パン屋さんの夢が詰まったお互いさまチケット ペイ・フォワード記事VOl.15
地域と密接につながったパン屋さん
福島市パセオ通りにあるまちなか夢工房は、お互いさまチケットを導入している地域『超』密着型のパン屋さんです。その店長、斎藤功さんにインタビューさせていただきました。
まちなか夢工房(以下、夢工房)は就労継続支援B型として障がい者の方々が働く喜びや大変さを学ぶ場所として19年前にスタートしました。
なぜ地域『超』密着型と呼ぶかというと、夢工房では、地元の色々な人や団体とコラボレーションをして商品開発やプロジェクトを展開しているからです!
BLTから派生したHCW!?
BLTとは、この記事を読んでくださっている皆さんにとってはお馴染みになってきました、福島市にあるBLTカフェのことです。そしてHCWとは、ハンディ•キャップ•ワーカーの略。HCWのピンバッジを職場で働く障がい者の方がつけることにより、お客様が障がい者のスタッフとのコミュニケーションを取りやすくなるこのアイディア。もともとBLTカフェのオーナーハグさんが考えたものでした。
さりげなくHCWだとお知らせすることで、HCWが働いている時に何か失敗したりしても、お客様からこうやってみたらどうかな?などアドバイスをいただいたりして気軽にやりとりすることができるというのです。それに、HCWの方とお客様が日常的に交流することで、『障がい者』という括りではなく、単なる人と人のコミュニケーションが大事なんだなぁということを感じさせてもらえますよね。
このアイディアに共感した斎藤さんがハグさんからチラシをその場で譲っていただいたというのです。ハグさんと斎藤さんはとても仲がよく、夢工房のパンを使ったBLTカフェのオリジナル商品を、夢工房の店頭で販売していたこともありました。
地元の人たちの愛がぎっしり詰まった『夢詰麦』
お店の看板商品である食パンの『夢詰麦(ゆめつむぎ)』は、夢工房の活動を応援するサポーターさんたちやお客様の意見を取り入れながら味や名前などを決めたそうです。子どもからお年寄りまで、甘めがいいのかしょっぱめがいいのか、たくさんの意見を聞いて改良しているので、今でも微妙に味が変化しているそうです。是非何度か食べて味の変化を楽しんでみてくださいね。
二度優しい『夢詰麦』
ルワンダに届け、福島の愛
『夢詰麦』は二度優しい?それってどういうこと?まずはひとつ目の優しさをご紹介します。『夢詰麦』を購入すると、なんとアフリカのルワンダの子どもたちに募金することができる仕組みがあるんです。これは、福島市に住むルワンダ出身のマレールイズさんと関係しています。彼女はジェノサイドを経験し、それ以来平和活動をし、「ルワンダの教育を考える会」というNPO法人も立ち上げました。
このNPOはルワンダの首都キガリにあるウムチョムィーザ学園の建設・運営支援を行っています。
斎藤さんはこの子どもたちのために何かできないかと考えました。『夢詰麦』をひとつ購入すると、30円がウムチョムイーザ学園の子どもたちのために寄付されます。
『夢詰麦』がお互いさまチケットで食べられる!
では二つの目の優しさって?実はこの『夢詰麦』こそが、お互いさまチケットを使って無料で購入できるパンなんです。
私がインタビューに行った日はクリスマス直前。数あるパン屋さんの中から夢工房を選んで買いに来てくれるお客様を喜ばせたい!という思いで、『夢詰麦』にはクリスマスツリーや天使の絵のついたメッセージカードが添えられていました。早速『夢詰麦』をお互いさまチケットで購入!そして私もお互いさまチケットを二枚購入し、ボードに貼り付けてきました。
見知らぬ誰かのためのクリスマスプレゼントになったかな?また、購入したパンは友人へのプレゼントに。こうやって、誰かからの豊かな気持ちが次の誰かに巡るのって気持ちいいし、なんだかとても楽しいな~と感じられる一日でした。
そして、注目したいのが、この『夢詰麦』をチケットを使って購入したとしても、30円はウムチョムイーザ学園に募金されているということなんです!「二度優しい」このチケットは、パンを買う人に取っても、ルワンダの子どもたちにとっても優しいチケットなのです。是非使って、愛を世界中に巡らせましょう~!
経営側にとっても嬉しいことが盛りだくさん
お互いさまチケットのたくさんのメリット
斎藤さんによると、お互いさまチケットには、たくさんのメリットがあるそうです。それをまとめてみました。
こんなにいいことづくしのお互いさまチケット、是非はじめたいな~、という方もたくさんいらっしゃるはず。その時にどんなことを工夫したらいいのかも聞いてきました!
社員さんもお客さまも仕組みを理解してもらうのが肝!
これまで複数のお互いさま店舗のインタビューしてきた中で、共通して出てくる最初の重要なステップは「仕組みについて社員の間で共有すること」そして「お客様に説明すること」です。
こちらについて、齊藤さんは「PR・販促物のデータを、すでにお互いさま制度を始めている店舗から学ばせていただく」ことがポイントだと言います。例えば、「お互いさまチケット」や「説明書き」や「チラシ」などですね。うまくいっている事例を参考に使わせてもらうことで、次第に自分の店舗にぴったりのやり方を見つけることができます。
その他社が使っているお互いさま制度の関連グッズを通して、従業員さんとお互いさま制度の意義や仕組みを学びます。この仕組みを導入することが、社会的に、また自社の立場から、どのような意味合いがあるのかをしっかり理解することで、社員さんが働く意義をますます深めることができます。これについては以前にインタビューしたBLTカフェの高校生のアルバイトくんが、自分がお互いさまチケットを導入している店舗でアルバイトしていることで精神的に豊かであることからも分かりますね。(Vol.14参照 https://note.com/noriko_c_o/n/nfb68f2fa0a27 )まずは説明のできる人が店舗に一人いることが重要だと言います。一人で何度も説明しているうちに、よりよく伝えるにはどうしたらいいか考えるきっかけになるそうです。
お互いさまチケットの存在を絶えずPR
斎藤さんによると、お互いさまチケットを一度買った方は、そのチケットが使われたか気にして足を運んでくださるそうです。そして、少なくなっていたかチケットを買い足すという方もいるそうです。
一方で、お互いさまチケットの存在を周知することをやめていると、使う方も購入する方も少なく、回転が悪くなるそうです。だからこそ、SNSなどでこの取り組みのことを絶えず宣伝することが重要だそうです。
お互いさまチケットを利用してくださった方の話題を出す
従業員の方は、たくさんの接客をしているので全員のことを覚えているというわけではないかもしれません。でも、お互いさまチケットを利用してくださったお客様のことはよく覚えていると言います。仕事をする中でつらいことももちろんあります。でもお互いさまチケットを利用してくださった方の話題がでると、従業員の方々に笑顔があふれると言います。お互いさまチケットを導入される経営者の方は、是非現場でのお互いさまチケットの動向や、利用してくださったお客様の様子を気にかけていただきたいと思います。そうすることによって、従業員さんの仕事への熱意が上がったり、お客様がお客様を呼ぶという素晴らしい連鎖が生まれることでしょう。
このように、たくさんの夢と工夫が詰まったパン屋さんに是非足を運んでみてくださいね!
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