リーグ戦なくて暇なので、ここまでの2024年シーズンを振り返ってみる(ギラヴァンツ北九州)(2024/8/4)
3週間試合がないので、これまでの戦いを振り返ってみるよ。
ここまでの順位(第23節終了時)
なんと、中断期間までにトップハーフ到達、プレーオフ圏内(6位以内)まで勝ち点差ゼロ、自動昇格圏内に勝ち点差6の7位まで来ている。2023年にJ3最下位(Jリーグ全体で60位)だったチームが!
そして現在11試合負けなし。負けなしの間は7勝4分で、勝ち点にして25を積み上げ。期間全体では9勝9分6敗で勝ち点36。得失点差はプラス5。得点は21(リーグ15位)、失点はリーグ最少タイの16(同数で4チーム)。
では、ここから今年2024年のチームはここがすごいと思うところを適当に列記していくよ。多分ずっと見ている人の大半が普通に思ってることだと思うので、そんなに大したことは書いてないと思うよ!
守備が堅い!
失点がリーグ最少であることからもわかるように、今年は守備が堅い! リーグ戦において複数失点はアウェイ長野戦の1試合のみ(2-3で敗戦)。
今年はプレシーズンの段階から守備構築がうまく行ってるようで、複数失点でチームが崩れることもなく、アディショナルタイムの失点で勝点を逃す印象もなく、安定した試合運びが可能になっている。DAZN中継内では、後半での失点がリーグ最少であることもたびたび紹介されており、前半耐えて後半仕掛けて勝ちを狙うスタイルが出来上がってきている。
まあできれば、前半に2~3点入れて安心、という試合もそろそろ見たいけどね! とはいえそこは実力が拮抗したリーグなので、なかなか難しいけども。
複数ポジションできる選手が多い!
今年は複数ポジションできる選手が多い。センターフォワードが本職の高昇辰が開幕戦に右サイドハーフで先発したことには驚いたし、岡野凜平に至ってはトップ下・左右サイドハーフといった攻撃的なポジションのみならず、右サイドバック・右ウィングバックなど守備的なポジションをこなすこともある。
守備的な選手では、坂本翔が右サイドバックのみならずセンターバックもこなしているし、山脇樺織は左右サイドバックに加えて攻撃的なポジションのサイドハーフもこなすことがある。センターバックが本職の杉山耕二も右サイドバックで出場していた試合があり、長谷川光基も杉山と同様にセンターバックとサイドバックをこなすことができ、さらには(今年は機会がないが)ボランチでの出場も可能。また、終盤の守備固めで徐々に出場機会を増やしている伊東進之輔も、天皇杯福岡県決勝では右サイドバックにチャレンジしていた。
他にもたくさん例があってキリがないが、複数のポジションを高いレベルでこなす選手が増えることにより選手起用の幅が広がり、3バック・4バック・5バックへの試合途中での配置変更も可能となり、チームとしての戦い方にも幅をもたせることが可能になっている。
フォーメーションの幅が広がっている!
複数ポジションプレイ可能な選手が多いことともつながるけども、基本は4231で進めつつ、試合途中で3バック及び2トップに変更することがあり、試合が好転しているケースが多く見られる。自分は配置転換によるポジションのかみ合わせの変容などを読み取ることが出来ないのでよくわからないが、例えば試合開始時に4バックで進め、後半開始時に3バックに変更し内容が好転した試合もいくつか見られた。ここは、監督・コーチ陣のスカウティングや采配の妙もあるだろうし、選手たちが自分たちで考えて実行した面もあると思われる。
割と長い間このクラブの戦い方を見ていて、ここまで頻繁に相手に応じてフォーメーションを動かすシーズンはあまり記憶にない。2023年はシーズン途中に4バック→3バック→4バックと変遷していたけれども、相手に応じた変化というよりはチーム状況の改善を目的としたものだし、4バック→3バックの変更は守備は安定したけれども、一方で攻撃が停滞してしまっていた。監督が代わって3バック→4バックに戻った際も、多少の改善があったようにも見えたが、あまりに時間が少ないこともあって効果的な変更とは行かなかった。そもそも、試合途中でフォーメーションを変更するケースはほぼなかったように思う。
個人的に配信で試合を継続的に見始めた2013年辺りからを紐解いてみても、2020年の終盤あたりに3バックを試したことがあったような気もするが、基本的にはどの時期でも4バックで固定。ましてや試合途中で可変することなど、素人目にはめったになかったようにみえる。状況に応じた微妙な立ち位置の変更などは、当然あるだろうけどもね!(素人にはよくわからない!)
なので、今年2024年のような「相手を見て柔軟に対応する」形は、見ていて楽しいのである。
替えの効かない頼りな選手!
調子良く勝ち進めるようになってくるにつれて、この選手は替えが効かないな、という選手はいくつか出てきたように思う。
一人目はフォワードの永井龍。チームトップの9得点もさることながら、4231の1トップとして前線からの献身的な守備、後方からのフィードに体を張り収めて捌くポストプレー、攻撃時に相手ディフェンダーの背後を取る動き出し、コーナーキックでニアに入るときの相手の視野から外れる動き、などなど、チーム内の他のフォワードの見本となるような動きのオンパレード。シーズン序盤こそは得点できない状況が続いたが、他の選手との呼吸が合い始めると得点を量産し、11戦負けなしの立役者の中心となっている。彼に続くフォワードとしては高昇辰が挙げられると思うが、彼は右サイドハーフとして先発することも多く、後半フレッシュな状態で早い時間帯に投入できるフォワードの選手が現時点では台頭していない。4年目の平山駿、ルーキーの渡邉颯太の成長には期待したいところだが、起用方法を見る限り、まだそこまでには至っていないようだ。現在フル稼働状態となっている永井龍はベテラン32歳。彼の負担を軽減するためにも、遜色ない働きができるフォワードの台頭が待たれる。もしかすると、夏の移籍ウィンドウがまだ開いている今の状況(2024年8月21日まで)で、一番待望されているのはこのポジションかもしれない。
二人目は守備的中盤の高吉正真。守備的な中盤の選手は井澤春樹・喜山康平など、実力者の多い比較的層が厚いポジションではあるが、その中でも相手の攻撃の芽を摘み取る力が一番大きな選手で、今季現時点でリーグ最少失点タイのチームを、工藤孝太・杉山耕二・長谷川光基をはじめとしたセンターバック陣とともに支えていると思う。彼が出場していない試合は、最後方のディフェンダー・ゴールキーパーにとってのフィルターとなる中盤での守備力が若干低下しているようにも見受けられる。守備力の観点から考えると、中盤の選手の中で一番替えの効かない選手ではないだろうか。また、ボックストゥボックスの選手を目指すと公言している通り、自陣のゴール前から相手のゴール前へ飛び出す動きも時折見られ、積極的にミドルシュートも放っている。天皇杯2回戦の新潟戦ではプロ初ゴールも記録した。高吉だけに限らず、他の中盤の選手の得点力がもっと増えれば、より安定した試合運びができるようになると思う。今後はその辺にも期待したい。
三人目は攻撃的中盤の岡野凜平。攻撃的、とはいいつつも、前述の通りいろんなポジションを任されることが多く、去年2023年は守備的中盤もこなしていた。運動量がとにかく多く、色んなところに顔を出す。試合中にいろんなポジションを任される器用な選手でもあり、トップ下で先発したと思ったら右サイドハーフに回り、最終的には右サイドバックをしていた、なんて試合もあった。藤原健介が加入後は、彼がトップ下となり現状では右サイドハーフで先発する機会が増えた。ただ、永井龍が安定して結果を残せるようになったのは、岡野凜平がトップ下に入ったときからだったように思うので、今のチーム内においてはトップ下がベストポジションかなという気はしている。ただ、新加入の藤原健介が徐々にフィットしてくればチームの状況がいろいろ変わってくるだろうし、その中でベストなポジションが新たに生まれてくる可能性もあるだろう。とにかく、いろんなポジションを任せることのできる運動量のある気が利く選手としては、彼がチーム内では随一ではないかと思う。
四人目はゴールキーパーの田中悠也。2019年にチームに加入し、初出場が2021年シーズン後半、その年は最後まで定位置で17試合出場。2022年・2023年は吉丸絢梓・加藤有輝などが主に出場した関係で、2年合計で14試合出場にとどまる。ただ、今シーズンはリーグ戦4試合目の第5節(第3節が後日開催の変則日程)から第23節の20試合、一度もスタメンを譲ることなくゴールマウスを守っている(今季初出場はルヴァンカップ1回戦。このときはまだリーグ戦では大谷幸輝がスタメンだった)。チーム6年目の最古参が、ようやく掴んだ不動の守護神の座。驚くべきは身体能力の向上で、ハイボールは高い位置で掴み取れるし、パントキックは遠くまで届くし、スローイングはハーフラインを超える飛距離まで飛ばせるようになった。ハイボールへの強さは、ルヴァンカップ1回戦の大分戦、延長後半の渡邉颯太の先制点のあとに立て続けに前線に放り込み続ける大分のロングボールをことごとくキャッチしていたのが印象的。パントキック・スローイングは、今季それぞれ得点をもたらすまでに至っていて、いずれも決勝点となりチームの勝利につながっている(ホーム鳥取戦とホーム奈良戦)。あとは、本当によく声を出すこと。これは2021年のときから変わってないかな。0-0に終わったホーム松本戦において、DAZNでの試合後インタビューでガラガラ声でインタビューを受けていたのを見て、ああ、ここは本当に変わってないんだなと。
このインタビューで「クリーンシートで終われているのは、シュートコースを限定したり事前にブロックしてくれるディフェンダー陣のおかげ」といったようなことを話していたが、彼らに対する最後方からのコーチングも、それに十分貢献しているだろうと思う。実は今シーズン、オーセンティックユニフォームを田中悠也にするかどうか、本当に迷ったんだよな~。こんなことなら買えばよかった!(笑)。今季限定ユニが出れば、買うかもしれないな…。
チーム内の競争が激しい!
軸となるメンバーはある程度固まってきているものの、今季はサブメンバー・メンバー外の選手の入れ替わりが激しく、殆どの選手が公式戦に出場している。残念ながら、去年2023年は主力だったにも関わらず今季出場機会がなかった本村武揚と、ルヴァンカップ1回戦での途中出場のみとなった坪郷来紀が期限付き移籍によりチームを離れてしまったが、それ以外はゴールキーパーの谷口璃成・ユースからのトップ昇格の官澤琉汰を除き、すべての選手が出場機会を得ている。ギラヴァンツ北九州ユースから強化指定選手として加入した世良務でさえも!(その後正式に2025年度での加入が発表)。それだけチーム内の競争が激しく、下からの突き上げも激しいことが想像できる。
というわけで、個人的に競争が激しいポジションだと思うところをピックアップしていくよ。
まずは、右サイドバックの坂本翔と山脇樺織。ここが一番激しいところかな。シーズン序盤は坂本翔が出ていたが、怪我による離脱後は山脇樺織がスタメンへ。それぞれ強みが違っていて、坂本翔は守備面、山脇樺織は攻撃面での貢献が目立つ。坂本翔の守備は本当にすごい。上背はあまりないが(174センチ)、先読みして相手より早く回り込みボールを摘み取ったり相手の体をブロックしたりする能力が秀逸。その守備能力の高さから、3バックの右センターバックを任されることもある。今季の可変フォーメーションにおいてキーになっている選手かもしれない。後半から出場し引き分けに持ち込むゴールも決めたアウェイ金沢戦が特に象徴的かな。山脇樺織の魅力はなんといってもスピード。プロキャリア初のゴールを決めたアウェイ鳥取戦(※左サイドハーフで途中出場)や、個人的には今季一番の出来だったと思うアウェイ琉球戦など、スピードを生かした縦への推進力はチーム随一だろう。アウェイ琉球戦で見せた積極性を高い頻度で見せられるようになれば、間違いなく相手への脅威になると思う。ここに、世良務が加わっていくわけだな…。
次に、左サイドバックの乾貴哉と前田紘基。乾貴哉は2023年シーズンはディフェンダーでトップの5得点を記録。187センチの長身を生かしたハイボールの強さと攻撃時のオーバーラップが大きな特徴。敵陣のタッチライン近くまで切り込むオーバーラップは2023年シーズンでは大きな武器になっていた。2024年シーズンでもそれは健在ではあったが、ここ数試合はパスミスなど精彩を欠く場面も散見され、スタメンから外れる試合も増えてきている。期待される得点も今季はゼロ。代わりに頭角を現したのは、2020年シーズンの特別指定選手時代を含めると5年目となる前田紘基。彼の武器は堅実な守備と精度の高い左足で、フリーキッカーを任されることもある。一方で、攻撃時はまだまだ慎重なところがあり、無難な選択に終始することが多い。ここで敵陣深く入り込む、相手にとってリスクの高い選択ができるようになれば、今後のスタメン定着も期待できるかもしれない。
おわりに
他にも、レギュラー争いまでは行かないまでも激しいメンバー入り争いを繰り広げている攻撃的中盤の面々のこととか、藤原健介が引き上げてくれるであろう領域とか、11戦負け無しの状況であっても驕ることなく気を引き締めている選手たちのこととか、増本浩平監督の素晴らしさとか語りたかったけども、ちょっと時間と気力が足りませんでした(笑)。全部の選手の名前出したかったなあ。
ただ気が向いたらその辺は、どうせまだ試合はないし、来週にでも書くかもしれません。面倒だから書かないかもしれません。まあ自分が書きたくて、なおかつ自分で読みたくて書いてるだけなので、休みの日に自分自身を検めるためという意味では、今回の形でもいいのかなと思ったりもします。なにせ6000文字近くになってしまった自己満足以外の何物でもないシロモノなので…。はじめに書きたかったことを含めれば10000文字は超えてたかもしれないし、そうなると平日に書く時間は期待できないから次の週末まで温めておかなければならなかったし、そもそも次の土曜日からは夏休みで多分呑んでるし(笑)。というわけで、ここまでで切り上げておこうかなと思いました。
ほとんどいないとは思うけど、自分以外でここまで読んでくれた方がいれば、大変ありがたいことです。ありがとうございます。