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アルバニアに上陸!【世界多分一周旅バルカン編#2】


「アテンションプリーズ!」というアナウンスのおかげで、フェリーのキャビンの狭い部屋で飛び起きた。さすがに二夜連続夜行フェリーの移動続きで疲れていたのか、朝まで一回も起きないパターンであった。

けたたましくアテンションプリーズ放送が鳴りまくっても、3回目のフェリーの私は慌てたりしない。ここから外に出られるまで1時間以上かかるのである。
車を順番にフェリーから下ろしていく作業にものすごく時間がかかる。車なしで乗り込んでいる人がいつになったら降りられるのかは、結局3回のフェリー体験でも分からないままである。
最初のフェリーで、いつ降りたらいいのかを船員に聞いたら、「アナウンスをよく聞いてて」と言われたが、イタリア語とイタリア語訛りの早口英語でさっぱり分からなかった。1時間ほど待って、なんとなく雰囲気で試しに出口まで行ってみたら、船から降ろしてもらえるパターンが今のところの正解。
今回はイタリア語とアルバニア語なのかなんだか分からない言葉と、なんだか訛っている早口の英語の3つに増えたから、余計に聞く気にならず、結局今回も雰囲気に頼ったらうまく船から降りることができた。

そんな感じでアルバニアに上陸。

そのまま、入国審査に向かい、シェンゲン協定の90日ルールの関係上、どうしてもスタンプを押してほしかったが、「データで入力したから」と言ってスタンプもないままアルバニアに入国した。
ヨーロッパでも色々と国境をまたいできたが、ずっとユーロを使ってきたから、アルバニアのレクをATMで下ろさないといけないのは久しぶり。ATMを探しつつ、一体いくら下ろすべきか見当もつかないので、ひとまず店でペットボトルの水の値段を聞いたら0.4ユーロでいいよと言われた。ユーロも使えるらしい。ペットボトルの水はイタリアでは1.5ユーロくらいしていたのに、4分の1くらいになった。
ますますいくら下ろすべきか分からなくなった。

アルバニアの港Durresから、首都のティラナに行こうと思っていたが、ベラトという世界遺産の町が南の方にあるのを、日替わりセールで499円になっていたタイミングで最近買ったKindle版の地球の歩き方「中欧」のアルバニアのページで見つけたので、そこの宿を前日に予約していた。



大体イタリアのナポリなどの観光地では、最安値のホステルでも30ユーロ(4500円)からが相場であった。リスボンは40ユーロ(6000円)のドミトリーに泊まった。
それなのに、アルバニアったら、ベラトも首都ティラナも最安値が9ユーロ(1300円くらい)から始まって12ユーロ程度。しかも朝食付きで、bookingコムで評価が300以上も集まっているというのに点数が9.5を超えている。レベル高すぎ、値段安すぎ。
もうこれだけでアルバニアを好きになりそうな私だった。

とにかくまず、Durresからベラトに向かわないといけない。
地球の歩き方には行き方の情報はなかったが、宿の人にメールで聞いたら、Durresからベラトへは直行バスが出ていると言う。ネットで調べたら1時間に1本くらいバスが出ているらしいことが分かった。
しかし、ネットで調べると言っても、日本語で検索してもほとんど有益な情報は見つからないし、英語で検索してもコロナ前の情報で信ぴょう性に欠ける。GoogleマップやOmio(EUでバスやブラブラカーや列車、フライトの検索に使っているアプリ)にもアルバニアのバスが一切出てこない。
このミステリアスなところが、どうも以前行ったキューバっぽくて、社会主義の国なのかな?となんとなくぼんやり思った。
さて。
Durresのバスターミナルで、「ベラトの直行バスなんてないよ!プラパー!」とばかり人々は言う。
プラパーがなんなのか分からなかったが、みんなプラパーと言う。
どうやら地名らしく、プラパーに行けばベラトに行くバスに乗れるらしい。
私も「プラパー!」と言いまくってなんとかプラパー行きのローカルバスに乗った。

アルバニアの人はやたらと「ポー!」「ポー!」と言う。
アルバニア語でYesがPo、NoがJoらしい。地球の歩き方のアルバニアのページに他にもいくつか挨拶が載っていたが、覚えられる自信が全くないため、PoとJoだけは頭に叩き込んだ。

プラパーに着いたらバスターミナルがあって、ベラト行きのバスがちゃんとあった。
いや、ちゃんとじゃない。
ワゴン車で人が集まれば出発するタイプのミニバスだった。でも、400レク(560円くらい)で1時間かけてベラトに行ってくれるらしい。

これがベラト行きのバス。


安心して、荷物を車に見えるバスに預けてすぐそばのレストランで腹ごしらえをすることにした。
メニューを見たが全く言葉が分からないので、炭火焼きのコーナーで実物を指でさして注文した。
シシカバブみたいなのとコフテ(ハンバーグみたいなの)。
それにパンとサラダがついて200円くらいだった。

おお。
こんなに肉メインのものを食べられるのも久しぶりだし、安くて嬉しい。そして味もかなり美味い。
こんな、なんてことないバスターミナル横のレストランでこのレベル。アルバニア料理が楽しみになってきた。中東やトルコ料理に近い雰囲気である。メニューが全く理解不能なのは厳しいが、なんとか写真と英語の説明で推測して美味しいものを食べていきたい。

ベラトへは2時間弱で到着。
客引きドライバーも誰もボろうとしてこないし、嘘もつかない。道を聞いても値段を聞いても、みんな本当のことしか言わない。少し混乱してしまう。

予約した宿は、チェックインの前に、汗だくの私を見て、「チェックインは後でいいよ、それより先にシャワーを浴びてゆっくりしたら?昼寝してからでもいいし。」と優しい。
ラキというアルバニアの蒸留酒のいちごバージョンを、ウェルカムドリンクだと言ってショットグラスに入れてくれて、いかついお兄さんと乾杯した。
オーナーは一見コワモテのお兄さんだったが、ニコニコしてとても優しい雰囲気に変わる。
紙のフリーマップをくれる宿は大好きだし、おすすめのレストランを教えてくれるのも大好きである。Wi-Fiはめちゃくちゃ強いタイプで安定している。ウォーターサーバーもあり、バラエティーに富んだ紅茶のティーバッグがいっぱいあり、ご自由にどうぞとのこと。シャワーもお湯がいい勢いで出る。清潔なシーツにちゃんとしたベッド。
朝ごはんは山盛り。手作りのジャム4種類にフルーツ。
そんなの全部込みで9ユーロ(1400円くらい)って嘘やん。
安すぎる。

車みたいなバス
ベラトに到着。
バスの時間を聞いたら、裏に書いてあるよ、と言われた。気が効くわー。しびれた。
いちごの蒸留酒。
体の中が一瞬で燃えた。
自家製ジャム4種類を全て試してみたが、どれが何だかよく分からなかった。どれも美味しかったけど。

混乱が続く。

何をこんなに混乱しているかというと、安さと暑さと雰囲気で、ついついインドと比較してしまっているのである。
この安さはインドの安宿並みに安いのだが、清潔度、サービスの質はヨーロッパ諸国の平均水準を軽くクリアしている。
誰も騙してこないし、純粋に親切でトゥーマッチな関わりをして来ない時点で、全くもってインドではない。
なんでこうなるのか分からなすぎた。
コスパという言葉は嫌いだが、おそらくアルバニアは、ツーリストにとってコスパのいい国と呼んでいい気がする。

かと思えば、調子に乗って値段を見ずに良さげなレストランに入って、適当に料理を頼んだらちゃんとイタリアと変わらない金額を請求されて焦った。
そしてまた混乱した。ああ、ここはヨーロッパであった。

ベラトの町は世界遺産なのだが、他の国の世界遺産よりも圧倒的に観光客は少ないように思う。
混みすぎてもいないし、ツーリスティックになりすぎてもいないけど、少しずつ開発されていて観光客向けの宿やバーができてきているような印象。
大きめの野良犬が多くてアジア諸国っぽさを感じたのだが、誰が掃除しているのかフンやゴミはそれほど落ちていない。もしやリードをつけていないだけで飼われているのだろうか。よく分からないがその辺にかなり大きい立派な犬がゴロゴロいる。犬もおとなしい。
町を歩いてて落ち着くのはなぜかと思えば、リスボンやナポリのようなグラフィックな落書きもないからかもしれない。とてもスッキリしている。
モスクが多く、アザーンが爆音で聞こえてきた時に、ああイスラムの国かと思った。
アルバニア人の男の人は頭を丸く刈って髭を生やしている人が多くて、みんな似ていて面白い。
女性は時々ブルカをかぶっている人もいるが、開放的な服の女性がほとんどで、イスラム教の国と言っても緩そうな印象。
ちらっとWikipediaで読んだが、過去に、なんとアルバニア人の3分の1にあたる人々が、ネズミ講の詐欺にあい破産したらしい。どうしたらそんな事態になるのか全く理解ができない。そのネズミ講の人は誰なのか。ピュアすぎるのかアルバニア人。
鎖国も長かったらしい。
独特の雰囲気はそのせいだろうか。
よく分からないことだらけである。
とりあえず肉料理が安くて美味しいので、私の中のアルバニアへの好感度がかなり高い。

初日はそんな程度の印象。

ベラトの写真は、たくさん撮りすぎたので今回はちょっとだけにして、続きはまた次回。


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のりまき
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