施設ではなく行政“サービス“を守る
浦々に集落が点在し、過疎化が著しい周防大島町には、役場の総合支所が4地区に、さらにそこの傘下に出張所が8ヶ所あります(ちなみに4町合併以来20年間分庁舎方式を取っており、本庁的なところは、7箇所に分かれています…)。
何年も前から出張所の在り方が検討され始めて、まずは利用実績が最も少なかった久賀総合支所椋野出張所について、令和2年度に将来的な廃止を視野に入れた地元説明会が実施されました。
住民の意向などもあり、椋野出張所は令和3年度から、週1回水曜日の開所となっています。
そして今、東和総合支所管内の和田出張所について、包括連携協定による郵便局への窓口業務委託が始まろうとしています。
〇郵便局に行政窓口業務をお願いすることになった経緯
行政病院事業改革特別委員会でも、少なくとも4年は協議されてきた案件です。
特別委員会と執行部の協議、執行部と郵便局との協議や細やかな調整を経て、この10月から支所と並行して郵便局でも窓口業務の取り扱いが始まります。
そして4月以降は、和田出張所は閉鎖して和田郵便局が窓口業務を行ってくださる方向で進んでいます。
出張所は会計年度任用職員(役場の非正規職員)さんが勤めてくださっており、基本的に一人で運営しています。そんなに忙しくないといっても、休憩は?トイレは?と気になります。また、税金の収受など現金も扱うので神経を使います。
かつての周防大島には、地方銀行の支店も多く、農協・漁協の店舗もたくさん、金融窓口もありました。
今ではどんどん統廃合が進められて、頼みの綱は郵便局、という集落も少なくありません(JAさんは、移動金融店舗車を走らせています)。
郵便局の撤退を防ぎたいし、地域の行政サービスも守りたい。そこでタッグを組んで郵便局で窓口行政サービスの一部を行ってもらおう、ということになったのです。
役場から郵便局にネットワークを繋ぐ
昔と違って様々な手続きがオンライン上で行われている行政手続き。具体的に郵便局で事務を行ってもらうには、ネットワークの整備から行う必要があります。
東和総合支所と管内出張所はネットワークがつながっています。そこに郵便局もつなげるということになるのですが、ネットワークスイッチが必要…。
不幸中(?)の幸いで、最近廃止された公共施設がいくつか。廃校があります。そこで使われていた比較的新しい機材をリユースすることが出来るそうで、初期投資が抑えられそうです。
ケーブル自体は、出張所と郵便局の距離がとっても近いので、そんなにかかならいようです。
”キオスク端末”も設置するというけどほんとに必要?
窓口業務を行う郵便局には、コンビニのマルチコピー機(キオスク端末)と同じように、マイナンバーカードがあれば自分で操作して各種証明書が発行できる、キオスク端末も設置されます。
これが一台、400万円。
令和5年度から大島総合支所に一台導入されていて、当時設置時の理由の一つが「年度末年度初めのように込み合うときに、利用をしてもらい混雑を緩和する」というものでした。
利用実績をみると、令和5年度は150件。同じ施設の有人窓口が4300件。まだあまり普及していないとみるか、あまり活用されないとみるか…。
和田郵便局での利用実態をよく調査して、今後の展開時には必要性を再検討すべきかと思います。
”小さな拠点”的まちづくりのプランがあってよくない?
郵便局の職員さんにとっては、新たな業務が増えて大変な面もあると思います。周防大島町の郵便局へは、既にマイナンバーカードの交付申請の申込業務を委託していたり、これまでも行政に協力をいただいています。
住民にとっては、すでに身近な郵便局。これまでも、役場の出張所に行くより、郵便局に行く回数のほうが確実に多かったと思います。
役場の出張所がなくなっても、オンラインでできる手続きも増えているし、郵便局という身近なところでサービスが承継・維持されることで、その周辺が”小さな拠点”的役割を担えるエリアになるといいなと思います。
というか、そういう構想を町は地域と一緒に作ったほうがいいのではと思います。