高校生発案!次世代型「環境に優しい恩贈りビジネス」恩贈り記事Vol.74
好きなことわざ「情けは人のためならず」
育児休業を終えて高校に職場復帰してすぐの頃。高校三年生とコミュニケーションをしたいと思った私は、私への質問を書いてもらいました。そして授業で生徒からの質問に答えています。
今日のお題は「好きなことわざはなんですか?」
「恩贈り」!と言いたいところですが、「好きなことわざ」を聞かれたので「情けは人のためならず」と答えました。
このことわざを聞いたことがある人?とたずねると、11人中3人の手が挙がりました。
どういう意味か聞いてみると
「『人のために何かをしてあげると、その人を甘やかすことになるので、情けをかけることはその人のためになりませんよ』という意味です。」
確かに一般的にはそういう意味と誤解されがちですが、実はこのことわざの本当の意味はこうなんです。
黒板に絵を描きながら説明しました。
だから「情けは人のためならず」の本当の意味は
人のために何かをすると、それが巡り巡って自分に返ってくるので、情けをかけることは実は人のためではなくて、自分のためになっているんですよ
このクラスの生徒には、以前もBLTカフェのお互いさまチケットの動画を見せたことがあります。だから恩贈りについては知っています。
この生徒たちなら、恩贈りのど真ん中を表現しているこの日本のことわざの奥深さをきっと心で納得してくれたのではないでしょうか。
環境問題は解決できる?マンダラシートで探ってみよう
現在、論理国語という授業の中で、環境問題について小論文を書くという学習をしています。
環境問題といえば、地球温暖化、プラスチックによる海洋汚染、気候変動など数え切れないほどの問題があります。大きな問題、国際的な問題だと思うと身構えてしまって
「誰かがなんとかしてくれる」
「それだけ大きな問題なんだから個人ではどうしようもない」
「何かしたいと思っても、何から始めればいいか分からない」
と感じ、そこで思考が止まってしまいます。
そこで今回は、大谷翔平選手も目標達成のために活用したというマンダラシートを使って、環境問題の原因と、それが引き起こす具体的な問題を目に見えるようにまとめています。
「他人事」になってしまいがちな環境問題を具体化していくことで、「自分事」に落とし込んで、自分が本当にできると思う行動を文章で表現します。
海洋汚染の原因プラスチックの8割は陸から
環境問題の中でも、森林伐採やフードロス、海洋汚染に興味を持つ生徒の割合がとても高いです。農業高校なので、日頃から動植物を相手にしていて、このような問題に関心があるのでしょう。
ある生徒が、海洋ゴミを減らすためにマイボトルや紙のストローを利用することで、プラスチックゴミを減らしたい、と考えました。
海洋ゴミの元を辿れば、陸地でポイ捨てされたものが何かの拍子に排水溝や川などに落ちて海まで運ばれてきたのです。それが海洋ゴミの8割だというから驚きです。
でも見方を変えれば、陸上でのプラスチックゴミの利用を抑えてポイ捨てをなくせば、海洋ゴミの大半はなくすことができるということでもあります。
マイボトルを推進しようという生徒が「マイボトルを持ち歩くのが面倒だ。」という反論が出たらどうするか、ということを考えて行き詰まっていました。そこで私はこんな話をしました。
「福島市にいる友人が、リフィルジャパンという取り組みをしているの。マイボトルを持っていても、飲みきってしまってまた喉が渇いてペットボトルの飲み物を買ってしまったら意味がないよね。だから、マイボトルを持っていくとお水を入れてくれる加盟店を増やしているんだよ。」
Refill Japan(リフィルジャパン) | 給水スポットを全国に広げよう
お金にならない人助け・地球助け?
それを横で聞いていた生徒が興味を持って質問をしてくれました。
「それっていくらなんですか?」
「無料だよ。」
それを聞いてびっくりしていました。自分の店で食事をしない人にまで水を提供することに驚いたようです。
それまでの授業では社会貢献をテーマに小論文を書いていたので、そのことを振り返って話をしました。
最初にマイボトルのアイディアを考えていた生徒は、今先生は何と言っていたの?と他の生徒に聞かれて、一所懸命説明していました。
背中越しにその会話を聞いていた私は、こうやって自分の言葉で人に伝えることで、理解が深まって、腑に落ちていくんだろうなと、この生徒の今後が楽しみになりました。
次世代型ビジネス誕生!高校生の四方よしの発想
授業が終わって、教室の片付けをしていたら、マイボトルに無料で水を入れてくれる取り組みにびっくりしていた生徒が私に声をかけてくれました。
え?今度は私がびっくりする番でした。
リフィルの活動は無料で、どこにもお金を生み出す要素はないと思っていたので、何のことかさっぱり分かりませんでした。
この話を聞いて、最近国語のワークに出てきた言葉、「後生畏るべし」(こうせいおそるべし)が頭をよぎりました。後から生まれてくる者には無限の可能性がある、という言葉は、この生徒にぴったりです。
この仕組みは、三方よし、四方よしのいいことづくめです。
「将来起業してね!」とこの生徒に伝えました。
時代が子どもたちの感性に語りかけています。追い風が来ています。恩贈りと環境保全が、ビジネスとして社会の仕組みと人々の精神性を変えていく時代が、やってきたのです。
こういう精神を持つ生徒をどんどん育てていきたい。私は私のフィールドで次世代への恩贈りを。