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世界多分一周旅、ヨーロッパ編終了の今の気持ち。
ヨーロッパの旅が終わった。
終わってしまった。
今、スペインのマドリードから、コロンビアのボゴタに飛ぶ飛行機の中でこれを書いている。
昨日は珍しくあまり眠れなかったし、機内でもあまり眠れない。
久しぶりにLCCではない飛行機だというのに、機内食が4時間経っても出てくる気配がなくて、お腹が空きまくっている。
モニターで、もう何回見たか分からないドラマ「FRIENDS」を流しながら、自分のイヤホンでiPhoneからOASISを聴いている。モニター用のイヤホンをもらい損ねたが、面倒くさいのでそのまま音無しで画面を見ているが、レイチェルはやっぱり可愛いし髪型を真似したいと思う。
数日前からヨーロッパの旅を振り返ろうと思っているのだが、あまり思い出せない。
どこが一番良かったかなとか、何が美味しかったかなとか。何となく全部ぼんやりしている。
最後に過ごしたノルウェーが圧倒的過ぎて、もう少し浸っていたいからかもしれないけれど、写真を見返しても、全て覚えているし、ずっと楽しかったのに、なぜか遠い。4ヶ月。
だけど、ふとした些細な瞬間に、旅の一場面が蘇ったりする。
8月のノルウェーの森でラズベリーを摘んでいた時に思い出した、6月のフランス、ボルドーでイザベラとジョンクリストファーと3人で、畑でラズベリーを摘んで食べたこと。その日の夜のラタトゥイユがココナッツミルクが使われていて美味しかったこと。
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イギリス、マンチェスターのパブで、地元のバンドがOASISの wonderwallを演奏した時に浮かんだ、7月のマドリードのフェスでリアムの歌声を聴いたこと。
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ユーロが160円になった8月に浮かんだ、ヨーロッパ旅初日の5月1日にドイツ、フランクフルトに降り立った時には150円になって、震えてユーロタワーを見上げて円安を嘆いたこと。
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昨日、カラマリ(イカリングフライ)を求めてマドリードを歩いていた時に浮かんだのは、5月の誕生日パーティーで、フェデリコがイカリングの美味しさを教えてくれたこと。
そして、いろんな場所でいくつも食べたスペインの平べったい桃。
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Amazing graceを聴くと、5月にフランスのフィジャックという村でマーチングバンドのAmazing graceを聴いて、なぜか涙が止まらなくなった時のことが浮かぶ。
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ビールを1人で飲む時は何となく思い出す、カミーノで出会った韓国人のシールが昔アルコール依存だったことを打ち明けてくれて、数年前に悪い習慣は断ち切って、今は特別な時に1杯だけ飲むというようにコントロールできるようになったと言ってたこと。私と別れる時に1杯だけ一緒に飲んだこととか、かわいい笑い方とか。
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いろんな国を旅してきて、新たに好きになった場所がたくさんできた。スペインが大好きだったが、それを上回るくらいの景色や食べ物、町の雰囲気などに出会ってきた。ヨーロッパの最後にまたスペインに戻ってきたら、なんだかホッとする気持ちになった。
「スペインに1日しかいられないなら迷わずトレドへ行け」という言葉があることを、毎回無視してスペインを旅してきたが、最後の最後にトレドに行ってみることにした。
バスの道中の茶色い風景と水色の空。これは私がカミーノで散々見てきて大好きなスペインだ。
トレドは言葉通り素晴らしかったし、絶対行くべき場所だなとは思ったが、何よりも素晴らしかったのは夕暮れ時。
日帰りで来る人が多く、人が一気に少なくなり、夜景のスポットへ45分歩いて向かってみた。
ああ。
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最後の最後にこういう景色を見せてくれるんだから、やっぱりスペインが大好きだ。そう思った。スペインでは、いくつも夕日や朝日を見てきたこと。その時に側にいた人や空気感。いくつも浮かんだ。
そういう風にふとした瞬間に、ぶわっと小さな思い出がはっきりと蘇ることがある。
振り返ろう、思い出そうとしてもあまり上手くいかないけど、そういうトリガーが生活のあちこちにあって、時々私を温かい気持ちにしてくれて、キュッと切なくなる気持ちにもしてくれる。
今こうして後ろの席のいかつい男に座席を蹴られているこの瞬間も、いつかの思い出になって、未来の私を温かい気持ちにしてくれるのかと思うと嬉しい。
マンチェスターで、1月のラオスで出会った旅仲間のガリーと再会した。薄着で過ごしていたラオスだったが、お互い長袖になっていて、私は髪の毛が伸びていた。(ガリーは髪の毛は伸びない。)
ガリーはマンチェスターで季節労働のような形で高層ビルを作る仕事をしていて、「あのビルが背丈くらいの時に…」とか、「あのビルを作り終えてからタイに行った」など、ビルと思い出がセットだったのが興味深かった。ビルが完成したら旅に出ているライフスタイルである。
「チョコレート(私のニックネーム)がまだ旅を続けている間、あそこのビルの何階から上を作ったんだよ」と言っていて、私の思い出もマンチェスターのビルの歴史に組み込まれて面白かった。
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タイのプーケットでしばらく暮らすらしい。
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ノルウェーで借りていた家の庭にはプラムの木があって、それをもいで毎日食べていたのだが、その時もボルドーのイザベラを思い出す。
イザベラの家の裏庭のど真ん中にプラムの木とベンチがあって、そこのベンチに2人で座りながら彼女が話してくれた。
「コロナでロックダウンでどこにも行けなかった時、裏庭は敷地内だからセーフで、プラムの木の下でプラムを食べながら読書して過ごしてたのよ。あの時期はどこにも行けなくて辛かった。来る日も来る日もプラムの木と一緒に耐えたのよ。プラムが支えてくれたの。」と言った。
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コロナでどこにも行けなくて、私が職場から2時間かけて歩いて帰っていた時期。
世界中の人があの時期にどこにも行けなくて辛い思いをしていたんだなぁと思うと、当たり前だけど、私だけじゃないと思えて、私のあの時期も救われたような気もした。みんな頑張ったんだなと思う。
頑張れよ私。2023年にはどこにでも行ける自分になっているから。
過去の私に、応援のエールをなんとかタイムリープするように飛ばした。
ノルウェーでプラムを食べながら、そんな過去ですらいい思い出になっていることに気づく。
4ヶ月のヨーロッパの旅、そして3ヶ月のアジアの旅の日々は間違いなく全て記憶している。刻まれている。それは思い出せないかも知れないけど、きっといつかふとした時にひょっこり現れて私を温かい気持ちにしてくれるし、支えてくれるのだと思う。
世界多分一周旅も後半。
思い出に支えてもらいながら、新しい思い出を作る日々。
めいいっぱい楽しみたい。
そしてこのnoteを、いつかの先の未来に私が読んで、懐かしいなと温かい気持ちになれればいいなと願ってる。
無事ボゴタ空港に着いたので、そこから投稿。
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