瀬戸内の島から東京の裏山へ遊びに行ったら
8月末、東京出張の翌日。夕方の飛行機まで時間があったので、かねてより気になっていた秋川渓谷に、気になっていたジンケンさんに会いに、行ってきました。
四谷の宿から武蔵五日市駅まで。数回の乗り換えで1時間ちょっと。
懐かしい中央線沿いの駅名を聞きながら(15年前!くらいに住んでいた)ウトウトしていると、気づけばこんな景色に。
寝過ごしたらどうしようと思っていましたが、目的地が終点でした。
駅舎でトイレに行こうと思ったら、待てども待てども途切れない列。しかも若い人たち。とにかく大学生くらいの若い人がいっぱい降りてきた(その謎は後ほど解けました)。
ジンケンさんがご夫婦で営む「東京裏山ベース」は、駅前の大通りを渡ったすぐのところにありました。秋川渓谷の入り口、清流の体験拠点として活動されています。
東京からこんな近くに、こんな気軽に、こんな自然の中に飛び込めるところがあるなんて。
これがまずの感想です。
でもそれを可能にしているのは、地域に飛び込み、環境に飛び込み、見つめて、発見して、コンテンツ化したジンケンさんがあってこそだということもよくわかりました。
都心から手ぶらで来れる気軽さ
今回の私は、スニーカーこそ履いてきたものの、あとは普段着。アウトドア舐めてんのか?!と怒られそうですが、細やかな配慮がされたレンタルグッズがあったり、シャワーもあって、帰りの公共交通機関も周りにご迷惑をかけずに安心でした。
私がお借りしたのは、電動アシスト自転車(楽~!)、ヘルメット、小さな折り畳み椅子、川に入っても大丈夫な靴、そしてご用意いただいたランチボックスに、水筒に入ったアイスコーヒー!!
ほんと初心者が出来心でやってきても、「もう二度とアウトドアなんてヤダ!」と思わずに、気持ちよく過ごせるグッズに取り囲まれました。
滞在時間に合わせたプログラム提案はガイドさんあってこそ
今回私は10時に到着して、13時半に帰りの電車に乗るという、3時間半ほどの滞在時間でした。
ガイドさん(ジンケンさん)同行のおかげで、時間を気にすることなく、スマホは写真を撮るためだけに確認すればいいという安心感。五感で感じることに集中できました。
興味に合わせたルート提案もガイドさんあってこそ
ジンケンさんと私の出会いは、木下斉さんが所長を務める、地域を本気で変える人たちが集まる研究所「Locally Driven Labs(以下、LDL)」。オンラインでお話をしたことがきっかけです。
私の住む瀬戸内海の周防大島は、海あり山あり畑あり、環境素材はいっぱいあります。マリンアクティビティや、サイクリング、軽登山など、体験コンテンツもいろいろ。でも、瀬戸内の中でここじゃなきゃ!というところを打ち出せているかな?そんな課題を持っていることも事前にジンケンさんにお伝えしていたので、おそらくそれも踏まえてルートを構成してくださったと思います。
都心から手ぶらで行ける河川敷のBBQサイト
ぞろぞろと電車から降りてきた若者たちが向かっていたのは、どうやらここ。
観光協会さんが運営している河川敷のBBQサイト。駅からここに来るまでの間の商店で、食材や飲み物の調達も可能で、デリバリーもお願いできるそうです。
専用サイトがあると、あちこちで勝手にされるより、環境保全ができてポイ捨てなどもなくて安心ですね、とのんきなことを言っていると、河川敷の他の場所でもBBQはできるので、ポイ捨てもあるとのこと。
周防大島の砂浜は、最近BBQのゴミがひどい。中にはコンロやトングまで放置されていることも。安い道具が普及して、使い捨てされているようです。
単純ではないですが、専用サイトがあると他を禁止にする理由にもなるし、結果やる人も快適に楽しめるのではと思います。
炭などの販売や道具、テントやコンロのレンタル、駐車場での収益もあるので、収益を活かした事業展開もできそうですね。
のんびりリバーサイド
打って変わって、静かな川沿いの道から覗いたこの水の美しさよ!!
ここから上流にはダムもないとのことで、私が広島でみてきた川と比べても、すごく水が澄んでいます。
街の中には作り酒屋もあって、水が良いということがうかがえます。
散策しながら歴史を感じる
門が素敵で門の写真ばかり取ってしまいました。大きな銀杏の木があって、秋はさぞかし美しかろうと。
「葉書、の由来を知ってますか?」と突然の質問。?
このタラヨウという木の葉っぱ、傷をつけると筆跡が浮き上がってくるということで、戦国時代に使われたとか、ハガキの語源となったとか。
戦国のころにできたお寺に、その頃武士たちがメッセージを記していたというタラヨウの木。その頃から生きていたであろう銀杏。
この川は当時からこんな景色だったんだろうなとか。甲斐の国との境に近い秋川の当時の様子を想像したり。
「五日市」の名のとおり、周辺の山の中の集落から、炭などを売りに集まる市があったとか。江戸の台所を支える木炭の供給地だったとか。
「かまど炭次郎の故郷かも」という妄想でも盛り上がりました。
これが噂の渓谷チェアリング
人里から少し離れた山道から、斜面を降りると気持ちの良い木陰の河川敷。ここでお昼休憩となりました。
作っていただいたキューバサンドと冷え冷えのアイスコーヒー。
水遊びといえば海しかほぼ経験したことがない私ですが、川辺とは、木陰がある。日焼けしない水遊び。川の流れを聞きながら会話する心地よさ。きっと短い時間だったはずなのに、身も心もフル充電することができました。
こんなに気軽に秘境空間
極めつけは、リバートレッキング。こちらも、自転車を降りてしばらく川の中を歩いていくと・・・
外から目線で気づくこと、住民になって動けること
ジンケンさんは、東京都心で暮らしながら、秋川に通い、ご家族で移住・起業をされたそうです。
外から魅せられて移住されて、地域のポテンシャルや魅力を明快なコンセプトに落とし込んで、実際にコンテンツとして事業にされていることがすごい。それは、外から俯瞰した視野と、実際に地域の中に暮らす中からの視点とを併せ持つジンケンさんならではのものだと感じました。
暮らしていると当たり前の空間や景色、一歩踏み入れるとある自然もわざわざ入らなくなったりする(物理的に入れなくなったりもしている)。
使うことで守られる環境というのもある、ということも強く感じました。
いつまでも原石に甘んじていいのか?
小さい頃から、私は地元の周防大島はいいところだと思っている。大好き。
島を出てからの大学時代、社会人時代、常に友人を連れて島に帰り、海で遊び、山に登り、魚を釣っていました。
特にコロナ禍には、“疎“を求めてアウトドア入門者の来島も増えたと感じます。
ただ、充分に楽しんでもらえてるかな?別の見方をすると、人が来ることで島の収入を増やすことができているかしら…?環境保全につながっているかしら…?
マリンアクティビティのお店や、飲食店、宿泊施設など。私がUターンしてから9年の間を数えても、地元の方やIターンの方々により、たくさんのコンテンツが生まれています。
来る人たちがどんな風に島を巡っているのか、詳しく知りたいと思います。
ちょうど町が今年度、観光客への調査を実施しているので、その結果が活かされるよう、注視していこうと思います。