青い町のコリアンレストラン【インド#9,サポート飯】
これまでの私のnoteにサポートしていただいた方から、世界多分一周旅をしている旅先で美味しいものをごちそうになるというこの企画、「サポート飯、ごちそうさまです!」の記念すべき第六弾。
インドのブルーシティ、ジョードプル。
ここには、韓国料理のレストランがあるらしい。
しかもかなりレベル高めの。
口コミを見てもそう書いてあった。
それを見聞きして、楽しみにしていた私。
ジャイサルメール以降、胃腸が弱りまくっていて、サポート飯すら食べさせていただく気にならず、気持ちも臆病になっていて、なかなかカレーへと簡単に手が出せないでいた。
とにかくあんな目にまたあうのが怖くて怖くて、私はすっかり怖気付いてしまっていた。
だから、怖気付いた臆病な私は、できれば和食を食べたかったが、なかなか日本料理屋さんはラジャスタンにはないので、和食との親和性がかなり高い韓国料理屋に行くことにした。
今回は、いつも読んでくださっているあいきょんさんから、サポートとお見舞いをいただいていたので、素直に使わせていただこうと思います。
あいきょんさんの言ってくださった、「精がついて下痢嘔吐のしないもの」
それは、コリアンレストランが握っていると信じてやってきました!
ちゃんと青い店、キム・モハンズ・レストラン。
メニューを見てみると、うむ。
ハングル文字。
本気のコリアを感じる。
どうやら韓国人宿らしい。
期待値もグッと上がる。
「チキンマヨ」というメニューを発見。
和食なのか韓国料理か分からない品揃えが逆にありがたい。
チキンの味は辛いのか聞いてみたら、インド人の店員さんが、「No,It’s Teriyaki」と言った。照り焼きは和である。
よっしゃ。
照り焼きチキンマヨ丼、いかせていただきます。
なんか、久しぶりに食欲が湧いてきた。
それからワカメスープを指さしたら「今はない」と言われ、卵スープも味噌汁も海苔巻きの天ぷらも「No」と言われる。
うむ。
ならばチヂミをください。
それならある、と言われて待つこと50分。
なかなか出てこないのがインドのレストランの常。
ここは気長に待つ。
そして運ばれてきた照り焼きチキンマヨ丼とチヂミ。
では、あいきょんさん、これなら精がつくはず。
ありがとうございます!
では、いただきます!
うーん。
何かがおかしい。
チキンも卵も、何の味もしないので塩をめっちゃかけたところに、慌ててインド人の店員さんがやってきた。
「ソーリー。照り焼きにするの忘れたからこれどうぞ。」
と銀の器に入ったソースを渡された。
ええ?!
丼の中でかけるタイプの照り焼き?
焼けてないし照らないよ、それは。
せめて塩をめっちゃかける前に持ってきてほしかった。
照り焼き丼で照り焼きにするのを忘れるって、さすがインドである。
照り焼きソースをたっぷりかけてかなりつゆだくにして、別添えのマヨネーズも全部入れた。
笑っちゃうくらいに味が濃いが、逆に一口食べるごとに元気になる気がしたごはんである。
こんなに躊躇なくパクパクと口に食べ物を入れ続けたのは久しぶり。
そして、チヂミはちゃんとチヂミで美味しい。
しかし、照り焼きにするのを忘れる店員さんはかなりおっちょこちょいだと思う。
しかも、照り焼きは忘れるくせに箸は3本で1本多い。
This is India.
味はというと、美味しかった。
チヂミとチヂミのたれと、辛くない和風な味のついた白ごはん。
あっという間に食べることができた。
なんだか、この食事を境に、臆病な心は薄れて、食への勇気がまた湧いた気がする。
あいきょんさん、ありがとうございました。
ごちそうさまでした。
(本当に勇気が湧いてて、翌日の夜は別の店で、久しぶりにチキンカレーを食べられました。)
さて。
調子に乗って次の日もまたキム・モハンにやってきた。
メニューで気になっていたものがあったから。
それはコリアン・チキン・ヌードルスープ。
つまりチキンの入ったラーメンである。
ラーメン好きの私が食べずにはいられなかったので、翌日の昼にすぐ来てしまった。
今日もサポートしてもらおうかな。
しほ先生にごちそうになることにした。
しほさんも、だいぶ前からnoteを読んでくださっている方で、坂元裕二ドラマのファンという共通点がある。
私の好きな坂元裕二のドラマのセリフに、カルテットの「泣きながらご飯食べたことがある人は生きていけます。」というのがある。
どうしてこういうセリフが思いつくんだろうと坂元裕二ドラマはいつも痺れてしまうが、きっと彼も泣きながらご飯を食べたことのある人だろうし、私もある。しほさんもあると思う。
あのシーンはすごく好きだった。
血の繋がった関係よりも家族を感じたシーンだった。
うろ覚えだが、「同じシャンプーを使って同じ匂いをさせているのは家族のようなもの」という、居場所を感じさせるセリフも好きだった。
そんなことを思い出しながら、今回は泣かずに食べたい、ラーメン。
そしてじゃがいものチヂミも注文した。
しほさん、いただきますね!
ラーメンもおそらく1時間くらいかかるかな?と思い、待ってる間に勝手に冷蔵庫からリムカを取って飲むことにした。
インドのこのレモンとライムの炭酸ジュース、リムカが私はとても好きなのである。
暑い国ってどうしてこうシンプルな炭酸ジュースが飲みたくなるのだろう。
そしてどうしてびっくりするほど美味しく感じるのだろう。
喉ごしが爽やかでいい。
冷えたジュースってインドではなかなか飲めないので、冷蔵庫があって、しかも電気がちゃんとついてて、ある程度冷えていて、余計に美味しかった。
さて、今日も50分待ってやってきた。
何やら、また様子がおかしい。
もう一回メニューの写真を確認。
もう一回、実物。
え?
これ何。
まさかの麺がきしめんタイプ。
これは予想していなかっただけに衝撃だった。
でも、野菜がゴロゴロ入っている裏切り方はいいよ。
しかもじゃがいも、かぼちゃ、玉ねぎがいっぱい入ってるところはポイントが高い。
私が好きな野菜が揃ってる。
チキンも結構入っている。
溶かし入れた卵もいい。
せめて麺の太さは写真の通りでいこうよと思わなくもないが、まあいいや。
This is India.
食べ応えは相当あった。
そしてじゃがいものチヂミはこれまた完璧だった。
チキン野菜きしめんのスープの味も、かなり美味しい。こういうシンプルな味に飢えていたから染み渡る優しさ。
そしてどちらにもいも。
じゃがいも祭りとなった。
しほさん、メニューに思いがけない裏切りがありましたけど、とても美味しかったです。泣かなかったけど、美味しい美味しいと思いながら食べれたので、これからも私はきっと元気に旅を続けられます。
なんか、体調も良くなったみたい。
ありがたいことです。
ごちそうさまでした。
あいきょんさん、しほさん、本当にありがとうございました!
さて。
キム・モハンズ・レストランからもウメイドバワンパレスが遠くに見えた。
数日後に行くこととなる宮殿。
遠くからでもマハラジャの偉大さが分かる。
地味にきしめんショックを引きずっていたこともあり、翌日の夜には宿のお兄さんに頼んでマギー(インドのインスタント麺)でラーメンを作ってもらうことにした。
私、ラーメンは細麺が好きなので。
野菜も入れてくれるとお兄さんが言うため、「チリは抜いて、パウダーも入れずにお湯だけで仕上げて」と頼み、日本から持ってきたダシダの海鮮スープとかがみ餅でオリジナルラーメンにできるな、とスタンバイして楽しみに屋上で待っていた。
そしたら、また予想を裏切る料理を持ってこられてしまった。
やってくれるねぇ。
なんで汁なしの焼きそばバージョンにしたん。
ヌードルスープでしょうよ。
マギーって言ったらスープありのラーメンやと思ってた。
良かれと思ってアレンジしてくれちゃう、できる男。
汁がないので、ダシダも餅も使えなかった。
焼きそばタイプのマギーを食べてみたのだが、あれほどチリとマサラパウダーを入れるなと言ったのに、めちゃくちゃ辛い。
「お湯だけだと味が全くなくなるから、少し入れたよ」って言ってきたお兄さんの笑顔に免じて、許そう。
夜中まで夜風にあたりながら、ダラダラと屋上のソファーに寝そべって、メヘラーンガル城に足を向けて、1人でインド映画を見続けて過ごす夜。
時々お兄さんがきて、映画の邪魔にならないように気を遣いつつ、チャイを持ってきてくれる。
夜の屋上は私だけのスペースになってしまっていて、家のようにくつろいでしまった。
ジョードプル最後の朝ももちろん、お兄さん特製のヌテラバナナトースト。
これは絶対日本に帰ったらやります。
ジャイサルメールでの濃密な人間関係に疲れ果ててやってきたジョードプル。
適当に私を放っておいてくれる宿のお兄さんには、とても救われた。
1人でゆっくり過ごせた時間は快適だったし、自分のペースを取り戻せた気がした。
そういう意味でも思い出深い町となった。
ジョードプルではフォレストエッセンシャルズ(インド最高峰のアーユルベーダのコスメブランド)で高級ローズオイルを買ったり、ワンピースを買ったりした。
1人の時間を堪能できると、買い物もはかどる。それに比例してお金は飛んでいくが、私の物を私のお金で買っている。
そして私のお金でご飯を食べている。
ただそれだけのことだ。
さて、ジョードプルの次は、ホワイトシティこと、ウダイプルへ。
またもや7時間ほどバスに揺られる。
バスでは、私の席の窓だけが壊れていて閉まらず、風ではためくカーテンが永遠に私の顔面を叩き続ける。
窓を閉めに屈強なインド人の男たちが代わる代わる窓に挑戦しにきたが、誰も窓を閉めることができず諦めて去っていった。
仕方ないので、私のストールでカーテンを前の座席に括り付けることにした。
これで顔面を叩かれずに眠れる。
安心して目を閉じた。時々起きたり、ポテチを食べたり、隣の席のタマンナちゃんとお喋りしたり、またポテチを食べたり、途中休憩で汚すぎるトイレがおぞましすぎて唸りながら用を足したりしながら、バスはウダイプルに到着。
7時間後、バスは訳の分からない場所で止まって、そこで降ろされた。
私以外の唯一のツーリストがもう1人いるのを発見。
韓国人男性のジュンさんという人で、彼が予約した宿と私の宿がすぐ近くだったため、2人でリクシャーをシェアして一緒に向かうことにした。
リクシャーの中で、「カーテン、ずっと顔に当たっててどうするのかなと思って後ろから見てたら、賢かったですね。びっくりしました。」と流暢な日本語で褒められて、こっちもびっくりした。
「ねぇ、ジョードプルの韓国料理屋さん行った?」と私が聞いたら、「僕はそこの宿に泊まってましたよ。」と言われてまたびっくりした。
後に、そんな日本語ペラペラのジュンさんと、クセの強いインド人のおじさんと3人で車をシェアして、日帰りでとある城まで旅するくらいのいい友達になれたのだが、それはまた次回に。
そして、昨日、びっくりするような出会いがあった。
noteの縁ってすごいなとも思った。
ではまた。