~第28回 誰が一番“悪”なのか?気をつけよう、不動産購入時のトラブル!!関係者も物件も“悪”ばかり!!!の体験 反省・教訓編(1)~
神奈川県横浜市戸塚区の女性ライダー弁護士西村紀子です。
一人の弁護士として、一人のライダーとして、そして、一人の人間として、日々感じたり観察したりしたことで、皆様のお役に立つと思えることを、つぶやき発信していきます。
本日のブログは、一人の弁護士として不動産トラブルの発信です。
不動産について全くの素人である私の大親友Kさんが、憧れのマンション購入を試みて、トラブルてんこ盛りの体験をしました。
憤懣やるかたない彼女の依頼を受け、ブログに掲載させていただくことになった、Kさんの体験のレポートです。
本日は、第28回目。
前回、Kさんは、反省と憤慨しきりだったことまで、お伝えしました。
前回はこちら
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実際のところ、不動産購入の勉強をしたり、悪徳業者には気を付けようと心がけたとしても、完全に被害を防ぐことができるのか、というと、そう簡単な話でもないとおもいます。
通常は、物件を内見してから契約までに時間がないことから、契約前に、物件を完全に調べてその問題点を事前に把握する、ということは、極めて困難なのが現状です。
惚れ込んでしまった物件を前にすると、なおさらです。
T物件に惚れ込んでいたKさんが、被害を回避できたのには、幸運もあったといえます。
ただ、今回のKさん経験でも、明らかに当初からおかしい点がありました。
また、被害の回避に役立ったポイントもありました。
それらの点を意識しておけば、同種の被害の回避に役立つだろうとおもいます。
いくつか書いていきます。
①"フラット35利用可"としながら、"フラット35は本審査の回答が出るまで信用できない"と売主が言っているというケース。
惚れ込んだ物件を前にしてこのように売主から言われると、
自分の属性(収入や勤務歴、借入の有無等)に問題があるのか、
と、自分に原因を求めて、落ち込んでしまいがちです。そして、手が届かないかもしれない惚れ込んだ物件がますます欲しくなる。
ですが、こう言われたときは、一歩引くべきです。
問題があるのは、自分の属性ではなく、物件かもしれない。
物件に本当はフラット35が利用できない問題があるのかもしれない。
と、冷静に考えられることが必要でしょう(Kさんは、できませんでしたが)。
ちなみに、フラット35は、フラット35の「適合証明書」が出されているからといって、フラット35が利用できるとは限りません。
「適合証明書」はあくまでも、省エネとか耐震性等の"物件性能"が「適合」しているときに出されるもの。その物件が、金融機関の抵当権まで確実に設定できるような、土地の権利関係まで問題がないことまでは、「適合」性において審査はされていません。
ですから、「適合証明書」が出されていることが、"フラット35が利用できる"ことまで証明されているものではないのです。
前記のように"フラット35利用可"としながら、"フラット35は本審査の回答が出るまで信用できない"と売主側が言っているケースは、実は、このあたりを誤魔化している可能性もあるのです。
Kさんのケースも、どう考えても金融機関の抵当権設定に問題が生ずるため、物件審査が厳しいフラット35が利用できる余地は、振り返ってみるとなかったのです。
(続く)