【第65回岸田國士戯曲賞候補作を読む】その6
5作目は小御門優一郎さんの『それでも笑えれば』。
候補者について
小御門優一郎[こみかど・ゆういちろう]
1993年生まれ。埼玉県久喜市出身。劇団ノーミーツ共同主宰。
初の最終候補。
候補作について
昨年12月、劇団ノーミーツの第3回公演としてオンライン配信。
■時代、場所
2020年3月~12月、東京
■登場人物
「へるめぇす」
小田島マキ ルリコに誘われてコンビを組む。
日高ルリコ ネタを書いている。
「セッシー4C」
矢島ヒロト マキの同期
相原カオリ ヒロトとは高校からの仲。
古賀コウヘイ ルリコの彼氏。元バンドマンフリーター。
関根ダイスケ ブライトプロモーションのマネージャー。
小田島アケミ マキの母。女手一つでマキを育てる。
■物語
2020年3月、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、ほとんどのイベントが中止となり、お笑いコンビ・へるめぇすも岐路に立たされる。リモートでは漫才もままならず、新たな方向性を探っていく2人。同期が芸人を辞めることを決意し、へるめぇすの解散話もちらつく中、予定通り開催されることになった年末の漫才グランドチャンプの予選に挑む。
総評
劇団ノーミーツは未見ながら、ステイホーム期間にいち早くオンライン演劇を始めた機動力は評価したい。ただ、本作が岸田戯曲賞の最終候補にふさわしいかと聞かれれば首をひねらざるを得ない。岸田戯曲賞は時折、「なんでこの作品が最終候補に入ってんの?」というのがあるのよねぇ……。
本作は観客選択型ということで、様々なパターンが用意されてはいるものの、正直、どれでもええやろというものばかりでリアルタイムで楽しむならともかく、戯曲として読むのはつらいものがあった。
受賞の可能性は限りなくゼロに近いかと。