まるで逆、日本とイスラエル<国の子育て支援>
旦那と出会うまで、イスラエルという国とはあまり縁がなかった。結婚して、子育てをする中で日本とのギャップに色々驚くのである。
イスラエルという国
ものすごく簡略化すると、近代イスラエルは1948年に建国された。それまでは古代からユダヤ人(イスラエル人)には「故郷」と呼べる国がなかった。西はヨーロッパ、東はイラクやイランなどで「国無き民」として散らばって生活をしていた。
特筆すべきもう1点は、彼らが散らばった中で経験した歴史的悲劇のホロコースト。1939年に世界中に1600万人いたとされるユダヤ人の人口は、ホロコーストと戦争によって3分の1ほど減った。ホロコーストだけで600万人の命が奪われた。
そんな時代背景の中に建国したイスラエルは、彼らにとってやっと安心して生活できる国となった。
八方塞がり
ご存知の方も多いとお思うが、イスラエルは地政学上「敵」に囲まれている。現在、紛争地域となっているパレスチナ自治区とも隣り合わせだし、休戦状態のレバノンとも国境を有している。
イラン、イラク、シリアなどともかなり近い。
これではせっかく手に入れた安堵の地からいつ追い出されてもおかしくない、という緊迫感があるような印象だ。
国力=◯◯
何か一つの要素だけで国力は測れないと思うが、いくつかあるとすれば、イスラエルにとって「国力=人口の数」と言っても過言ではないと思う。印象深いのは、彼らは男子のみならず、女子も全員兵役の義務がある。
いざとなったら「全てのイスラエル人=兵隊」という状況だ。(一部除外・免除されている人はいるが)。
これだけ人口が国力を左右する国が他にあるだろうか。
彼らの子育て支援を見ると本気度合いが伝わってくる。
イスラエル、本気の子育て支援
ところでイスラエルの合計特殊出生率は2.9である。さらに驚くのは、1990年代以降、2.9から3.0を推移し続けている。
さて、頭に入れておきたいのは、日本とイスラエルは一人当たりのGDPとCost of Living (生活費)がほぼ同水準ということだ。
イスラエルでは:
妊娠の支援:女性が45歳になるまで、且つ2人の子供が生まれるまでは体外受精を含む不妊治療が無料
妊婦の支援:遺伝子などを細かく調べる出生前検診を含む妊婦健診がほぼ無料(または保険や国の助成が適用)
一方日本は、10万円のクーポンをぶら下げて、より多くの出産を促そうとしているそうだが、はて恥ずかしい。本気なのか疑ってしまう。
制度以外の「支援」
日本で2回妊婦を経験し、子育てをしている身から言うと、日本は:
電車で席を譲ってくれる人が少ない
ベビーカーは邪険に扱われる
公共の場で子供が泣いたり授乳することも怪訝そうな目で見られる
ことが多いように感じる。
一方のイスラエル。現地に住む子育て中の日本人の知人から聞いた話や、私が経験したこと:
レストランで子供が騒いでご飯をこぼしたら、隣のテーブルの知らない人が「子供は仕方ないわよねー笑」とご飯の片付けを助けてくれた。
暑いので、と上裸でベビーカーに子供を乗せていたら「お腹が冷えるからやめなさい!」と知らない人に注意された。その場で服を着せなかったら追いかけられて念を押された。
などなど、子供が社会の宝物であることが伝わってくる。