
61【日本2024 Day 16:11月27日(水)日下田藍染工房@益子町】
日下田藍染工房は、外観から
「間違いなく文化財指定されている」
別格の趣で、しっとりと雨に濡れた
選定された庭木の美しさも際立って
いました。






今回、栃木で茅葺きの家に寄らせて
もらったのは、何軒目だろうと
思いながら、両側の紅葉も美しい
飛び石を歩いて茅葺きの館に。
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「どうぞ。上がってください。」
と、自分の家のように松由拓大さんに
勧められるがままに右側の濡れ縁から
作品が部屋いっぱいに並べてある
木造平屋建て寄棟造り茅葺き曲屋
の座敷に上がらせてもらいました。












藍色のグラデーションだけではない
赤系や茶系に染め抜かれた透ける
大判のストールは、「草木染め」と
書いてあり、どれか一つを選ぶのは
難しいほど美しいものでした。
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しばらく作品・・商品を見せて
いただいたあと、靴を履き直して
藍染めの作業場にいざなわれた時は
セットではなく、現代にまだこの
ような形で藍の瓶土中に埋められて
いる場所が残っているのかとびっくり
しました。











その上、仙人のような松由さんの
大先輩も飄々と通るので、私は一人
「まんが日本昔ばなし」の中に
入ったような気がしてきていました。





江戸時代からの酒蔵で見たような
天然の曲がった木を使った梁の
竹を並べたられた天井も、藍で
燻されすっかり元の色からは変わって
いました。
そこここから静かに立ち上る煙は
藍の瓶が温められていることを
物語っていて、周りの見慣れぬお道具やら
とにかく目に映るものが全て初めてで
胸が高鳴っていました。

石を敷き詰めて作られた床が
長い時を経て磨耗して平らになったり
傾いたりしているのを一つ見ても
面白くワクワクが止まりませんでした。
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そこから、中庭を抜けて、奥の
2階建ての建物で日下田正さんが
出迎えてくださいました。










日下田さんは、江戸時代寛政元年
1789年)創業の紺屋の9代目。
8代目の父の日下田博さんは、
陶芸家の濱田庄司さんの提唱する
民藝運動に賛同し、民藝作品作りに
取り組まれた方。
正さんは、日本民芸館(東京・目黒)
の創立者の柳宗悦の元に修行し、
伝統的な草木染めや折りの技法を習得、
後に、父親の博さんから藍染めの技術を
学ばれました。
栃木県文化功労者に選ばれた
日下田正さんと親しいながら、工房の
弟子ではない松由さんは、尊敬する
大叔父さんと言った体で、日下田さんと
接しています。
寒くないかと自分からストーブを
付けてまわり、いろいろ気遣ってくださる
日下田さんは気難しい職人のようには見えず
穏やかになんでも話してくださいました。
日本での教育や海外での展示会のこと
海外からやってきたグループへの
ワークショップのことなど、様々な
ことを澱みなくお話しする日下田さんと
昨年亡くなった父とのあまりの違いに
驚くと同時に感動していました。
話には、やはり、民藝運動に関わられた
濱田庄司さんの名前も出ました。
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資料の写真を撮らせていただいていると
「それは、コピーを取ってきてあげましょう。」
とおっしゃるのを遠慮する私に
「大丈夫、大丈夫」
と何度か2階に上がっていくほど身軽な
身のこなしでした。
教育用に作った特別のファイルなどや
藍の16色のグラデーションのプレートも
出してきてくださって、
「一番薄い白に近いごく薄い藍色は、
「甕覗(かめのぞき)」と言う」
ことなど、いろんな解説もしてください
ました。
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テーブルの周りにいくつかあった
「綿繰り機」に目を留めた私に
「やってみなさい。」
と、綿の種と綿を分離するおもちゃの
ような手回しの機械を回させて
くださいました。



松由さんのお手本のあと、少量の綿を
自分でも手に取って機械に近づけて
ハンドルを回すと、綿だけが機械の向こうに
いき、手前に固い綿の種が残りました。
昔の人はこうして工夫を重ねて
生産性を上げていったのですね!
綿繰り機が発明されたのは江戸時代。
回させていただいたのは70年以上前のもの。
「日本の手仕事」が育ったのは太平の世と
なった江戸時代。やはり、平和であることが
その道のものをなんでも発展させていくのですね。
ただ、くるくる回すだけなのに、日下田さんは、
緊張気味の私を気遣ってか、
「うまい、うまい!初めてなのに上手だ!」
と褒めてくださり、私は子供のように
気恥ずかしさと嬉しさでいっぱいに
なりました。
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技術の点で言うと、精巧な型紙(伊勢型紙)と
使われる刃が200本と言う説明に驚きました。



ここ20年くらい、レーザーカッターの技術が
上がり、クラフトなどでもかなり良いものが
作れるようになっていますが、何百年も前から
続いている神技のような手仕事の技術には
舌を巻くばかりでした。










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私が訪日前にサンディエゴの民芸国際美術館
(Mingei International Museum)の
藍の特別展示展Blue Gold (カタログ)と
特別レクチャーで撮った写真を
松由さんに送ってあったのを、iPadで
興味深そうに日下田さんがご覧になるご様子に
松由さんが
「後でプリントして持ってきます。」
とお伝えすると、アメリカの美術館での
様子を知ることができるととても
日下田さんは嬉しそうなご様子でした。
「(時間的に)無理してでも
行っておいて良かった!」
とつくづく思った瞬間でした。








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私の名刺の「日本酒ナビゲーター」を
ご覧になると、日下田さんは
「甥が宇都宮で「四季桜」と言う酒蔵をやって
いるので、ぜひ訪ねてみてください。」
とご紹介いただきました!
こうしてご縁が繋がっていくのがありがたいです!
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ロータリークラブの方へお出かけになるまでの
時間、ゆっくりお話を伺った日下田藍染工房。
日下田さんがお出かけ先でお会いになるのは
どうやら私がホテルで話しかけたブラジル人
家族のよう。すごい偶然です!
(ブラジルから益子で働いていた方のお話も
伺ってみたかったです!)
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日下田藍染工房
営業時間 8:30~17:00
定休日 月曜日 ※祝休日の場合は翌日
栃木県芳賀郡益子町城内坂1
電話 0285-72-3162
FAX 0285-72-3983
E mail higeta@power.interq.or.jp
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藍百姓 松由拓大
https://www.aimatsublue.com/home
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「四季桜」
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