日本人移住地レジストロ・百年を超える民家を訪ねて -サンパウロ便り
[レジストロ伝統のイグサ産業から続きです]
レジストロの町で日伯友好の歴史を築き
郷土史研究家でもある福澤一興さんは、私たちを
レジストロの奥地へも案内してくださいました。
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豊かな自然。
潤いのある土地の圧倒的な原生林を進みます。
奥地へ進むほどに
初期の日本人移住者による建築が多く見られ
このような家屋は、文化遺産となっています。
100年を超える建築。
こうした資産について、すでに私は数年前に
ブラジルの友人建築家の論文からも知識を得て
いつか訪ねたいと願ってきました。
移住地の家屋は
日本から来た大工さんたちと
先住民(インディオ)の建築を織り交ぜて建てられたもので
史跡登録がなされ、保存されています。
所有者には保存維持の義務があり、
老朽化とともに経済的な負担が大きくのしかかっています。
100年を超える建物の壁は崩れ、
多くの家は傾いていました。
公的な補助がないかぎり
この先、維持し続けるのは難しいように見えました。
レジストロは川の流れる土地。
湿度は高く
原生林も果てしなく続きます。
多種類の竹が群生し、
資源活用が何かできないものかと想いを巡らせました。
牧畜では、水牛の乳製品もこの地の産業のひとつです。
ブラジルで、私はまだ
こうした水牛の光景には出会ったことがありませんでした。
*
サンパウロからは200キロしか離れていないけれど
険しい山に隔てられ
これまで行ったことのない土地でした。
そこには、摩天楼のサンパウロとはまったく異なる
優しい世界が広がっていました。
いくつかの産業と歴史的資産資、
そして、大自然。
・・それだけではありません。
この町では、
ターミナルに着いた瞬間から
たくさんの方に親切にしていただきました。
旅を終えてなお、町で声をかけてくださった方々と
連絡を取り合っています。
ここで出会った優しい皆さんと
これからも交流を続けていくのが楽しみです。
シリーズでお伝えしてきた
日本人最古の移住地レジストロの紹介はこれで終わります。
読んでいただきありがとうございました。