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日本酒が分からなすぎた私の酒ディプロマ合格体験記②

二次試験のテイスティングどうしよう

実は冷酒、ほとんど飲んだことがなかった。だから、テイスティンググラスで冷酒を味わうテイスティングの試験におびえまくってた。

田崎真也会長の本も買った。



美しい言葉が並ぶが、何が何やらさっぱりわからん、、、、やばい、テイスティングはがっつりスクールに通学して学ぼう。

8月2日の一次試験合格の翌日から並里先生のテイスティング講座に。

並里先生は超絶イケメン。動画でしか見たことない先生が目の前で講義してくれて眼福すぎた。そして超〜アカデミックで熱心な講義なのですぐに眼福モードは消え去り、勉強楽しい!先生に質問しよう!モードに変わる。

そうこうしてるうちに、あっという間に9月半ば、試験まで半月ちょっと。私が取っていた並里先生の講義が全て終わる頃、今の私が合格するには何が足りないんだろうと考えた。

基礎だ、基礎がないのだ。
ワインエキスパートやソムリエの資格持ってないし(まわりの人は資格持ってる人多かった)、講義形式のオンライン講座しか受けてないので、テイスティングの基礎がまったくわからないまま今に至ってる。


やっと気づいて、残りの日々は基礎を固めようと考えた。

同じスクール内の基礎を教えるのが得意なおおくぼ先生の講義や模試を中心に受けた。

新緑の香りを日本酒から嗅ぎ取るってどういうこと?とマジで思ってるレベルだったのです、実は。基礎クラスに行ったら、アルコール添加のスッキリ感を新緑や青竹と表すと知り、そういうことか!とハッとした。このあたりからどんどん理解が深まった。

二次試験の直前、最後の模試はレコール・デュ・ヴァン という別のスクールで、田邊先生から受けた。一度講義を受けてみたかったのだ。スクール選びのときに、並里先生か田邊先生で迷ってたので、悔いは残したくなかった。そして受けてみてよかった。今までの二人の先生たちと同じ教えだったのだ。

日本酒テイスティングはロジカルだ。切り口は違っても、先生たちはみんな同じこと教えてるんだな、と理解できた。

そうそう、味覚という主観の世界をロジカルにポジティブかつエレガントに表現するのが酒ディプロマの世界なのだ。

たとえば、、、
アルコール添加の酒は安酒だ、身体に悪いと自分の中の勝手なジャッジでほとんど飲んだことなかったが、先生たちが客観的に味をとらえ、美しい言葉で表現し、特定名称酒や米の種類確定なども論理的な裏打ちがある。私の勝手な思い込みで悪者みたいだった酒が、本来の姿で現れる。

酒に貴賎なし!と憧れた〜。生き方にもかかわる根幹の学び。しびれた。



家でのテイスティング練習

授業で理解したことが抜けていかないように、家での練習が欠かせない。テイスティングは筋トレと似てる。練習しないとどんどんスキルが下がっていく。

夏にテイスティンググラスを12脚買い、日本酒は8月末にアカデミー・デュ・ヴァンの澤乃井セットを買った。  


お酒がなくなってきた頃に、かがた屋さんの8本セットを購入。


授業でつまずいた酒も買い求め、10杯ほど毎晩テイスティング。

これは初期の5杯だが、最終はグラスがずらりと並んだ訳で、テイスティングして二次試験用テイスティングシートを埋めると1時間かかった。

もはや、自分に狂気を感じた。やりたいことにはまっしぐら。

あ、酒は飲み込まずに出すのです。飲むと美味しく感じちゃうらしいし、何より酔っちゃうからね。


焼酎は並里先生の焼酎セットと、焼酎講座から1本の21本、毎晩香り取り。

苦手なのは瓶で買ってテイスティングしたり、晩酌したり。

焼酎のセットには本当に助けられた。早い段階で香りだけで芋とか米とか黒糖とかはっきり分かるようになった。

漫然と香りを取るのではなく、一覧表を作って、どのポイントで間違えたかを毎晩記録したのがよかったのだと思う。得点源にできる手ごたえを感じた。

テイスティングに関しては頑張りつくし、これ以上できないと思うほど取り組んだ。


ほとんど書かずに論述対策

実は仕事で書きまくって右手を酷使してるので、できるだけ右手を使いたくない。本番前々日に2回は書いたけど、それだけだ。

対策は、並里先生の論述講座の解答を自分でまとめた。また、ネットに自分で作った問題と答えを上げてくれている人が複数いるので、そちらも必要な箇所は自分の言葉でまとめなおした。そして切り貼りし、薄く軽くノート化し、通勤時に見るようにした。

200字ってあまり長くないので、原稿用紙の中に知識をみっちり羅列できればいけると信じた。文章を書くのは仕事柄慣れてるので、覚えることを最優先した。 



圧巻の二次試験

今年から会場が変わった。
グランドプリンスホテル新高輪の、芸能人が結婚式するような天井の高いめっちゃ広い宴会場。テイスティング練習のおかげでメンタル安定してて本当によかった!あっという間に場に飲まれそうな圧巻の雰囲気だった。


マークミスに気をつけながら日本酒4グラス、焼酎2グラスを淡々とテイスティングし、論述は3問中なんと並里先生の対策と同じ問題が2問。

やり切った感でいっぱいで会場を出たら、緊張してることに気づいた。

よくやったよ、私。

夕方になるとソムリエ協会から速報が出て、解答の一部がわかる。酒の勉強を一緒にした友達とも話をして、正解不正解が見えてきた。

特定名称酒は特別本醸造を吟醸酒にしてしまったけど、懸念してたアル添はパスできたからOKとしよう。

米の種類当てと焼酎の度数当て、セルレニン耐性は落としたが、すべて苦手だったから仕方ない。

お、その程度で済んでるじゃん!

テイスティングシート埋めは全力を尽くした。特定名称酒はほぼ全問正解なので、そこから考えると、大ズレはしてないだろう。

けっこういけたかもしれないぞ。

2週間ほど待って、合格がわかった。
そわそわするに違いなくて、もし落ちてたらめっちゃショックに違いなくて、二次試験の翌日からビール検定の勉強を始めた。へろんへろんの中、10月末に3級合格した(笑)




酒ディプロマの勉強をしてよかったこと


いちばんは、前にも書いたことだけど、酒に対してジャッジが無くなったことだと思う。スクールで毎回8種類くらいのお酒のテイスティングをする。自分なら絶対選ばないお酒も先生たちからの講義を聞くと、納得して飲めるようになる。

つまり、美味しい不味いではなく、酒それぞれの個性としてとらえることができるようになった。いかにポジティブなことばで伝えるか、にシフトすることができた。私にとっては、酒というよりも人生の学びの時間だった。

ほとんど飲んだことのない大吟醸クラスや、本醸造などアル添酒に、生酛に山廃。練習で飲むうちに舌が慣れて個性をとらえて日常でも楽しめるようになった。

そして燗の中では生酛造りの燗が好きと分かったのも大収穫。燗は試験には出ないのだが、テイスティング練習の合間にちゃっかり燗つけてた。おかげで、速醸造りでも燗にしたときにふくらみそうな酒がわかってきた。


弟の死から始まった酒の勉強。
1年前は勝沼でワインを飲みまくって弟を想ってた。

今は日本酒の知識がついて、酒屋さんや蔵元さんと話すのが何より楽しい。
去年は居酒屋にどっかり座り込んでオススメの酒をあおるしかなかったのに、フットワーク軽く角打ちで酒トレしたり立ち飲みしたりの、私らしいソロ酒活の日々が戻ってきた。

気がつけばとっても元気になっていたのだ。
お酒から、たくさんのエネルギーをもらったのだな。

酒ディプロマとして、的確でエレガントでポジティブなテイスティングコメントが出せるよう、これからも勉強を重ねながら、人生に寄り添える心があったかくなるお酒を紹介したい。

それが私が今望む、酒ディプロマとしての歩みだ。


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