ひまわりの種は福島から宮城に ペイ・フォワード記事VOl.24
雑誌にも取り上げられるおしゃれなカフェにお互いさまチケットが
蓮とガンの群れ・白鳥を愛でられるカフェ「グリムの森」
本日の主人公は、宮城と福島に繋がりを持つ齋藤美子さん、愛称は美子ママ。以前は福島市で複数の飲食店を経営されていました。現在は宮城県登米市で去年の1月から「グリムの森」という森の中のカフェを経営されています。カフェのすぐ横には長沼があり、そこから少し車を運転すればラムサール条約登録湿地でもある伊豆沼に行くこともできます。
グリムの森は外観も自然に溶け込んでいておしゃれで、ドアを開ければ森の妖精が出迎えてくれます。
このカフェはオープン1年ですでに雑誌に特集されるほどハイセンスかつ美味しく体と心に優しい食事を提供してくれます。そして、作るときに楽しく幸せな気持ちで作ることで、よりお料理が美味しくなるように心がけていらっしゃるそうです。食べる側も、笑顔で食べると美味しくなりますよね。
お互いさまチケットで食事してみましょう
この素敵なカフェでもお互いさまチケットがスタートしたということで、ご自慢のお料理をチケットを使って食べさせていただきたいと思います。どんなメニューがあるのかしら。
何にしようか迷いながら席に着こうとすると、お互いさまチケットの説明書きがテーブルの上に載っているのを見つけました。
この日は子ども連れだったので、子どもが大好きなパスタを注文。待ち時間にお互いさまチケットの説明書きを手にとって読んでみると、このように書いてありました。
それぞれの店舗さんが、恩送りやお互いさまチケットの説明をしていますが、これだけ心のこもった説明書きをしている店舗さんは珍しいです。なぜそんなに思い入れがあるのか、食事をいただいてからゆっくりお話を聞かせてもらうことができました。
ずっと叶えたかった想いをついに形に
美子ママによると、お互いさまチケットのことは何年も前から知っていたそう。なぜなら、福島市で「お互いさまの街ふくしま」を目指してお互いさまチケットをはじめた「ハグさん」や半田さんとは、2011年の東日本大震災以前からのお友達だったからだそうです。
美子ママは、2010年には福島市で子どもたちは無料のお食事屋さんもやっていました。今でこそ子ども食堂が全国の中でもトップクラスの数を誇る福島市ですが、当時はかなり先進的な取り組みだったはずです。
震災後は、チームふくしまが実施しているひまわり甲子園などにも関わり、親しいつきあいをしてきました。その中で、ハグさんがお互いさまチケットを普及させていたことや、その志半ばで逝去されたことを知り、自分の店舗でも実施したいと思っていたそうです。
しかし、自分が引っ越してきた登米という地域にこの取り組みがどのように合うかわからなく、はじめることを躊躇されていたそうです。でも、お客さんは地元の人たちだけではなく、遠くからもきてくれるのだから、あまり地域性にこだわることはないかもしれないと考え、満を持してはじめてみることにしました。このことを美子ママは「自分の中にハグさんの想いが入り込んできた」と表現していました。きっとハグさんが美子ママの背中をぽんと押してくれたのでしょう。
当時のことや、お互いさまチケットの実施を決意するまでの想いを、ハグさんと一緒に活動をしてきたチームふくしまの理事長半田真仁さんに目を細めて伝えていらっしゃいました。
お互いさまチケットでお客さんとコミュニケーションを楽しむ
美子ママのお人柄が現れていたお互いさまチケットの説明書き。お互いさまチケットはどこにあるのかといいますと、店内に入ってすぐ左手に。この日は6枚のチケットが貼ってありました。常連さんが書いてくれたという笑顔文字のメッセージがかわいらしく惹き付けられるので、自然とチケットにも目が行きます。
実は準備していたお互いさまチケットノートがあるということで、早速チケットを使った感想を書き込ませていただきました。また、チケットに貼ってあったメッセージカードはノートの裏側に貼り付けることになりました。
どんどん出てくるお互いさまチケットエピソード
美子ママはテーブルに置いてあるお互いさまチケットの説明書きを元に、お客様にチケットの説明を丁寧にされます。ですから、お客さんとお互いさまチケットについてお話しする機会がたくさんあります。
あるとき、お店の近くに嫁いだ女性とお話ししていました。その方はお互いさまチケットのことをすでに知っていたというのです。なんと、福島のハグさんの店でもお食事をしたことがあったそう。そんな風にお互いさまチケットにご縁のある方で、その方はチケットを買ってくださったそうです。「(結婚して引っ越してきたばかりだから)まだお友だちがいないから、ここにまた来てもいいですか?」と話されたそうです。
お互いさまチケットを通してその土地になじんでいったりお友だちを作ったりするきっかけになるなんて素敵ですね。グリムの森が、ほっとする居場所になりますね。
次のエピソードは常連さんとの一コマ。ある常連さんの男の人に、いつもチケットを勧めていましたが、それまでその方がチケットを使うことはありませんでした。ある日、ついに使ってくれ、さらに新しいチケットを買ってくれたたというのです。チケットを買ってくれることもうれしいですが、常連さんが使ってくれて、チケットのよさを体感してもらうということはとても意味深いことですね。
その他にも、美子ママは、子連れの人や、おじいちゃんおばあちゃんが来た時にチケットの利用をおすすめするそうです。すすめても「悪いなぁ」と言われることもありますが、「悪くないの、(チケットを使うと)買ってくれたひとも喜んでくれるんだから」と説明するそうです。チケットの貼ってあるメッセージに「笑顔になれますように」、というコメントがありますが、使ってくれた人も、買った人も、どちらも笑顔になれますね!
温ったかい会話が生まれる「お互いさまチケット」
「お互いさまチケットを通してあったかい会話ができるよ」と美子ママ。説明書きにも現れているように、福島での友人がはじめたこの活動を心から応援していて、そのよさを宮城県や登米市にも浸透させたい心持ちがあるからこそ、お客さんとの会話も自然と温かいものになるのでしょうね。
そんな温かい心の持ち主美子ママの発言「70歳までにトライアスロンに出たいな」にびっくりさせられて帰路につくのでした。
「グリムの森」の情報はインスタグラムよりゲットしてくださいね。
https://www.instagram.com/grimm_no_mori/
もちろん、お互いさまチケットについての投稿も見られますよ!