像を調整することができため、写真の撮り直や手動での抜き、レタッチ作業負担を大幅に減らせます。
PS: クソコラ作成が大いに捗る
2. イラストやイメージを自動合成・パターン描画
ImageTango
例はかんたんにスケッチした野鳥の画像に、野鳥の写真を掛け合わせて、スケッチの構図でディティールまで描かれた野鳥の画像ができあがる。応用として書影やキャラクターイメージとベンチマークのバナーを合わせて複数の広告バナーのパターンを瞬時に書き出せます。
PS:わりと広告バナー専任のデザイナーに撮っては脅威
3. フェイク写真の判別と元画像の復元
ProjectAboutFace
別名フェイクニュースバスター、フェイク画像のチェッカー。元画像への復元や補正具合を判別・算出することができます。フェイクニュースなどの判別や信頼性の高い情報の抽出に役立つ可能性も。
PS: マッチングアプリやスノーユーザーが涙目
4. スピーチの余分なことばを消す
ProjectSoundSeek
「えー」とか「んー」など、スピーチやトークの合間に入る耳障りの悪い音声やクセのパターンを抽出して消すことができます。音声版のphotoshopみたいな感じ。音声の収録・編集を簡易化。
PS: Podcastへの参入敷居や編集の手間がめっちゃ減る
5. ノイズリダクション
ProjectAwesomeAudio
収録した部屋や、環境でノイズが多い場合や意図しない音声が入ったとしても音源部分を判別して削除できる。Sound Seekに合わせて強力な音声編集アイディア。
PS: 動画収録中にお母さんが「ご飯冷めちゃうよ!!!」とか、救急車通ったりをなかったコトにできそう
6. 写真の光源の位置を撮影後に変えられる
LightRightSneak
光源の角度や影の位置を写真。動画問わず自動で算出・変更ができる。昼とか夜とかも後付で調整できる。
PS: フォトグラファーは景色の"瞬間を切り取る"の意味合いが再確認必要
7. 光源に応じてイラレの複数オブジェクトも自動調整
ProjectGlowstick
RIGHT LIGHT SNEAK 同様にライティングの自動計算・補正のアイディア。Illustratorで難しかった光源の表現において簡易的に設定するだけで複数のオブジェクトに光源に応じた変更が反映される。
8. 音源に合わせてイラストにアニメーションを適用
SweetTalkSneak
アニメキャラクターへのアテレコなのでフレームごとに差分を書かなくてもいい、音源に合わせたフレームレートの算出を自動で行えるアイディア。写真でも可能だが現状はイラストが無難。
9. 動画コンテンツからモーションキャプチャができる
GoFigureSneak
普通の動画のなかからトラッキングポイントを算出してすぐアニメーションに動きを付けられる。既存の動画コンテンツなどからもモーションが抽出できるのである程度は特殊な機材を「動き」のアセットを蓄積しやすくなる。
個人的にはこちらはVRコンテンツの作成や動画コンテンツ作成では革新的に、作る側の敷居が下がる予感。
10. ARモックをモバイル端末で簡易的に作成
ProjectPronto
モバイル端末でARオブジェクトへのイベントのトリガーを実演するプロトタイプ動画が簡単に作れる。VRコンテンツや空間設計などストーリーテリングが簡易的に可能になり、あらゆるアセットとの連携ができるため次世代のプロトタイピングといえる。
11. リアルタイムに文字をダイナミックエフェクトを適用
FantasticFonts
フォントにあらゆるパラメーターを付与して、動いたり伸びたり、燃やしたり、溶けたりと、ダイナミックに動かして演出できる。インタラクティブなコンテンツへの親和性が高いかも
まとめ
今年のSneak Peekでも未来感のあるとんでもない技術がたくさん発表されましたね。 会場の紹介ではジョークの効いた内容でしたが、今まで人間が苦労してやっていた仕事や職人芸が一瞬で片付いてしまうという危機感や、「こんなことできたらいいのに」が実現できる様になった部分のワクワク感が共存する不思議な空間でした。
ツールでできることや人工知能ができることに対して人間ができる表現領域をどのように共存させ、良いクリエイティブを生み出していくかということは真剣に考えなければなりませんね。
今回、強く確認できたことは「表現し続けること」の大切さです。 表現の手段は、音であったり、ダンスであったり、絵を描いたりコードを書くことなどジャンルを問わず、「繰り返し」でなく「積み重ね」。
「自分らしく研鑽を積む」ことは、「自分に誠実に向き合う」ことなのだと思います、エモ散らかし。
当日の様子などはtwitterのハッシュダグ「#ALLINSNEAK」で動画や現場の参加者のコメントがご覧になれます。
YATTEIKI! @norinity1103でした。
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当日の様子は公式Youtubeからでも閲覧可能
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この記事はAdvent Calendar 2019 「Design Tools Advent Calendar 2019」12/2に登録されています。