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~第1回 共同親権制度導入に対する葛藤 それでも共同親権制度に賛成する理由~
神奈川県横浜市戸塚区の女性ライダー弁護士西村紀子です。
一人の弁護士として、一人のライダーとして、そして、一人の人間として、日々感じたり観察したりしたことで、皆様のお役に立つと思えることを、つぶやき発信していきます。
本日は、一人の弁護士として、
"共同親権制度導入に対する葛藤 それでも共同親権に賛成する理由(1)"
です。
現在、共同親権制度導入の是非が、政治レベルでも民間レベルでも、大きく議論されています。
2月18日午前0時まで、共同親権導入に関する法制度案である「家族法制の見直しに関する中間試案」に対するパブリックコメントの募集がなされていました。
この問題は、弁護士でも、賛成派と反対派の対立とが特に激しく、双方とも譲る気配が全くありません。
それもやむを得ないことと考えています。
というのは、それぞれの立場に立つ弁護士達は、それぞれの立場とならざるを得ないような離婚等の事件を経験し、その中で、弁護士自身が様々な葛藤を乗り越えて、現在があるからです。
私も、まさに、自分で経験した事件があるからこそ、賛成の立場に立っています。
子どもを連れ去られて、どこに住んでいるかもわからないことで、心底苦しんでいる依頼者の姿、
その依頼者に対して、効果的な方法がなく、せいぜい月1回の面会を求めることしか提案できない無力な「弁護士」の自分、
"こんなにお子さんを愛しているお父さんから子どもを取り上げて居場所もわからないのは残酷だ"と裁判所で訴えても全く届かない、、、。
正直なところ、
こんな状況で、"男女平等"ってひどいのでは?
と自分が女性ながら思いましたし、正直、
ひとたび離婚となるとこんな状況になるのなら、子どもを愛していないお父さんのほうが幸せかもなあ、
外に女性作って妻子を捨てて出て行くことができるお父さんのほうが、子どもを愛して育児もやるお父さんよりも幸せかもなあ
(本当の意味で人間として幸せなのは、もちろん、子どもを愛しているお父さんなのですが)
などと考えたものでした。
世の中にたくさんある、大小様々な"人権問題"のなかでも、人権侵害の度合いが尋常でないほど大きいと思われる大変な苦しみなのに、まるで、そんな苦しみが存在しないかのように、或いは、耐えることが当然であるかのように扱われる現実。
子どもに会えず苦しみお父さんである依頼者に対して、私は、当時の司法の理不尽を語ることしかできなかったのです。
もちろん、できることは、精一杯やりました。
子を連れ去って居場所も明かさない母親から出された裁判でのDVの主張は、客観証拠を徹底的に集めて虚偽であることを立証し、親権を失わないために離婚請求ごと排斥しました。
その判決で、DVの申し出を受け付けた警察等に苦情申し入れをしたりもしました。
でも、必死でそういう"できること"をやっても、子どもを愛するお父さんの心が納得できることはないのです。
子どもを愛するお父さんの望みは、ただ、お子さんの居場所がちゃんとわかって、普通に会うことができること。
それが全てなのですが、それが、現在の法制度ではできないのです。
制度が変わらないと・・・。
そう思うようになってから、10年以上経過しました。
そして、やっと、この問題を少しでも改善させるための議論が堂々とできるようになった。
日々、そう感じて、喜ばしく思いながら、最善の制度が導入されるように、と議論を見守っています。
ただ、他方で、葛藤が全くないか、というと、そういうわけではないのです。
(続く)
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