周防大島らしい脱炭素の取り組みを!(2023.9一般質問)
9月定例会の、私が行った一般質問です。
いつか訊きたいと思っていたネタ。
私なりに情報を集め、もう少し考えて、本町での実施が具体的に考えられるようになったら、そのうち…と。
そんな中、上関の中間貯蔵施設の案件が湧いてきました。
思いを巡らせると、日々、国や大企業の動きと自分自身の暮らしを繋げて考えていないから、こんなことに突然直面してしまうのではないか、そう思い至りました。
私たちの暮らしと世界が繋がっているということを意識しながら、流れに追随するだけではなく、町の現状をもとに、主体的に、将来を見据えたまちづくりを、町執行部の方々や町民の方々と私ども議員も取り組んでいけたらと思います。それを牽引する役割を、ぜひ町には、どうか担っていただけたらと期待して、今回、質問させていただくことにいたしました。
〇周防大島町が脱炭素に取り組むべき理由
数年前まで、「ゼロカーボン」、「脱炭素」という言葉が、こんなに世の中に広まるとは正直私は思っていませんでした。
個人的には、東日本大震災の福島原発事故の後、「何かあったら取り返しがつかない原子力発電所に頼るくらいなら、二酸化炭素を大量に出すから良くない、と言われても、火力発電所に頼るほうがよっぽどいい」と思っていました。
しかし世界の動きはそれを許してくれません。二酸化炭素をたくさん排出する石炭火力発電所は、世界的になくす方向になっています。
ロシア・ウクライナ戦争の影響もあり、天然ガスによる火力発電も、厳しい状況になっています。
そんな中、国は、とうとう原子力発電の活用、推進について、舵を切り始めています。
〇地球温暖化の影響はもう出ている
なぜ脱炭素がここまで声高に言われるようになったのか。言うまでもないですが、実害が出ている地球温暖化を食い止めるためです。
今年の7月、世界の平均気温は、記録のある中(1880年以降)で一番高くなった、という報道もありました。
人々の中には、長い目で見たらこれは自然の温度変動の想定内、人間のせいではないという見方をされる方もいますが、最新の研究によると、私たち人間の活動が地球温暖化に影響していることは疑いようがない、ということが示されています。
世界各地で大規模な山火事、洪水、台風被害などが起きており、地球温暖化の影響が否定できません。
一部の人間では解決ができない、全人類に関わる課題であると認識せざるを得ません。
〇脱炭素は地球環境のため&地域経済のため
…とはいうものの、
周防大島町みたいに、自家用車での移動が当たり前の中で、何ができるの?
大きな工場もなく小さい町で何かやったところで、効果あるの?
と考えると、「脱炭素社会」といわれても、自分事にとして捉えることができないようにも感じます。
しかし具体的に落とし込んでいくと、「取り組むことで変わるこの島の暮らし」も手触り感のあるレベルで想像ができるんじゃないかと思います。
これからの二酸化炭素削減は、
省エネ
化石燃料を大幅に減らす
再生可能エネルギーを大幅に導入する
この3つが基本になると言われています。
省エネについて考えると、蛍光灯をLEDに変えるということのほか、建物の断熱性能を上げて、少ないエネルギーで空調を効かせるという対策が有効です。省エネにより、光熱費の出費が減らせるのも助かります。
また、冬の入浴時のヒートショックで命を落とすというの危険度を下げることにもなり、健康で快適な暮らしにもつながります。
化石燃料の削減と再生可能エネルギーの導入について考えると、地域から外に出ていくお金の流れを変えるという効果も期待できます。
周防大島町から、ガソリン代や電気代という形で町外に流出する金額は、年間28億円(2019)にのぼるという調査結果があります。
2018年の一次産業の生産額が32億円という数字と比べても、相当の金額と考えられます。
燃油価格が世界的に高騰し、さらに円安の状況下では、ますます出ていくお金が増えると懸念されます。
もし、そのエネルギー代の一部が町内の事業者が運営する再生可能エネルギーに振り分けられたり、自宅のソーラー発電で賄うことができれば、流出していたお金が地域の中で回ります。
また、地域内に発電や発熱の機能があったら、災害時など、集落が孤立したり、本土からのエネルギー供給が一時途絶えても、地域内である程度のエネルギーを得ることができ、地域の災害対応力が高まります。
世界の動き、国の動き、先進地域の動きを見ていると、本町も本町らしい視点で脱炭素に取り組むことができたら、地球温暖化防止だけではなく、地域課題の解決、暮らしそのものの価値向上につながるのではないかと思えてきます。
Q:地球温暖化というけれども、本町への影響は、具体的にどんなことがある?
A:自然災害による生活や産業への被害や海水温上昇による生態系の変化
町長:深刻な問題となっている地球温暖化は、台風の大型化、豪雨の頻発化等、国内外各地で様々な気象変動を引き起こしています。本町においても、甚大な彼害をもたらした令和2年7月豪雨や平成30年7月豪雨等により、町民の生活、町内の農業や漁業はもとより各産業が多大な被害を受けました。
また、地球温暖化は海水温上昇をもたらし、魚種の生息域の変化など海域の生態系、生物多様性への影響を引き起こしています。
Q:今まで周防大島町がやってきた事業の内容、実績、評価を問う
温室効果ガスの排出を減らそうという世界的な取り組みは、30年以上前から続いています。
日本では、
1990年に地球温暖化防止計画
1993年に環境基本法
1998年に地球温暖化対策推進法
が制定されて、それぞれこれまでに何度も改正が重ねられています。
2016年には、地球温暖化対策計画が策定されました。
こういった国の動きの中で、本町がこれまで行ってきた脱炭素、地球温暖化防止に向けた、事業の内容、実績、評価についてお答えください。
A:3R、カーボンニュートラルガス導入、クールチョイス…
(町長)
3R(reduce,reuse,recycle)の推進
公共施設へのカーボンニュートラルガスの導入
周防大島町地球温暖化対策実行計画の実行(公用車更新時に電気自動車やハイブリッドカーの導入、エコドライブ運転の実施、庁舎の照明等の節電、クールビズ・ウォームビズの実施等)
地球温暖化防止活動推進員(町長委嘱)による啓発活動
周防大島町と環境省で整備を進めている地家室園地拠点施設での取り組み:CLT工法の採用(コンクリートや鋼鉄の建築物より C02 の総排出量を抑えることができ、断熱・耐熱・防火に優れている)、太陽光発電を利用した施設管理、カーボンニュートラルガスの採用
今後はさらに脱炭素への取組強化を加速していく必要があると考えます。
Q:役場だけの取り組み計画ではなく地域全体の計画が必要では?
これまで取り組んできた施策の実績や評価をお答えいただいたが、地方公共団体実行計画(事務事業編)に沿ったもので、具体策は役場内の省エネが主となっています。
これからは、地域全体で出すCO2をどのように削減していくかということが必要だと思うが、法令では”努力義務”となっている地方公共団体実行計画(区域施策編)の策定と具体的取り組みが必要と思うが、現時点でお考えは?
A:必要なので前向きに検討して設定していかないといけない
(産業建設部長)計画の区域施策編は、町としても必要と認識している。
また、エネルギーの地産地消というものが、これから必要になってくると思う。環境問題についてはもうまったなしという思いは持っており、具体的に施策として進めていかなければならないので前向きに検討し設定していかないといけないと考えています。
Q:ゼロカーボンシティ宣言はしないの?
2020年、当時の菅総理は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする!と所信表明されました。その後、国の各省庁は脱炭素のための様々な対策や施策を打ち出しています。
その中の一つとして、環境省は、2050年に地域からの二酸化炭素の実質排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ宣言」を全国の自治体に呼び掛けています(2020~)。今年の6月末現在、全国1718市区町村のうち、927の自治体が宣言をしています。
全国の自治体の半分以上が「ゼロカーボンシティ宣言」をしていますが、本町は今後宣言の予定、お考えはありますか?
A:近い将来、具体施策とセットで宣言したい
町長:山口県内では、山口県、下関市、山口市、柳井市、防府市の5自治体が宣言をしています。本町も、近い将来ゼロカーボンシティ宣言を行うことを目標に、現在、宣言に向けたゼロカーボンの具体的施策の検討を進めています。
Q:脱炭素に主体的に取り組むために先行地域を目指しては?
現在私たち町民が、どんなときに脱炭素への動きを感じるかというと、
・電気自動車を見かけるようになったり、
・空き地に設置される太陽光パネルが増えたり、
・メガソーラーの問題点、例えば外国資本による設置や土砂災害時の流失などについて、ニュースでみることが増えたり
・原子力発電所の再稼働や推進に伴う上関町の動きに心を揺さぶられたり
など、どちらかというと受け身で感じることが多いのではないでしょうか。
ゼロカーボンシティ宣言をするということになれば、住民や企業と問題意識をいかに共有して、実現のためにどんなことをするのか、具体的な施策を考え実行していく必要があります。
脱炭素の取り組みにより社会経済活動が落ち込むような状況ではなく、逆に地域が元気になるような脱炭素の取り組みが進めていけるのではないかと期待します。
例えば環境省では、2022年から、脱炭素先行地域の登録制度が始まっています。2050年を待つことなく2030年度までに、カーボンニュートラルの実現を目指す、同時に地域の魅力と暮らしの質を向上させる、そういった脱炭素先行地域には、集中的に支援し、成果を全国に広げようとされています。
これまでに62地域が採択されて取り組み始めており、この8月には4回目の募集が行われており、次回は令和6年2月が予定されています。
特に、2023年8月の第4回募集からは、「生物多様性の保全、資源循環との統合的な取組」という枠組みが、重点選定モデルに追加されました。
本町が進めようとしている、地家室園地を拠点とした瀬戸内海の魅力の発信という目的とも合致します。本町が、瀬戸内海地域の脱炭素社会のモデルとなることで、周辺エリアへの波及も期待できます。
地域課題の解決、自然環境との調和を目指し、地域の実情を踏まえた脱炭素先行地域として、今後手を挙げることを提案したいと考えます。
A:まずは着手できそうな事業を考えて、先行地域への応募も検討
自然環境を財産とする本町において、ぜひとも取組んでいきたい内容ですが、まずはゼロカーポンシティ宣言に繋がる施策の具現化を全庁的に検討していき、並行して、脱炭素先行地域の計画提案についても、地家室園地拠点施設を重点選定モデルの選択肢としつつ、町のあらゆる部署で様々な方策を提案し、計画策定に繋げていきたい。
要望:部署を横断して全庁でとりくむことがポイント
福祉、教育、産業、防災など、行政の中、さらには町民の暮らしの多岐に渡る取り組みが必要で、効果もそれぞれ多岐に渡ります。
環境部局だけで考えるのではなく、全庁的にどういった取り組みをしていくか考えるために、横断的に検討して事業を考えていける体制づくりについても検討してほしい。
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